戻る
タイトル「2012年度シラバス」、フォルダ「2012年度シラバス?情報学群専門科目
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 脳情報学 
担当教員 繁桝 博昭 
対象学年 3年  クラス 学部:専門001 
講義室 A106  開講学期 2学期 
曜日・時限 火5,金5  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 ■ 講義の目的

脳は外界や生体内の情報を入力として処理し,適切な出力を返す情報処理システムとして捉えることができる.しかし,脳の情報処理は,現在のほとんどのコンピュータに採用されているノイマン型の計算機とはその原理が根本的に異なる.本講義では,脳が情報をどのように処理しているかを理解し,脳型情報処理の工学への応用について学ぶ.さらに,自らが脳の情報処理のメカニズムの解明やその工学的応用について考える能力を養うことを目的とする.


■ 授業の進め方

講義の前半は脳の神経細胞(ニューロン)や領野間の基本的な情報処理のしくみ,および脳と同様の情報処理を実現することを目的とする計算論的アプローチについて学ぶ.さらに神経細胞の入出力を模した計算モデルを用いた工学的応用例について学ぶ.
後半は脳の活動を計測して脳の情報処理を理解する神経科学の研究手法,およびそこから明らかになった知見について学ぶ.脳活動の計測を通じて脳情報を読み取り,それを工学的に応用する手法についても学ぶ.
なお,本講義は情報学群とシステム工学群共通の科目である.システム工学群では演習の時間が割り当てられないため,本講義では演習の時間を設けず,本講義の期間内に数回の小課題を課する.また,前半の内容を範囲とする習熟度の確認を3Qの中頃におこなう.
情報学群のカリキュラムでは,「知覚と認識」,「感覚・神経生物学」,「認知心理学」,「人工知能基礎」,「学習と推論」の科目を履修することを推奨するが,本講義はシステム工学群と共通の科目であるため,推奨科目で学ぶ知識は前提としなくても理解できる内容とする.


■ 達成目標

1. 神経細胞による情報の符号化について基本的な知識を習得し,説明することができる.
2. ニューラルネットワークの代表的なモデルについて説明することができる.
3. 脳型情報処理を応用した技術について理解し,説明することができる.
4. 脳活動を計測して脳内の情報処理過程を検討する方法について理解し,説明することができる.
5. 脳活動の情報を利用したインタフェースについて自ら考案し,評価することができる.

 
授業の詳細2 ■ 授業計画

1. 導入
本講義の内容について概観する.
2. 脳の計算論,ニューロンのモデル
脳の機能を人工的に作れる程に理解することを目指すアプローチである脳の計算論の考え方,およびニューロンのモデルについて学ぶ.
3. 神経コード
脳が外界の情報や行動,認知状態をどのように符号化しているかを学ぶ.
4. ニューラルネットワーク1
パーセプトロンや誤差逆伝播法など,代表的なニューラルネットについて学ぶ.
5. ニューラルネットワーク2
相互結合型ニューラルネットを用いた記憶のシミュレーションやニューラルネットの応用例について学ぶ.
6. 脳情報処理のモデルと実験的検証
意思決定の計算論を例として脳情報処理のモデルとその実験的検証について学ぶ.
7. 1-6回目の講義の範囲について習熟度確認をおこなう.
8. 脳波と誘発電位
刺激に対して神経細胞が活動することによって生じる電位変化(=誘発電位)を用いて脳内の情報処理を検討する手法を学ぶ.
9. fMRI(機能的磁気共鳴画像法),NIRS(近赤外分光法)
fMRIやNIRSなど,神経活動に伴って生じる脳血流量の変化を用いて脳内の情報処理を検討する手法を学ぶ.
10. tDCS(経頭蓋直流刺激法),TMS(経頭蓋磁気刺激法)
脳を刺激した時に何が起こるかを観察し,その結果から刺激した脳部位の機能を調べる方法について学ぶ.
11. 複数の脳計測法による研究法
複数の脳活動計測法を組み合わせた研究手法について学ぶ.
12. ブレイン・マシン・インタフェース(BMI)と神経デコーディング
脳の信号を解読して機械やコンピュータを操作するブレイン・マシン・インタフェースや脳活動情報から知覚内容や心を読む神経デコーディングの技術について学ぶ.
13. 社会脳,心の理論
社会活動に関連した脳情報処理や他者の心を理解する脳機能の研究について学ぶ.
14. ゲノム脳科学,オプトジェネティクス,潜在脳
脳内の情報処理を担う神経細胞が遺伝子によってどの程度規定されるか,遺伝子工学により神経細胞をコントロールすることができるか,潜在的な脳内の処理が意思決定にどのように影響を及ぼすのか,など,最新の脳科学の知見について学ぶ.
15. これまでの講義内容についての習熟度確認を行う.
16. 15回目の講義でおこなった習熟度確認の課題について解説する.

 
授業の詳細3 ■ テキスト

適宜資料を配布する.


■ 参考書

・「脳の計算理論」川人光男著(産業図書)
・「イラストレクチャー 認知神経科学 ―心理学と脳科学が解くこころの仕組み―」村上郁也編(オーム社)
・「ブレイン・マシン・インタフェース ―脳と機械をつなぐ―」「脳を活かす」研究会編(オーム社)
・「ブレイン‐マシン・インタフェース最前線 ―脳と機械をむすぶ革新技術」櫻井芳雄, 小池康晴, 鈴木隆文, 八木透著(工業調査会)
・「ブレイン・デコーディング ―脳情報を読む―」「脳を活かす」研究会編(オーム社)
・「脳型情報処理 ―非ノイマン処理への道―」 小杉幸夫,小谷泰則,武者利光著(森北出版株式会社)

その他,講義中に適宜紹介する.


■ 成績評価

講義中に行う小課題(15%),前半部分の習熟度確認の成績(25%),全体の習熟度確認の成績(60%)により総合的に評価する.

AA:課題の達成度および習熟度確認の成績が非常に高い場合
A:課題の達成度および習熟度確認の成績が高い場合
B:課題の達成度および習熟度確認験の成績が全体的に基準を超えている場合
C:課題の達成度および習熟度確認の成績が部分的に基準を超えている場合


■ 履修前の受講が望ましい科目

「知覚と認識」,「感覚・神経生物学」,「認知心理学」,「人工知能基礎」,「学習と推論」
(ただし,上記は情報学群の学生のみに適用する.本講義はシステム工学群と共通の科目であるため,推奨科目で学ぶ知識は前提としなくても理解できる内容とする.)
 
授業の詳細4  
授業の詳細5  
授業の詳細6  
授業の詳細7  
授業の詳細8  
授業の詳細9  
授業の詳細10  


Copyright (c) 2006 NTT DATA KYUSHU CORPORATION. All Rights Reserved.