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タイトル「2012年度シラバス」、フォルダ「2012年度シラバス?情報学群専門科目
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 情報学群実験第4C 
担当教員 吉田 真一 
対象学年 3年  クラス 学部:専門001 
講義室   開講学期 1学期 
曜日・時限 月3,月4,木3,木4  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 【授業の目的】

本授業は,情報学群コンピュータサイエンス専攻,情報通信専攻3年生を対象として,現代の計算機ハードウェア,ソフトウェア,情報通信の技術を習得することを目的とし,インターネット技術をはじめとする計算機および情報通信の分野での標準的な機器,サービスの設置,構築を行う.

本講義で取り扱う技術は,Microsoft Windows, Apple Macintosh, LinuxをはじめとするUNIX系OS,TCP/IPネットワークの設計,およびそれらの上に構築される代表的なネットワークサービスである.
近年,計算機およびインターネット技術は大きな発展を遂げ,数多くの有用なサービスが実現されているが,本授業の限られた時間では,それらをすべて網羅することは難しいため,それらの根本的な仕組みの理解に重点をおき,基礎的かつ実用性の高い技術を取り上げる.

本授業では,OS上でソフトウェアの構築,ネットワークサービスの構築を行う作業が中心となるため,Windowsと,コンピュータリテラシ,応用コンピュータリテラシで取り上げているUNIXおよびMacintoshの基本的な操作は既に行えるようになっておくことが望ましい.

本授業は,1Qに開講される「情報学群実験第3C」で習得した内容を基礎に,さらに発展的・実践的なネットワークシステム,コンピュータシステムの構築を行うものである.

 
授業の詳細2 【授業の進め方】

本授業では、各回とも3時限目と4時限目に連続して1回の授業とし,週2回(月曜日および木曜日)行われる.実習項目は,下記の詳細にあるように独立した項目に分けられており,各実験項目について,1回ないし3回の授業を使って行う.各実習項目では,コンピュータおよびネットワーク機器の操作,実験器具・機材の使用,部品の作成などを通して,システムの構築から運用・保守に至るまでの基礎的な実習を行う.各実験項目について具体的な課題は提示されるが,それらを実現する技術,ソフトウェアや機器の操作方法については細かく触れないので,履修者は,各授業を行うにあたり事前に関連技術,知識の予習を行ってくる必要がある.

本実験は,数名(5名程度)のグループを作り,グループごとに実験を進める.本授業では,グループで協同して各実験項目及び関連課題を解決する.更に、実習内容の記録を残すことで常にメンバー全員が情報を共有し合うようにする.情報システムの構築は,複数のエンジニアが協力して作業を行うことも重要であるので,グループの他のメンバーと協調せず個人で勝手に実習を進めることのないよう注意すること.

各実験項目を開始する際,授業の最初に20分の実験項目の説明を行う.ここで,この実験項目の目的,内容,具体的に使用する技術とその概念,使用する機器・ソフトウェアとその操作方法について簡潔に説明を行う.各グループについて最低1回,この説明を行うこととする.説明を担当する回のグループは,事前に予習を行い,プレゼンテーションを作成し,20分でこの説明を行うものとする.
 
授業の詳細3 各実習項目ごとにレポートを提出する.本授業の成績は,この全7回のレポートの内容により決まる.定められた期限までに,定められた項目について記述されたレポートを提出しなかった場合は,単位取得は認められない.レポートは定められた様式で作成するものとする.

その他の注意事項として,実習中は不具合,操作ミスなどにより実習項目を達成するために多くの時間が必要になる場合もしばしば発生するため,グループによっては3時限目および4時限目内では終了できずに実習を延長する場合もあることに留意すること.実習を延長する場合でも,各グループごとにメンバー全員で最後まで責任を持って行うこと.

本授業は実験科目であり,すべての授業に出席することが単位認定の前提である.遅刻および欠席のあった場合は単位取得は認められない.

 
授業の詳細4 【授業の目標】

本実験を通じて、コンピュータシステム,ネットワークサービスを自ら構築することにより現代のコンピュータ技術,TCP/IPネットワークの仕組みならびに機能などを理解し、情報処理システムを現実に活用するための技術と学術的な探求心を函養する.本実験により以下のような能力を身につける.

(1) 電子メールやファイル共有などのインターネットにおいて標準的なサービスの構築技術,およびその仕組みを理解する.

(2) ネットワークプリンタなどのネットワークデバイスの共同利用と,資源の排他制御・利用の調停の仕組みを理解するとともに,PostScript・PDFなどのネットワーク上での標準的なファイル交換形式とその仕組みについて理解する.

(3) インターネットの根幹をなす,ネットワーク層の構築を通して,インターネットのコアをなすインターネットプロトコル,ルーティングによる経路制御の方式,およびネットワーク設計について理解する.

(4) LAN(Local Area Network)の標準であるEthernetと,そのネットワーク設計について理解する.VLAN技術やカプセル技術を通して,LANのみならず,WAN技術としても標準的に広く用いられつつあるEthernet技術について理解を深める.

