科目名 |
メディアコミュニケーション |
担当教員 |
篠森 敬三 |
対象学年 |
3年 |
クラス |
学部:専門001 |
講義室 |
A106 |
開講学期 |
2学期 |
曜日・時限 |
火2,金2 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
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備考 |
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授業の詳細1 |
科 目:メディアコミュニケーション(Media Communication) 担当教員:篠森敬三 開講年次:3年4Q 単 位 数:2 区 分:情報学群 専門発展科目(情報とメディア専攻) 履修前提科目:ウエブメディア、人工知能基礎 同時履修が必要な科目:無 連絡方法:オフィスアワー:4Qは金曜日3限の予定(オフィスはA419)
【重要な注意】 本科目はその普遍的な科目名にも関わらず、情報学群「情報とメディア専攻」の専門発展科目であり、他の学群やマネジメント学部の学生にとっては他学群履修科目として扱われる。
【履修者への注意】 情報工学的なメディア・コンテンツ技術論だけでは本講義を理解し、単位取得することは難しい。あくまでも本講義は「情報と人間専攻」の考え方も含めながら、「情報とメディア専攻」の専門発展科目として、包括的なメディアコミュニケーションへの理解を深めることにある。 つまり情報工学的なマルチメディア技術に特化する講義であると誤解して講義を受けることは望ましくないし、単位取得は困難であるということである。特に,過去,一部の学生からこの科目は情報学群の科目ではなく,文化系の学部の科目としか思えないといった意見もあったが,本講義の目的をきちんと踏まえて欲しい。「教えていない」「目的としていない」という内容を期待して授業を履修して、途中からいなくなることの無いように願いたい。 |
授業の詳細2 |
講義の目的
メディアコミュニケーションという単語が意味するところは、実は、極めて多様である。様々な議論もあるわけであるが、それを単純化すれば以下の様な狭義の意味を基準に分類することも可能であろう。 (テーマ1)情報学群の一般的な学生にとって分かりやすいのは、コミュニケーションを媒介するメディア(媒介物)に焦点を当てる考え方であろう。様々なコミュニケーションを媒介するためのコンテンツがどのように作成され、配信され、受信されるか、という事になるが、コミュニケーションとしてのコンテンツ作成や受容については脇に置き、コンテンツ作成・配信・受信という技術論に集約することまでも可能であり、また工学系ではその方が一般的でもある。
(テーマ2)一方、もう少しコミュニケーションについて心理学的な側面を強調する考え方もある。つまり上記コンテンツ作成等において、何故そのようなコンテンツが生成されるのか、そのコンテンツがどのように認識され受容されるのか、といった点にも重心が置かれる。わかりやすい例で言えば、口頭で言われても不快ではないのに、電子メールに書かれると不快になるのは何故であろうか?といった問題に向き合うという類である。この方向性においては、実は、現実における技術的な進歩に対して、心理学的なアプローチが十分に追随できているかどうか、という事も問題となっており、新技術の利益・不利益について初期段階からきちんと記述できているかどうか疑問の点もある。 |
授業の詳細3 |
(テーマ3)さらには、社会情報学的な観点から、メディアとそれに付帯するコミュニケーションについて捉える考え方もある。従来のメディアコミュニケーション論、例えば、マスメディアやマスコミュニケーション(マスコミ)のあり方等に対する考察からの拡張として、新技術による新しいメディアによるコミュニケーションについて考えていく方向性である。もちろん、ここでの「新」技術とは社会科学的な見地からの見方であり、工学的には特に新しい話である必要もない(例えば個人のHPによる情報発信についての社会情報学的な考察は、今さらのインターネットHPであっても、この視座からは十分に新しい)。
(テーマ4)もっとコミュニケーションよりに重心を置くと、個々のメディアの持つ特性はコミュニケーションに影響を与えうる単なるパラメータとして捉えることも出来、それらパラメータ変化によってモデル等で構造表現される他者認知過程におけるコミュニケーションの変化・変容についての考察をその中心課題とする、という方向性もある。その場合は、コミュニケーションと呼ぶよりも、メディア関連の他者認知論と言うべきかもしれない。
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情報学群「情報とメディア専攻」に最後に登場する科目であることからも示唆されるように、この科目においては、情報とメディアとの関係性を総合的に捉えるようになることが目的であり、そのためには上記(1)~(4)の考え方を十分に理解した上で、さらに将来の新しいメディアをきちんと捉えることの出来る能力を身につけることが必要である。そこで,本講義においては、教員が有用と考えるところの分析や事例に即してそれらを応用する手法、を教えることを授業の動機とし、履修前提科目等で今まで積み上げてきている(1)の方向性における能力については既に獲得されていること前提としながら、(2)から(4)の方向性での展開を行う。それにより、自律的にメディアコミュニケーションを理解できる専門性を有した人材の育成に寄与することが最終目的である。
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授業の詳細4 |
授業で取り上げるテーマ(達成目標及び講義計画) 本講義の達成目標はこれらテーマを自分の視座で理解することにある。そのため、上記テーマについて講義を進めていく。具体的なテーマ項目を含む授業と演習の日程(予定)については、以下の通りである。
