科目名 |
情報学群実験第3C |
担当教員 |
吉田 真一 |
対象学年 |
3年 |
クラス |
学部:専門001 |
講義室 |
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開講学期 |
1学期 |
曜日・時限 |
月3,月4,木3,木4 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
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備考 |
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授業の詳細1 |
【授業の目的】
本授業は,情報学群コンピュータサイエンス専攻,情報通信専攻3年生を対象として,現代の計算機ハードウェア,ソフトウェア,情報通信の技術を習得することを目的とし,インターネット技術をはじめとする計算機および情報通信の分野での標準的な機器,サービスの設置,構築を行う. 本講義で取り扱う技術は,Microsoft Windows, Apple Macintosh, LinuxをはじめとするUNIX系OS,TCP/IPネットワークの設計,およびそれらの上に構築される代表的なネットワークサービスである. 近年,計算機およびインターネット技術は大きな発展を遂げ,数多くの有用なサービスが実現されているが,本授業の限られた時間では,それらをすべて網羅することは難しいため,それらの根本的な仕組みの理解に重点をおき,基礎的かつ実用性の高い技術を取り上げる. 本授業では,OS上でソフトウェアの構築,ネットワークサービスの構築を行う作業が中心となるため,Windowsと,コンピュータリテラシ,応用コンピュータリテラシで取り上げているUNIXおよびMacintoshの基本的な操作は既に行えるようになっておくことが望ましい. 本授業は,2Qに開講される「情報学群実験第4C」と密接に関係するものであり,両科目を同時に履修申告すること.
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授業の詳細2 |
【授業の進め方】
本授業では、各回とも3時限目と4時限目に連続して1回の授業とし,週2回(月曜日および木曜日)行われる.実習項目は,下記の詳細にあるように独立した項目に分けられており,各実験項目について,1回ないし3回の授業を使って行う.各実習項目では,コンピュータおよびネットワーク機器の操作,実験器具・機材の使用,部品の作成などを通して,システムの構築から運用・保守に至るまでの基礎的な実習を行う.各実験項目について具体的な課題は提示されるが,それらを実現する技術,ソフトウェアや機器の操作方法については細かく触れないので,履修者は,各授業を行うにあたり事前に関連技術,知識の予習を行ってくる必要がある. 本実験は,数名(5名程度)のグループを作り,グループごとに実験を進める.本授業では,グループで協同して各実験項目及び関連課題を解決する.更に、実習内容の記録を残すことで常にメンバー全員が情報を共有し合うようにする.情報システムの構築は,複数のエンジニアが協力して作業を行うことも重要であるので,グループの他のメンバーと協調せず個人で勝手に実習を進めることのないよう注意すること. 各実験項目を開始する際,授業の最初に20分の実験項目の説明を行う.ここで,この実験項目の目的,内容,具体的に使用する技術とその概念,使用する機器・ソフトウェアとその操作方法について簡潔に説明を行う.各グループについて最低1回,この説明を行うこととする.説明を担当する回のグループは,事前に予習を行い,プレゼンテーションを作成し,20分でこの説明を行うものとする. |
授業の詳細3 |
各実習項目ごとにレポートを提出する.本授業の成績は,この全7回のレポートの内容により決まる.定められた期限までに,定められた項目について記述されたレポートを提出しなかった場合は,単位取得は認められない.レポートは定められた様式で作成するものとする. その他の注意事項として,実習中は不具合,操作ミスなどにより実習項目を達成するために多くの時間が必要になる場合もしばしば発生するため,グループによっては3時限目および4時限目内では終了できずに実習を延長する場合もあることに留意すること.実習を延長する場合でも,各グループごとにメンバー全員で最後まで責任を持って行うこと. 本授業は実験科目であり,すべての授業に出席することが単位認定の前提である.遅刻および欠席のあった場合は単位取得は認められない. |
授業の詳細4 |
【授業の目標】
本実験を通じて、コンピュータシステム,ネットワークサービスを自ら構築することにより現代のコンピュータ技術,TCP/IPネットワークの仕組みならびに機能などを理解し、情報処理システムを現実に活用するための技術と学術的な探求心を函養する.本実験により以下のような能力を身につける. (1) 与えられたコンピュータ機器について導入,適切な設定を施し,健全な状態に保つこと (2) 与えられたネットワーク機器を接続し,適切な設定を施し,健全な状態に保つこと (3) IPアドレス,ルーティングなどのIPネットワークの設定を行うこと (4) UNIX, Windows, Macintoshのオペレーティングシステムを操作し,アプリケーションソフトウェアの導入,ハードウェアデバイスの接続,デバイスドライバの導入,設定を行うこと (5) TCP/IPの名前解決,電子メールシステムの構築を行うこと (6) WWWサービスの構築を行うこと (7) データベースシステム,Webアプリケーションソフトウェアの構築を行うこと
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授業の詳細5 |
【授業計画】 下記にあげる7項目について,15回の授業で実験を行う.
