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タイトル「2012年度シラバス」、フォルダ「2012年度シラバス?情報学群専門科目
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 計算機ネットワーク 
担当教員 吉田 真一 
対象学年 3年  クラス 学部:専門001 
講義室 A106  開講学期 1学期 
曜日・時限 火3,金3  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 講義の目的(概要)

授業の目的

インターネットの爆発的な普及とともに、情報通信技術は情報処理技術の中に
おいて重要な位置を占めるようになった。本講義では、情報通信技術の中でも
特にインターネットの基盤技術として重要なイーサネットおよび TCP/IP につ
いて学習する。イーサネットは、比較的狭いエリアを対象とする LAN 技術と
して発展し、現在は広域ネットワークとしても用いられるようになり、インター
ネットにおける下位層の通信技術として標準的な技術である。現在のイーサネッ
トは多くの技術を取り込むことで、様々な機能を実装しており、また新しい通
信技術も、イーサネットを基にしたものが多い。イーサネットを学習すること
で、現在の下位層の通信技術について理解することができる。また、TCP/IP
は上位層の通信技術として一般的であり、多くの計算機のオペレーティングシ
ステム、および組み込み情報通信機器で採用されており、インターネットの根
幹をなす技術である。また、イントラネット・エクストラネット等の呼び名で、
組織内通信や特定組織間通信にも採り入れられており、TCP/IPの学習は、イン
ターネットのみならず、通信一般の仕組みを理解するためにも必須の項目であ
る。

授業の進め方

まず、講義の最初では、これまで学習してきた内容として、OSI7階層モデル、
ならびに、普段、計算機を操作する際に目に触れる部分として、IPアドレスや
MAC アドレスについて、それらの構造ならびにアドレッシングの仕組みを解説
し、先の講義への導入とする。

次に LAN 技術であるイーサネットについて学ぶ。まず、OSIモデルでの第1層
であるイーサネットケーブルの構造について説明した後、第2層へと説明を進
める。授業後半では、第3層のルーティングから第7層アプリケーション層まで
説明を行う。

本授業では、演習を含む講義を計18回行う。

 
授業の詳細2 授業の達成目標

本講義を受講することで、以下の項目を達成する。

(1) 計算機を中心とする情報通信ネットワークの全体構成の理解

(2) イーサネットを始めとするLAN技術の理解
(3) インターネットプロトコル(IP)の理解
(4) トランスポート層プロトコル(UDP・TCP)の理解
(5) アプリケーション層プロトコルのうち、電子メール(SMTP)・WWW(HTTP)・
DNS・ファイル転送(FTP)・ファイル共有(NFS, CIFS)等、主たるものの理解
(6) 上記の項目を理解し、計算機に適切な設定を行い、情報通信ネットワーク
を構築する能力の習得
(7) 上記の項目を理解し、情報通信ネットワークの不具合の解消、性能の向上
等の能力の習得

授業の計画

1. 計算機ネットワークの概説

OSI7階層モデルを始めとする,これまで学習したコンピュータ通信の内容の確
認を行う。次に標準的なオペレーティングシステムのネットワーク機能を説明
し,LAN で用いられるイーサネットケーブルの基本構造,IPアドレス・ネット
マスクについて説明する。

2. イーサネット(概論ならびに第1層)

IEEE802.3規格で制定されているイーサネットについて概論を説明し、制定ま
での経緯などの歴史を学ぶ。

まずは、第1層として、イーサネットで用いられるケーブルの種類ならびに構
造を理解する。10Base2, 10Base5 で用いられる同軸ケーブルの構造と仕組み、
10BaseT以降の高速ネットワーク規格で用いられているツイストペアケーブル
の構造と仕組み、さらに、中・長距離ネットワークで用いられる光ファイバー
について説明する。
 
授業の詳細3 3. イーサネット(第2層)

イーサネットのフレームの構造を説明し、次にイーサネットの基礎的な仕組み
である CSMA/CD について説明する。
その後、半二重イーサネットの動作を説明し、ネットワークカードの役割、リ
ピータハブの役割について学ぶ。
次に、ブリッジング・スイッチングについて学び、MACアドレス学習の仕組み、
これによるトラフィック分割、帯域を有効利用するための仕組みを学ぶ。

4. イーサネット(第2層)