A メディアの拡張 (テーマ3)メディアによるコミュニケーションの社会情報学的考察 マスメディアからパーソナルメディアへ マスコミュニケーションからパーソナルコミュニケーションへ 情報源としての図書とインターネット
1 声の文化からインターネットへ(12/4・2限) 2 電話の発展―ケータイ文化(12/7・2限) 3 映像メディアの展開―テレビの登場と未来(12/11・2限) 4 活字メディアの変遷―本・新聞の行方(12/14・2限) 5 音声メディアーラジオとユース・カルチャー(12/18・2限) 6 インターネット革命―コミュニケーションの変容(12/21・2限) ○ 12月中の火・金1限の専門科目演習の時間に「演習1」を行う。(後で日程を通知)
B 情報社会のコミュニケーション1 (テーマ2)メディア利用による心理学的バイアス 各メディアのコミュニケーションに与える影響 メディアにより拡大・縮小される心理学的バイアス 直接及び間接コミュニケーションの相違
7 テレビ映像が脳の発達に及ぼす影響(12/25・2限) ★ 12月28日, 1月1日,1月4日は冬期休業のため授業はない。 8 テレビとテレビゲームの攻撃性・暴力への影響(1/8) 9 1月11日金曜日2限の授業の時間に1〜6の範囲についての理解度確認を行う(1/11・2限) ★ 1月15日火曜日は月曜振替日のため授業はない。 10 ケータイ・インターネットと人間関係(1/18) ○ 1月25日2限の授業時間中に「演習2」を行う。
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授業の詳細5 |
C 情報社会のコミュニケーション2 (テーマ4)自己と他者・情報環境との関係性 自己と他者との関係性を媒介するツールとしてのメディア メディアが形成するコミュニケーション メディアコミュニケーションによって形成される他者への認知 情報環境の認知と利用、及び情報環境適応(順応)
11 電子空間のコミュニケーション(1/22・2限) ○1月25日の授業時間中に「演習2(範囲はBの7?10の内容)」を実施する。 12 バーチャル・コミュニティー(1/29・2限) 13 メディアと世論形成・メディアリテラシー(2/1・2限) ○ 1-2月中の火・金1限の専門科目演習の時間に「演習3」を行う。(後で日程を通知)
D 情報技術によるメディアコミュニケーションの形成 (テーマ1)メディアコミュニケーションの情報工学的技術論 様々なメディアにおける各種コンテンツの情報工学的構造(復習) メディアユニバーサルデザインへの視点
14 バーチャルリアリティー空間形成のための技術論(2/5) 15 2月8日金曜日2限の授業の時間に全ての範囲についての理解度確認を行う(2/8・2限)
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授業の詳細6 |
講義の進め方と履修者への注意
教科書・座学を中心として、上記テーマについて総論的な話をするとともに、興味深い事例についてはより具体的に説明していく。効果判定は試験及びレポートによって行う。 |
授業の詳細7 |
授業の教科書と参考書
● 教科書: ・ 『メディア・コミュニケーション学』橋元良明(編・著)大修館書店(ISBN978-4-469-21320-1) ・ PowerPointも利用する。
● 参考書: ・ 必要があれば紹介する。
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授業の詳細8 |
成績評価
本講義における試験やレポートの重みづけについては、4Qの最初の授業の時に説明する。なお出席点は加算しないけれども、欠席が多い等の場合には、欠席減点を行う。筆記試験は主としてB判定までの到達度を判定し、最終課題個人レポートはA,AA判定の到達度を判定することを主目的として実施される。 F判定 C判定で定める到達度に到達していない場合で、単位取得は認めない。
C判定 大テーマ(2)と(3)のうちいずれか1つについて、その概念を理解し、説明することが出来る能力に到達した。
B判定 大テーマ(2)と(3)の両方について、その概念を理解し、説明することが出来る能力に到達した。
A判定 B判定の到達度に加えて、大テーマ(4)について事例に即しながら自ら考え、かつそれを自分の言葉で説明し、議論した上で、報告書にまとめることのできる能力に到達した。
AA判定 A判定の到達度に加えて、全ての大テーマを相互に関連させながら、将来出てくるであろう新しいメディアについても、そのメディアによるメディアコミュニケーションのあり方や方向性について、普遍的に受け入れられることができる結論を構築してそれを報告書の形でまとめることのできる能力に到達した。
F判定ではあるが一部特定領域(ある一部の講義内容)を除けばC判定到達度を満たしていると考えられる学生については、その領域に関する追加レポート課題を与え、そのレポートの得点を到達度判定に加える場合もある。 演習では自主採点方式を用い、成績評価には加味しない。出席点は加算しないけれども、重要な回に欠席するなどの場合には、欠席減点を行う。したがって最終的に、様々なメディアコミュニケーションの概念を理解してそれを現実の問題に適用できるようにならなかった場合には、単位取得出来る可能性はない(この科目では,中身の無いレポートを出すだけ出しても単位取得の可能性はない)。
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授業の詳細9 |
科目の位置付け
●工学部対応について 情報学群『情報とメディア専攻』の専門発展科目であり、『情報とメディア専攻』の分野方向性の概念にそった学修を組み立ててはいない工学部学生の受講は、想定されていない。
以上 |
授業の詳細10 |
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