科目名 |
情報と倫理 |
担当教員 |
篠森 敬三 |
対象学年 |
1年 |
クラス |
学部:専門001 |
講義室 |
A107 |
開講学期 |
1学期 |
曜日・時限 |
火3,金3 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
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備考 |
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授業の詳細1 |
科 目:情報と倫理(Ethics for life in university and business) 担当教員:篠森敬三 開講年次:1年1Q 単 位 数:2 区 分:情報学群 専門基礎科目 履修前提科目:無 同時履修が必要な科目:無 連絡方法:オフィスアワー:1学期は月曜日3限
重要な注意 本科目はその普遍的な科目名にも関わらず、情報学群の専門基礎科目であり、他の学群やマネジメント学部の学生にとっては他学群履修科目として扱われる。 後半のケースメソッドにおけるグループ対抗ディスカッションのグループ形成の関係より情報学群新入生が著しく少ない年度を除いては、他学群やマネジメント学部の学生の履修は認めていない。 平成23年度は不可。
講義の目的 情報学群の学生としての倫理を学びながら規範倫理学の考えかたを理解し、ビジネス事例における倫理的行動をケースメソッド的に議論しながら、自らの行動規範となる倫理を確立していくための道筋をつけることを目標とする。 情報学群において、という制限をつけたとしても、本質的な倫理を教えることは、なかなか困難な作業である。なぜならば本質的な倫理とは、様々な一回限りの事象、しばしば矛盾的で危機的で切迫した状況であるが、において適切な行動をするための価値判断を伴う規範であり、そしてそれは社会的合意や制約の下に成立するものである。したがって、幅広く深い社会的背景に対する理解を伴った、根元的な倫理的思想こそが重要となるからである。それは例えば、いままでの学生諸君が受けてきた教育で聞いてきたような「**してはいけません」といった規則=一種の法、とは本質的に異なるものである。というのも法は、政治的行動を除けば従う他にないものであり、従う限りにおいて深い思考を必ずしも必要としないからである(もちろん、従わない場合、従えない場合には、裁判となり、そこでは当然深い議論が必要とされることが多い)。一方、(特に規範倫理学の考え方では、)倫理とは、社会的合意と制約の下で各人が考えていくものであり、画一的な答えは用意されていない。 そこで,講義において「本質的な倫理」と教員が考える有用な思想、や、事例においてそれらを応用する手法、を教えることが授業の動機である。それにより、自律的に物事を判断できる指導的役割を果たす人材の育成に寄与することが最終目的である。
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授業の詳細2 |
達成目標及びテーマ (1)倫理に対する理解 ・ 規範倫理学の基本的な考え方について理解する。 ・ 倫理と、法や宗教、慣習などとの差異を理解する。 (2)倫理におけるスキル形成 ・ 倫理学における基礎的諸概念を正しく理解し、自分でも使えるようにする。 ・ 帰結主義と非帰結主義との違いを軸にして、倫理的利己主義、功利主義、義務論、正義論の4つの基本的前提は何かを理解し、それが具体的な問題についての判断においてどのような違いをもたらすかを自分で考えることが出来る。 ・ 実際の事例について、いくつかのケースメソッド的議論に参加することで、多様な議論の中から倫理的行動を確保するための方法について検討する経験を得る。 (3)指導者としての倫理的判断の展開 ・ 倫理学的概念にもとづいてさまざまな対策を考案し、かつそれを議論や報告書の形で展開することによって、組織全体に対して倫理的判断を敷衍させるという作業のひな形を体験することによって事前経験を得る。
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授業の詳細3 |
講義の進め方 最初は、大学や情報学群における学則や規則などを具体例として、その背景となる規範的倫理の必要性について考えることで、全体の導入とする(1〜2コマ程度)。 続いて、規範倫理学をベースに、倫理学の成果である様々な考え方や立場について概説する。これらに理解の下で(その確認のために筆記試験で到達度を判定した上で)、教科書などに提示されているビジネス上の事例にそってビジネス倫理学の実例について、それらを紹介し、また学生諸君を交えて議論していく。この手法をケースメソッドという。いわゆるケーススタディと異なる点は、最善手を先生が教えてそれを覚えるのではなく、最善手というものがひとつに限定されない設定条件下で、さまざまな判断(オプション)を学生自らが考え、その考えを全体に説明していく点にある。 なお、導入部分以外は、新入生科目ということもありしばらくは指定教科書に準拠して進んでいきたい。また、対象が新入生ということで、学生諸君に対する便宜を図る上で、大学や情報学群における規則を説明する際に、便宜的に倫理の話とは少しはずれて詳細なルールの解説を行う場合がある。これは従来の工学部情報システム工学科が新入生に対するガイダンスとして実施してきた『セミナー1』が果たしてきた学科(今は情報学群)の独自ルールの解説を行う独立した科目がないことに対する措置であるのでよろしくご理解願いたい。