(5) IPパケットフィルタリングによるネットワークセキュリティ,およびスクリーニングやプロキシサービスの構築を行い,安全なネットワーク設計方法を習得する.また,近年広く用いられているトランスポート層のアドレス変換技術(NAT, PAT)によるポートレベルのセキュリティ設定,およびポートフォワーディング技術の併用によるサービス構築について理解する.

(6) 大規模階層的ネットワークおよび総合的なコンピュータシステムのネットワークサービスの構築における注意点,トラブルシューティングについて理解する.

 
授業の詳細5 【授業計画】
下記にあげる7項目について,15回の授業で実験を行う.

1〜2.名前解決
インターネット上では,すべての端末はIPアドレスにより識別されるが,通常利用者がこのアドレスを利用することはない.その代わりに利用者は「ホスト名」により自分が利用するコンピュータシステムを識別する.ホスト名とIPアドレスの対応づけを名前解決と呼ぶ.本課題では,hostsファイルおよびDNS(Domain Name System)を用いた名前解決システムを構築することにより,ネットワークシステム構築上の基礎となるサービスを構築する.本課題を通して,DNSのよるインターネットの階層的・分散的名前解決システムの仕組み,オペレーティングシステム上のhostsファイルとの利用切り替え方法などを理解する.

3〜4.電子メールシステムの構築
電子メールシステムの構築を行う.MTA(Mail Transport Agent),MDA(Mail Delivery Agent)によるメールサーバ設定,クライアントにおけるMUA(Mail User Agent)設定を行い,SMTPやPOPなどの電子メールシステムでの基本的なプロトコルを理解する.本課題を通して,メーリングリストなどのサービス構築,メール転送手順,MIME(Multipurpose Internet Mail Extensions)技術による添付ファイルの実現,文字コード問題について理解する.

5〜6.サブネット化およびルーティング(L3ネットワーク分割)
既存のネットワークのサブネット分割およびルーティングを行う.この課題を通して,インターネットの基礎であるIPパケットと,ルータ上でのその転送処理の仕組み,そのためのルーティング設定とルーティングテーブルの考え方について理解する.また,動的ルーティングプロトコルとその仕組み,設定方法,諸問題についても理解する.

 
授業の詳細6 7〜8.モバイル環境の構築,DHCP

無線LANによるLANへのアクセス設定を行う.
IEEE 802.11 規格の無線LAN に用いられる,暗号化方式,認証方式,電波帯域の適切な利用(チャンネル)などを学ぶ.

9〜10.Ethernet VLANの設定
Ethernet VLAN(Virtual LAN)によるデータリンク層レベルでのネットワーク分割とその意義を学ぶ.
 
授業の詳細7 11〜12.ネットワークセキュリティ
パケットフィルタによるネットワークレベルのセキュリティ設定を行い,ファイアウォールの基礎を理解する.また,プロキシによる代替サービスによる利用者への代替アクセス手段の提供方法を理解する.イントラネットの構築に加え,VPN環境によるイントラネットの拡張,エクストラネット,要素技術であるカプセル化とトンネリング,暗号についても学ぶ.

13〜15.最終課題
これまでの課題で習得してきた基本的な技術を応用して、より高度で大規模な実用的ネットワークの設計・構築を行う.大規模組織のネットワークを,階層構造を持つ分散型ネットワークで実現し,仕様で要求される基本的なサービスを構築する.与えられたネットワーク資源とネットワーク情報を用いて,要求されるネットワークを各グループで連携して構築する.これにより、これまでの個々の内容の習熟度を高めるとともに、実際に与えられた環境のもとでユーザの要求を満たすネットワークを設計する能力を身につける.また,実際のネットワーク構築で求められる異なるネットワーク間でのネットワーク管理者の連携についても学ぶ.

【テキスト】
授業の進展に応じて適宜指示・配布する.

【参考書】
Hunt著,村井純監訳「TCP/IPネットワーク管理 第2版」(オライリージャパン 1998)
Frisch著,谷川監訳「UNIXシステム管理 改訂版」(オライリージャパン 1998)
その他,授業の進展に応じて適宜指示する.
 
授業の詳細8 【成績評価】
全7回の各実習項目毎にレポートを課し、実習内容に関するコンピュータ技術,TCP/IP通信技術,関連技術などについての記述と構築・変更・設定等の記録の正確さ、実習項目および課題の理解度・達成度を評価する.
各実習項目についてのレポート配点比率は等配分とする.
 ●AA:課題で必要な項目全てが正しく記述されている
 ● A:課題で必要な項目のうち8割以上が正しく記述されている
 ● B:課題で必要な項目のうち7割以上が正しく記述されている
 ● C:課題のうち特に重要な項目について概ね正しく記述されている

レポートの記述は,本授業の成績評価に重要な影響を及ぼすものであるので,技術文書作成に関する参考書(例えば,木下是雄「理科系の作文技術」中公新書など)に沿った執筆を行うこと.

【履修上の注意】
 ・履修の前提となる必修科目=「情報学群実験第3C」
 ・事前の履修が望ましい科目=「計算機ネットワーク」「情報セキュリティ」

 ・本実験のより詳細な情報は
  http://www.info.kochi-tech.ac.jp/shin/exp34c/index.html
  に掲載する.
 
授業の詳細9  
授業の詳細10  


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