科目名 |
都市環境論 |
担当教員 |
馬渕 泰,各指導教官 |
対象学年 |
3年 |
クラス |
学部:専門001 |
講義室 |
B104 |
開講学期 |
2学期 |
曜日・時限 |
月1,木1 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
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備考 |
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授業の詳細1 |
授業の目的 地球環境時代に自然と調和した豊かな社会を築くためには、都市開発の現状と問題の所在を知り、環境の保全や自然再生に係る課題について考察するプロセスは欠かせない。本講義は高知県と土佐山田町を主要なフィールドとして都市政策と環境マネジメントの課題に焦点をあて、基本的なコンセプト”Think globally and act locally”にもとづいて、我々の地域社会の環境の保全や都市再生関わる基礎的な知識と理解力および問題解決のための応用能力を身につけることを目的とする。 |
授業の詳細2 |
授業の進め方 我々の生活に極めて身近なテーマである「都市と環境」について、都市政策と環境マネジメントの視点から世界(欧州)と日本(横浜市・高知市)における代表的な都市環境問題解決に向けた事例プロジェクトについて解説する。 高知工科大学構内および片地川(物部川支川)をフィールドとして現地調査の基礎(自身の足と目で現場を確かめる)を学ぶ。個々人の学外活動においては安全に対して十分に注意を払う自覚が必要。 講義は大きく3ブロックに分かれ、(1)講義, (2)フィールド演習:現地調査、(3)フィールド・マップ演習からなり、最後に課題レポートを指定されたレポートボックスに提出する。 |
授業の詳細3 |
達成目標 ●都市政策と環境マネジメントの基本的な用語と内容を理解し説明できる。 ●我々の社会生活に直接に係わる都市政策と環境マネジメントの問題の所在を見出して課題を整理し、解決の方法を含めて説明できる。 ●自身で都市政策と環境マネジメントの問題点の所在と課題について考察し、都市と環境の保全や再生の問題点と解決策(課題)をエンジニアの視点から考察し、具体的な問題解決に向けた戦略を提示することができる。 |
授業の詳細4 |
授業授業計画
○ 都市の環境学 <馬渕> 講義の目的、達成目標、授業の進め方、成績評価について概説し、「環境」の定義、環境問題の新たな枠組み、「環境状況」から「環境変化」へ、「環境変化」から「環境問題」へ、「問題解決」の方法、「新たな環境状況」の想定など環境問題を切り取る考え方について学習する。 さらに、高知工科大学の水処理システムである「四万十川方式」を見学し、工科大学の水の再利用について知識を深める。
○ 環境の評価モデル1 <馬渕> 環境問題を討論する上で、その環境がどの程度の価値を持つかを把握することが必要である。しかし、環境の価値を評価する際、“環境”そのものが定性的なものであり、数値化することが困難である。そこで、環境資源を様々な形式で定量化させ、その価値を推定する環境経済学が構築されていった。 本講では、上記の環境経済学の概念と、評価手法の1つであるCVMについて検討していく。
○ 環境の評価モデル2<馬渕> 本講では、環境の経済評価手法の1つであるTCM、ヘドニックアプローチ、代替法について検討していく。
○ 都市環境とエコロジー(1) 地球温暖化問題 <馬渕> 近年、地球温暖化問題が国際問題として定着しつつある。地球温暖化問題は、CO2やCH4などの温室効果ガスが自然界の吸収能力以上に放出された結果、地球の保温効果が強まり、大気温が上昇している現象である。本講では、地球温暖化現象の現状、メカニズム、対策方法について学ぶ。