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授業の詳細4 |
履修者への注意 ・授業の内容について 上記のように、本講義では倫理的思考を実際の事例に対して適用するという応用力をつけることがその目的であり、「倫理の歴史」とか「記号論」とか「学問としての倫理学自体」を教えることを目的としていない。また法を教えるのではない、ということは、「一般的な情報分野における倫理の授業」で教授されている知的所有権とか著作権とか特許法など既存の法について講義するものではないことも意味している(それらについては3年生共通教育科目の『知的財産権と特許』等で講義される)。 さらに(講義の目的から既に明らかであるが)、昨今関心が高まっている情報関連の話題で、例えば「メールにおけるなりすましはやめましょう」や「ネットークションの危険性」といった単なるルールやマナーの説明や注意を与えることを目的ともしていない。あくまでも自律的に物事を判断できるようになるための倫理的思考の獲得が目的である。 上記で「教えていない」「目的としていない」という内容を期待して授業を履修して、途中からいなくなる学生がときどき見受けられるが、そのようなことの無いように願いたい。また新入生は出来るだけ履修してもらいたい。
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授業の詳細5 |
講義計画 授業と演習の日程(予定)も記載する。変更などは1Qでの最初の授業の時に説明する。なお特に以下に指定のない専門科目演習の日(及び時限)では「情報と倫理」の専門科目演習(あるいはその時間における授業)は行わない(他の科目の演習の時間であろう)。 (注:以下で、主テキストとは『ビジネスの倫理学 (現代社会の倫理を考える・第3巻)』、梅津光弘著のことである。)
A 導入 1.0-A.大学の成り立ち(4月6日を予定) ・大学の変遷 ・大学における学生のあり方 1 大学に おける倫理(4月6日を予定) ・大学で学ぶとはどういうことであるか? ・自由市民という考え方
2.2 法と倫理(4月10日を予定) ・法と倫理 ・何故倫理を学ぶのか? ・批判的精神 0-B.大学での活動〜計画の無い世界〜(4月10日を予定) ・不安をもたらす問題の本質 ・自分のための内的計画
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授業の詳細6 |
B 理論としてのビジネス倫理 3. ビジネスと倫理学(4月12日2限を予定=木曜日2限目の専門科目演習の時間に授業を実施) ・帰結主義と非帰結主義 ・ビジネスと倫理学 ・何故ビジネスの倫理学が必要か? (主テキストの第1章と第2章「規範理論としての倫理」に対応)
4. 規範倫理学の基本的な考え方(4月13日を予定) ・規範理論としての倫理 ・倫理学の歴史的成り立ち ・規範倫理学のビジョン (主テキストの第1章と第2章「規範理論としての倫理」に対応)
○「演習1」(4月16日月曜日2限の専門科目演習の時間を予定) 学習の理解度・到達度を確認する演習を実施する。(主に講義1〜4の範囲)
5. 倫理的利己主義について(4月17日を予定) ・帰結主義 ・倫理的な利己主義? ・リバータリアニズム (主テキストの第3章「倫理的利己主義とリバータリアニズム」に対応)
6. 功利主義について(4月20日を予定) ・終わりなき競争と無限の対立 ・功利主義と公共の福祉 ・倫理的利己主義との対立 ・功利主義の問題点と帰結主義のまとめ (主テキストの第4章「功利主義と費用・便益分析」に対応)
7. 帰結主義から非帰結主義へ(4月23日2限を予定=月曜日2限目の専門科目演習の時間に授業を実施) ・帰結主義とニヒリズム ・非帰結主義 ・非帰結主義の源流として宗教を見る ・神学と形而上学 ・記号の解釈 (主テキストの第5章「義務論」に対応)
8. 義務論について(4月24日) ・カントの「純粋理性批判」 ・動機、正義、道徳、そして義務 ・善意志 ・次回への展望 〜暴力と冨と知識〜 (主テキストの第5章「義務論」に対応)
9. 正義論について(4月27日を予定) ・応報的正義 ・補償的正義 ・法の限界 ・配分上の正義 ・具体的な配分上の正義 ・正義論の問題点と非帰結主義のまとめ (主テキストの第6章「正義論」に対応) |
授業の詳細7 |
○「演習2」(5月1日火曜日3限の授業時間を予定) 学習の理解度・到達度を確認する演習を実施する。(主に講義5〜9の範囲)
★5月04日金曜日3限の授業は祝日(みどりの日)で授業はありません。
10. 習熟度の確認(5月8日3限の授業時間を予定。通常の講義教室でない場所で実施する可能性が大なので注意!) 規範倫理学の基礎やこれまでに習った基礎的処理概念を正しく理解しているかどうかについての試験を受けることにより、これらの修得状況について確認する。
