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タイトル「2012年度シラバス」、フォルダ「2012年度シラバス?マネジメント学部専門科目
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 企業倫理 
担当教員 坂本 泰祥,各指導教官 
対象学年 2年  クラス 学部:専門001 
講義室   開講学期 2学期 
曜日・時限 時間外  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 【授業の目的】
企業が起こす不祥事や反社会的行動の報道が跡を絶ちません。一方で企業はモノ・サービスの供給者であり、イノベーションを実現する担い手であり、社会にとって欠くことのできない組織でもあります。その企業は、顧客や資本の提供者(株主など)の存在を前提に、経営者と従業員があって始めて活動できます。その経済活動が社会のなかで存続していくためには、彼らの行動に企業倫理の裏づけがなされていなければなりません。不祥事を例にとっても、それは直接の当事者個人の問題というよりも、所属する組織に起因する場合がほとんどで、組織の倫理が問われます。この科目では、まず応用倫理学の観点を入れて、企業活動において倫理が問われる領域、倫理的判断の必要性、企業倫理の制度化など様々な課題について考察を行います。また講義スケジュールの後半には、企業統治(コーポレートガバナンス)のテーマを扱います。経営者は企業戦略を立て企業を引っ張るリーダーであり、企業倫理の体現者ですが、必ず企業の主権者の眼によって監督されなければなりません。企業統治にはその仕組みとしての意義があります。本講義は企業倫理周りの事象への理解と必要な知識の習得を目的にしますが、アジアで世界で活躍する企業はどうあるべきかという企業論でもあることを言い添えておきます。
 
授業の詳細2 (授業の概要)
キーワード:付加価値の創出という企業の役割。企業と倫理。倫理の制度化。社会的責任。コーポレート・ガバナンス。これらに関わりのある個別テーマについて13回の講義、1回のケーススタディ、そして「まとめ」から構成される。講義は、毎回のテーマを説明するスライドを使用して進める。このスライドは私のホームページに、講義の1週間程度前よりダウンロード可能に設置。ケーススタディでは、授業の前までにケースをよく読んで、各自解答を用意して参加してください。
 
授業の詳細3 【授業の目標】
1)企業が倫理を問われる分野を確認する。
2)企業倫理の制度化、企業統治に関する知識を得る。
3)企業経営には倫理的な裏づけが必要なことを納得する。
 
授業の詳細4 【授業計画】
集中講義第一週
1. 企業に倫理は必要か
人間社会と倫理、倫理的問題とはなにか。
応用倫理学からのアプローチを学ぶ。
2. そもそも企業とは何か、経営とは何をすることか
企業とは何か、企業と社会の関係。経営者の役割と責任。経営者機能における企業倫理の位置づけを行う。
3. 企業が倫理を問われる分野
取引先との関係、取引方法(独禁法)、労務人事、環境、個人情報など、企業が倫理を問われる分野を確認する。
4. 法と企業倫理
法と倫理の関係、法という企ての意義、会社法等主要法規の要請するもの、コンプライアンス体制と企業倫理の関係などの位置づけを行う。
5. 事業執行、経営戦略と企業倫理
経営戦略と一体となったマーケティング倫理の確立の必要性。PL・環境問題ともリンクした製造・技術の倫理。リスク管理との関係も検討する。
6. グローバル化と企業倫理
企業活動のグローバル化に起因する倫理問題を検討する。またフェアトレードの動きや世界企業の企業倫理活動も紹介する。
7. 企業倫理の制度化
企業が倫理を血肉とするためには、企業倫理の社内制度化や社会による支援が必要。内部統制システム、評価と監査、教育、PDSサイクルマネジメントに触れる。
8.企業の社会的責任を考える。
水俣病とは何だったのか。企業経営と持続可能な社会との整合性、そのような社会形成への積極的寄与を考える。3.11後の問題、特に東電原発事故についても議論を行う。
 