1〜2.オペレーティングシステム・ネットワーク設定 サーバおよびクライアント用オペレーティングシステムをインストールし,基本的な設定を行う.また,ネットワークケーブルを作成し,スイッチを介して相互に接続し,基本的なネットワーク設定を行う. 本項目では,UNIX系(Linux)・Microsoft Windows・Apple Macintoshなどの種々のオペレーティングシステムおよびその構成について理解を深め,それぞれのネットワーク設定(IPアドレス,ネットマスク,ルータアドレス,DNSサーバなどの概念)・サービス利用方法を習得する.ケーブルの作成においては,Category5 Ethernet ケーブルの製作を行い, Ethernetケーブルのうち非シールドツイストペア(UTP)ケーブルの構造を理解する.
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授業の詳細6 |
3〜4.オペレーティングシステムのセキュリティ設定・管理 オペレーティングシステムを安全に利用するためには,オペレーティングシステムに適切なセキュリティ設定を行う必要がある.オペレーティングシステムをはじめとするソフトウェアシステムは,安全性の問題点が後から明らかになることも多いため,常にアップデートを行い最新の状態に保っておく必要がある.また,オペレーティングシステム上に多くのプロセス,サービスが動作しており,これらが安全上の問題になることも多い.このため,不必要なプロセスやサービスの動作を停止するなどの措置も必要である.これらの実習を通して,ソフトウェアシステムの安全な利用方法を習得する.
5〜6.ソフトウェアのインストール・パッケージシステムの理解 オペレーティングシステム上で様々なサービスを構築し,情報システムを利用するためには,アプリケーションソフトウェアをインストールする必要がある.特に,UNIX系OSにおいて,サーバソフトウェア等,オープンソースソフトウェアを利用するためには,通常,ソース配布からの構築,またはパッケージシステムによるバイナリ実行ファイルの配置を行うが,これらの操作方法,利用方法を習得する.本項目では,ソフトウェアの概念,構築(プリプロセス,コンパイル,リンク,ロード,およびmakeなどのビルド支援システム),ライブラリおよびそれらのリンク機構を理解する.また,ソフトウェアの複雑な依存関係と,パッケージシステムの利用による依存解決を理解する.
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授業の詳細7 |
7〜8.WWW, 動的コンテンツ 現在のインターネットにおいて,もっとも広く利用されるWorld Wide Webサービスを構築する.本課題では,Apacheを用いたWWWサーバの構築,設定方法を習得する.ソフトウェアインストール時の設定,および設定ファイルによる動作設定,htaccessファイルなどによるコンテンツ管理設定の基礎を理解する. HTML形式ファイルなどによる静的なWWWサービスだけでなく,利用者の操作・状況に応じた動的Webサービスを構築するために,SQLによるデータベースサービスの構築および,Apacheとの連携,動的Webシステムの基礎となるCGIやサーバ上でのHTMLプリプロセススクリプト言語のインストールを行う.
9〜10.データベースおよびWebシステム
本課題では,WebサーバとWebサーバ上での外部プログラム・データベースとの連携による動的Webの仕組みを理解する. 代表的なWebシステムとして,Wiki, CMS, Blog システムなどをインストールする.
11〜12. 暗号通信
SSL を用いた,暗号通信経路を構築する.公開鍵暗号方式,共有鍵暗号方式,OpenSSL による鍵の生成,管理,認証局について理解する. |
授業の詳細8 |
13~15.ファイル共有,ストレージとバックアップ,引き継ぎ
NFSやSMB プロトコルによるファイルの共有と,ファイルのバックアップ,RAID を用いたストレージシステムの冗長化,耐障害性の向上の仕組みを学ぶ.
【テキスト】 授業の進展に応じて適宜指示・配布する.
【参考書】 Hunt著,村井純監訳「TCP/IPネットワーク管理 第2版」(オライリージャパン 1998) Frisch著,谷川監訳「UNIXシステム管理 改訂版」(オライリージャパン 1998) その他,授業の進展に応じて適宜指示する.
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授業の詳細9 |
【成績評価】 全7回の各実習項目毎にレポートを課し、実習内容に関するコンピュータ技術,TCP/IP通信技術,関連技術などについての記述と構築・変更・設定等の記録の正確さ、実習項目および課題の理解度・達成度を評価する. 各実習項目についてのレポート配点比率は等配分とする. ●AA:課題で必要な項目全てが正しく記述されている ● A:課題で必要な項目のうち8割以上が正しく記述されている ● B:課題で必要な項目のうち7割以上が正しく記述されている ● C:課題のうち特に重要な項目について概ね正しく記述されている
レポートの記述は,本授業の成績評価に重要な影響を及ぼすものであるので,技術文書作成に関する参考書(例えば,木下是雄「理科系の作文技術」中公新書など)に沿った執筆を行うこと.
【履修上の注意】 ・履修の前提となる必修科目=「情報学群実験第2」 ・事前の履修が望ましい科目=「通信網概論」,「通信方式」「オートマトンと形式言語」「論理回路」 ・同時に履修することを推奨する科目=「計算機ネットワーク」「情報セキュリティ」
・本実験のより詳細な情報は http://www.info.kochi-tech.ac.jp/shin/exp34c/index.html に掲載する. |
授業の詳細10 |
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