C 実践としてのビジネス倫理(ケースメソッドによる議論) 11 ケースメソッドによる議論への準備(5月11日を予定。重要なので絶対に欠席しないこと) ・グループ分けとケースへの取り組み付いて解説。グループごとの討議と準備
★5月15日火曜日3限は木曜日振替日のため授業はありません。 ★5月18日金曜日3限の授業は休講の予定です。
12 ケースメソッドーケース1の議論(5月22日を予定。担当者は欠席しないこと) ・テキスト第7章のケース1をもとにグループ対抗ディスカッション (主テキストの第7章に対応)
★5月25日金曜日3限の授業は学会招待講演のため休講の予定です。
13 ケースメソッドーケース2の議論(5月29日を予定。担当者は欠席しないこと) ・テキスト第7章のケース1をもとにグループ対抗ディスカッション (主テキストの第8章に対応)
14 ケースメソッドーケース3の議論(6月1日を予定。担当者は欠席しないこと) ・テキスト第7章のケース1をもとにグループ対抗ディスカッション (主テキストの第9章に対応)
15.最終レポート作成について(6月4日の予定=月曜日2限目の専門科目演習の時間に授業を実施) ・最終課題レポートの作成の手引き ・ レポート提出に対応した解説(レポートの書き方など) ・今後への展開
16 ケースメソッドーケース4の議論(6月5日を予定。担当者は欠席しないこと) ・テキスト第7章のケース1をもとにグループ対抗ディスカッション (主テキストの第10章に対応)
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授業の詳細8 |
授業の教科書と参考書 ● 教科書:『ビジネスの倫理学 (現代社会の倫理を考える・第3巻)』、梅津光弘著 (丸善、2002年)ISBN 4-621-04992-5 C1312、¥ 1,900+税。 ・その他必要に応じて参考資料を配布する場合がある。 ● 参考書:必要があれば紹介する。
成績評価 本講義では、重みづけを、筆記試験 30%、グループ単位によるケースメソッド議論とレポートの得点35%、最終課題個人レポート30%、小レポート&小テスト5%(予定)として評価する。それらの得点は、以下の到達度判定に用いられる。最終的な成績評価は到達度によって決められる。なお出席点は加算しないけれども、自分のグループ発表の回に欠席するなどの場合には、欠席減点を行う。
F判定 C判定で定める到達度に到達していない場合で、単位取得は認めない。 C判定 講義内容1〜9の内容で学んだ倫理上の概念を理解し、説明することが出来る能力に到達した。 B判定 講義内容12〜15で取り上げるケースメソッドにおける各ケースの事例に対して、1〜9の内容で学んだ倫理的概念を当てはめて分析し、倫理的適合性を判断することのできる能力に到達した。 A判定 B判定の到達度に加えて、各ケースメソッドの事例に即して、有効な対策や倫理的判断を自ら考え、かつそれを公開討論の場で説明し、議論した上で、報告書にまとめることのできる能力に到達した。 AA判定 A判定の到達度に加えて、ケースメソッドにおける公開討論での議論や問題点の指摘をふまえて、さらに対策や判断を高度化し、普遍的に受け入れられることができる倫理的判断と対策を構築してそれを報告書の形でまとめることのできる能力に到達した。
筆記試験は主としてC判定の到達度(試験範囲は講義内容9まで)を判定し、ケースメソッドにおけるグループ単位の議論やレポートはB,A判定の到達度、最終課題個人レポートはA,AA判定の到達度を判定することを主目的として実施される。 |
授業の詳細9 |
F判定ではあるが一部特定領域(ある一部の講義内容)を除けばC判定到達度を満たしていると考えられる学生については、その領域に関する追加レポート課題を与え、そのレポートの得点を到達度判定に加える場合もあるが、例年実施されてはいない。これはそのような極端に異なる成果を上げる学生がいないことによる。倫理的思想を理解していれば議論もきちんとおこなえ、また報告書も書ける、というごく当たり前の結果を反映しているといえよう。 演習では自主採点方式を用い、成績評価には加味しない。また講義自体の出席はたぶん取らない。ただしグループ討論の出欠は成績に加味される(出席点は加算しないけれども、自分のグループ発表の回に欠席するなどの場合には、欠席減点を行う)。したがって最終的に、様々な倫理的概念を理解してそれを現実の問題に適用できるようにならなかった場合には、単位取得出来る可能性はない(この科目では,中身の無いレポートを出すだけ出しても単位取得の可能性はない)。
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授業の詳細10 |
科目の位置付け ●工学部対応について 工学部情報システム工学科の「情報と倫理」として科目担当教員の許可の下に受講することは差し支えない。その場合, JABEE対応「情報ネットワークシステムコース」 専門-履修登録必修科目 専門―人材育成選択必修科目(12単位中6単位) として機能する。
以上
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