授業の詳細5 集中講義第二週
9. ケーススタディ
授業の前にケースと課題研究に取り組み、各自の答えを用意して授業に臨むこと。授業においては討議を中心に進める。
10.歴史にみる日本の企業倫理
江戸時代から明治・大正・昭和の近代化の時代を振り返り、日本にもあった企業倫理概念を確認する。
11.コーポレートガバナンス(企業統治)の目的
グローバル化した経済環境下での株式公開企業の最大使命を問い掛けながら、日本の経営者、取締役会の現状とコーポレートガバナンスの意義を概説する。
12.取締役会改革―欧米ケースと日本のケース
機関化する株主、投資家が求める企業経営とは何か。日本国民はなぜ、コーポレートガバナンスを理解しなければならないのかを、年金運用をケースに理解する。
13.株主・投資家が日本経営者に求めるもの
持続的発展が可能となる経営体制の新陳代謝機能とは何か。更に情報開示、説明責任、株主責任をコーポレート・コミュニケーションズの側面から検討する。
14.M&Aによる規律づけ
過去25年のM&Aデータを用いて、M&A取引を通じて実施された経営者の規律づけを辿りながら、企業統治とM&Aの位置づけを行う。
15.全体のまとめ
 
授業の詳細6 【成績評価】
全講義の終了後、1週間程度を締切に提出するリポートで評価します。複数題のなかから2題選んでリポートしてもらう方式をとり、各題満点は50点、合計点について、貴学の区分に従った評価を出します。各課題にはいくつかポイントがあり、それに対応して書いてもらうことによって点数が積み上がります。
 
授業の詳細7 (教科書、参考文献)以前のファイルを下記と入れ替えてください。新年度でホームページ用のパスワードを変更しています。
◇テキスト
特に予定していません。講義の際使うスライドを私のホームページ(高知工科大学用ボタンを設定しています)からダウンロードして予復習に使ってください。
ホームページURL: http://www.linkclub.or.jp/~yk-mogi/
パスワード: kochitech12bizeth
◇参考書
『ビジネス・エシックス(新版)』、高巌・T.ドナルドソン著(文眞堂、2003年)、ISBN 4-830-94474-1
『ビジネスの倫理学(現代社会の倫理を考える(3))』、梅津光弘著(丸善、2002年)、ISBN 4-621-04992-1
『応用倫理学のすすめ』、加藤尚武著(丸善ライブラリー、1994年)、ISBN 4-621-07046-8
『OECDコーポレート・ガバナンス』、日本コーポレート・ガバナンス・フォーラム編(明石書店、2006年)、ISBN 4-7503-2280-6
『日本型コーポレートガバナンス』、久保利英明・高梨智弘・鈴木忠雄・酒井雷太著(日刊工業新聞社、1998年)、ISBN 4-526-04225-6
『人生の教科書 よのなかのルール』、藤原和博・宮台真司著(ちくま文庫、2005年)、ISBN 4-480-42085-1
『本当にわかる倫理学』、田上孝一著(日本実業出版社、2010年)、ISBN 4-534-04774-8
『公共哲学からの応答 3.11の衝撃の後で』、山脇直司著(ちくま新書、2011年)ISBN 4-480-01532-7
『平成不況の本質 雇用と金融から考える』、大瀧雅之著(岩波新書、2011年)、ISBN 4-00-431344-1

(準備学習等)下記の記載をお願いします。
集中講義の形式になるので、参考文献のどれでもよいから少なくとも1冊、眼を通しておくことが望ましい。

(備考欄)下記の記載をお願いします。
◇オフィスアワー
集中講義に来学のため、充分な時間をとることができません。個別の質問については、一日の講義の終わりなどに受けることにします。
◇メッセージ
倫理というと何かしかつめらしい印象をもつかも知れません。しかし企業倫理は、生命、環境、情報、ジェンダーなどと並んで、本来身近で具体的な問題を捉えて考える領域、応用倫理学の分野です。あまり構えず、しかし組織で企業で働くことになる皆さんにとって極めて重要な事柄を考える機会になると思います。
 
授業の詳細8  
授業の詳細9  
授業の詳細10  


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