最新のイーサネット技術・高度な仕組みについて学ぶ。
VLANについて学び、より柔軟で高度なイーサネット運用について学ぶ。
ポートVLAN、タグVLAN、プロトコルVLAN、認証VLAN等、様々なVLANについて学
び、それらの違いと活用方法について学ぶ。
次に、スイッチの冗長構成について学ぶ。まず、スイッチをループさせた場合
の弊害について学び、スパニングツリープロトコルによる、ループ防止につい
て説明する。

5. 演習:イーサネット

イーサネットの第1層物理層の性質、特性、規約の確認をする。
また、第2層データリンク層のCSMA/CDの仕組み、ブリッジ動作、MACアドレスの構成
について、机上にて計算・シミュレーションを行う。

6. IP (第3層)

インターネットプロトコル(IP)について学ぶ。
IPパケット構造について説明し、IPアドレス、およびIPアドレスのクラス構造
について説明する。
次に、サブネット分割について説明し、可変長サブネット分割(VLSM)、クラス
レスドメイン間ルーティング(CIDR)について説明する。

7. IPルーティング

IPパケットのルーティングについて説明する。
ルーティングの仕組み、静的ルーティング、動的ルーティングとそのプロトコ
ル(RIP,OSPF)について学ぶ。
ルーティングループの発生メカニズムと、その防止方法(スプリットホライズ
ン、ルートポイズニング、ポイズンリバース)について学ぶ。

8. TCP・UDP(第4層)

トランスポート層プロトコルとして、コネクション型の TCP、コネクションレ
ス型の UDP について学び、そのセグメント構造を説明する。
次に、TCP における、パケットの到着保証、順序保証、フロー制御について説明する。

9. 演習:IP・TCP

サブネット化(FLSM, VLSM)・IPルーティング・MTUおよびフラグメントについて
机上での設計、計算シミュレーションを行う。

 
授業の詳細4 10. 第1回から第9回までのまとめ

データがTCP・UDPにより構成され、IP化、イーサネット伝送まで行われる
動作を机上にて計算と確認を行う。
また、IPサブネット化の設計についても同様に確認を行う。

11. HTTP

HTTPによるファイル取得の仕組みと、WWWの実現について学ぶ。
URL と DNS・IPアドレスの関係、プロキシの動作について学ぶ

12. SMTP, DNS

電子メール転送プロトコルである SMTP、ドメイン名とIPアドレスの対応付け
を行う DNS について説明する。

13. ファイル転送・ファイル共有

ファイル転送プロトコルである FTP とファイル共有プロトコルである、NFS、
CIFS について説明する。

14. DHCP、BOOTP、TFTP

DHCP・BOOTP による IPアドレスならびに設定情報の自動付与、TFTP による単
純ファイル転送と、これらの組み合わせによる、ディスクレスブートの仕組み
について学ぶ。

15. 旧来のネットワークの歴史

ATM、FDDI、ISDN 等旧来型ネットワーク、無手順転送、PPP 等によるシリアル
通信について学習する。

16. IPv6 に次世代ネットワーク

IPv6 による次世代ネットワークの概観について学ぶ。

17. 第11回から第16回までのまとめ

主要なアプリケーション層プロトコルについて、その仕組みおよび動作を
机上の計算にて確認する。

18. 本講義全体を通してのまとめと今後の学習

本講義を通して説明した現在のインターネットを含む計算機ネットワークの
構成技術を俯瞰的に説明する。
また、現在のインターネット(計算機ネットワーク)の抱える問題点と
その改善への取り組み、次世代ネットワークの方向性などを説明・議論する。
 
授業の詳細5 成績評価:

この授業では,演習・中間試験・最終試験の結果により総合的に評価する.
上記の成績は,以下の到達度判定に用いられる.成績評価は到達度によって判定
される.


C:計算機ネットワークの概念について理解している.
B:C判定の達成度に加え,ネットワーク構築を行う能力を有している.
A:B判定の達成度に加え,ネットワークのトラブルシュートを行う能力を有している.
AA:A判定の達成度に加え,高度なネットワークの構築が行える能力を有している.

履修上の注意:

備考:なし

履修前の受講が望ましい科目:通信方式,アルゴリズムとデータ構造1,オートマトンと形式言語,情報ネットワークプログラミング

テキスト:ノート講義とする。資料は適宜配布する。
参考書: Hunt著,村井純監訳「TCP/IPネットワーク管理 第2版」(オライリージャパン 1998)
Frisch著,谷川監訳「UNIXシステム管理 改訂版」(オライリージャパン 1998)

 
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