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タイトル「2012年度シラバス」、フォルダ「2012年度シラバス?情報学群専門科目
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 認知心理学 
担当教員 繁桝 博昭 
対象学年 3年  クラス 学部:専門001 
講義室 A106  開講学期 1学期 
曜日・時限 火5,金5  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 ■ 講義の目的

認知心理学とは,人間の心的活動のうち,知覚,言語,記憶,思考,学習,推論,問題解決などの比較的高度な知的活動を主に対象とした学問である.認知心理学の特徴はこれらの認知機能を情報処理のシステムと捉え,情報科学の知見を取り入れて発展してきた点にある.また情報を最終的に取り扱うのは人間であり,人間の認知機能の特性やそのメカニズムを知ることは情報科学を学ぶものにとって重要である.本講義ではこうした人間の認知機能についての基礎的知見および認知心理学の主要な研究法を学ぶことを目的とする.


■ 授業の進め方

本講義では,情報科学やコンピュータの発展に伴って盛んとなった認知心理学が心理学の研究史の中でどのように位置づけられるのかを歴史的観点から概観し,その後,認知心理学の研究テーマとして重要であり,かつ情報工学の分野においても有用なトピックを取り上げ,紹介する.また,本講義で取り上げるような研究テーマを実験的に検討するための研究法,および分析法についても学ぶ.なお,認知心理学の重要なテーマの一つである学習や推論の研究に関しては第3Qにおいて開講される「学習と推論」においても詳しく取り扱われる.
本講義では通常の講義の他に演習を適宜行い,学んだ内容の理解度,到達度のチェックを行う.


■ 達成目標

1. 認知心理学が成立した背景,情報科学・認知科学における位置づけを理解し,説明することができる.
2. 認知心理学の主要なトピックについて基本的な知識を習得し,説明することができる.
3. 認知心理学の知見の工学的応用について考えることができる.
4. 認知心理学,実験心理学の方法論を理解し,身近な認知心理学的問題について考えることができる.
5. 心理学研究法について理解し,統計的仮説検定の基本的な考え方について説明できる.

 
授業の詳細2 ■ 授業計画

1.導入
認知心理学とは何かを「認知」の定義から説明し,本講義の内容について概観する.

2.心理学の歴史と認知心理学の発展
認知心理学がどのように誕生し,発展してきたのか,心理学全体の歴史からその位置づけを紹介し,情報科学,コンピュータサイエンスなどの関連分野との関係についても学ぶ.
(トピックス:認知革命,行動主義,機能主義的心理学,認知科学)
3.知覚・感性
比較的高次な知覚情報処理について,および近年研究が盛んに行われている感性工学について学ぶ
(トピックス:トップダウン,ボトムアップ,視線,感性評価法)

演習1 認知心理学誕生の背景,知覚・感性に関する理解度確認を行う.

4.記憶1
記憶の分類や測定方法を概説し,記憶システムのモデルについて学ぶ
(トピックス:短期記憶,長期記憶,潜在記憶,ワーキングメモリ,プライミング)
5.記憶2
記憶の脳における処理,ニューロン表現について学ぶ.
(トピックス:シナプスの可塑性,記憶の神経回路)
6.言語1
記憶の分類や測定方法を概説し,言語処理のモデルについて学ぶ
(トピックス:心的辞書,生成文法,ガーデンパス文,コネクショニスト・モデル)
7.言語2
脳内での言語の処理について学ぶ
(トピックス:事象関連電位,神経心理学,失語症)
8.表象とカテゴリー
知覚,言語,知識などがどのように内的に表現されているかについて学ぶ.
(トピックス:命題表象とアナログ表象,スキーマ,意味ネットワーク)
9.思考と問題解決
人間の思考や問題解決の特性について,計算論的アプローチや進化論的アプローチなどを紹介しながら学ぶ.
(トピックス:洞察,類推,プロダクションシステム,社会契約説)

演習2 記憶,言語,表象とカテゴリー,思考と問題解決に関する理解度確認を行う.
 
授業の詳細3 10.判断と意思決定
膨大な情報の中で,人間が限られた情報処理能力を用いてどのような決定や選択をするのかを学ぶ.
(トピックス:期待効用理論,プロスペクト理論,バイアス,ヒューリスティックス)
11.注意とヒューマンエラー
情報を取捨選択する心的機能である注意と,人間の情報処理の特性によって生じてしまうエラーについて学ぶ.
(トピックス:フィルター理論,スポットライト説,有効視野,スリップ)
12. 感情と認知
感情が知的活動にどのような影響を及ぼすのか,また,生理学的,進化論的視点から見た感情の機能について学ぶ.
(トピックス:ジェームズ=ランゲ説,キャノン=バード説,扁桃体)
13.心理学研究法1
自然科学の方法を取り入れた,人間の心的過程の科学としての心理学の研究法について学ぶ.
(トピックス:剰余変数,統制,操作的定義,因果関係,相関関係)

演習3 判断と意思決定,注意とヒューマンエラー,感情,心理学研究法に関する理解度確認を行う.

14.心理学研究法2
心理学研究におけるデータの分析に用いられる統計的手法の基礎について学ぶ.
(トピックス:統計的仮説検定,第一種の誤り,第二種の誤り)

15.これまでの講義内容についての習熟度確認を行う.

16. 15回目の講義でおこなった習熟度確認の課題に解説する.
 
授業の詳細4 ■ テキスト

適宜資料を配布する.


■ 参考書

・「認知心理学」箱田裕司・都築誉史・川畑秀明・萩原滋著(有斐閣)ISBN-13: 978-4641053748
・「情報処理心理学」中島義明著(サイエンス社)ISBN-13: 978-4781911298
・「認知心理学 心のメカニズムを解き明かす」仲真紀子編著(ミネルヴァ書房)ISBN-13: 978-4623056835
・「認知心理学 知のアーキテクチャを探る 新板」道又爾・大久保街亜・山川恵子・北崎充晃・今井久登・黒沢学著(有斐閣アルマ)ISBN-13: 978-4641124530
・「心理学研究法 心を見つめる科学のまなざし」高野陽太郎・岡 隆著(有斐閣アルマ)ISBN-13: 978-4641122147
・「イラストレクチャー 認知神経科学 ―心理学と脳科学が解くこころの仕組み―」村上郁也編(オーム社)ISBN-13: 978-4274208225

その他,講義中に適宜紹介する.


■ 成績評価

講義中に行う小課題(10%),3回の演習の課題(30%),習熟度確認の成績(60%)により総合的に評価する.

AA:課題の達成度および習熟度確認の成績が非常に高い場合
A:課題の達成度および習熟度確認の成績が高い場合
B:課題の達成度および習熟度確認の成績が全体的に基準を超えている場合
C:課題の達成度および習熟度確認の成績が部分的に基準を超えている場合


■ 履修前の受講が望ましい科目

「知覚と認識」,「感覚・神経生物学」 
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