○ 都市環境とエコロジー(2) 都市温暖化問題 <馬渕> 日本の政令指定都市では最大規模の人口3百万人を有する横浜市を具体的な事例に、持続的な開発と環境保全に係る都市のエコロジーの現状と問題点及び課題、および問題解決の方法について学ぶ。
○ 都市環境とエコロジー(3):欧州の都市環境 <福永> 欧州の都市を事例として、都市交通体系、環境保全などを学ぶ。ドイツ、オーストリア、スイスなどの都市の地図によって、旧市街地、公共施設、観光施設などの位置と交通体系を確認するとともに、河川、湖沼、市街地の関係を学ぶ。さらに、下水処理場や分別形ごみ処理などの事例から、欧州における都市環境政策を学ぶ。 |
授業の詳細5 |
○ 高知市および香美市の環境衛生 <福永> 高知市および香美市を事例として、汚水処理(下水道)、ごみ処理を学ぶ。 全国でもトップクラスの多雨地区である高知市では、当初は治水対策と合わせて取り組んだ合流式公共下水道であったが、各種の問題が発生したため計画を変更して分流式公共下水道にした。香美市では裏戸湾東部流域下水道計画に基づく公共下水道をすすめている。それらの仕組みを学ぶとともに、ごみ処理対策として全国でも有名な細かなごみ分別収集や最終処分の方法について学ぶ。
○ 香美市の安全性とエネルギー<福永> 香美市の防災を現在問題になっている地震・津波について、地質・地形、市街地の分布等からその安全性と都市計画のあり方を学ぶ。また、都市機能を維持するために必要なエネルギーについて、物部川の水力発電の現状とダムによる環境問題、これからの開発が期待されるバイオマスエネルギー、風力、太陽光などの自然エネルギーについて学ぶ。 次に、予定される香美市のフィールド演習についてのガイダンスを行う。
○フィールド演習(11月10日(土)予定 予備日:11月17日(土)): 香美市のエコロジー現地調査 <福永・馬淵> 物部川は高知県で3番目に長い河川で、高知県下でも有数なアユ資源を有していたが、ダムによる濁水や農業用水の取水による河川の流量減少で、質・量とも最悪の状態である。また、藩政時代に建設された山田堰(遺跡)と、そこから取水し現在でも香長平野を潤す舟入川の用水路は、古くは高知城下へ米や野菜などの農産物、木材や薪炭などの林産物、物資を運搬する舟運にも利用されていた。そこで、物部川の濁水・河床・流水の状態や、地形をうまく利用した山田堰、用水路、家屋の建設などの現状を現地調査して、それらの改善策や活用方法を学ぶ。 |
授業の詳細6 |
○ ラップアップ: フィールド・マップ演習(1) <福永・馬渕> 前日にフィールド実習を行った高知市中心部および江の口川と鏡川の流域の地図をGoogle Map/Earth からダウンロードし、フィールド・マップをパワーポイントとパワーポイント上で作成し、見学地点と現地で撮影した各自の写真を貼り付け、現地調査のパワーポイント・レポートのドラフトを作成する 各位が最も興味をもったテーマのパワーポイントを完成させる演習<各自はスティック・メモリーを準備> 完成したパワーポイントのファイルをもとに、各自が数分間のプレゼンテーションを行い、その後に数分間のグループ討議を行う。最終成果のパワーポイント・ファイルをプリント・アウト(レポート)してファイルをと共に提出する。 |
授業の詳細7 |
講義の終わりに、環境問題に関するレポートを課す |
授業の詳細8 |
参考書: 1)村上雅博・中村孝一・馬淵泰、”GISソースブック” 2)村上雅博、2005、”エコブームを問う?東大生と学ぶ環境学 (第9章 3)福留脩文・福永泰久、“ビオトープの構造―ハビタットエコロジー入門” 4) 福留脩文・福永泰久,“清流を子らへ−自然環境と河川工法(第8章)”
成績評価: 評価は、@最後の演習授業で完成した現地調査報告の野帳作成、A現地調査に関するプレゼンテーション、B環境問題に関するレポートの結果、の3点を総合して最終評価とする。 AA:都市政策と環境マネジメントついての基本的な知識レベルでの理解ができ,問題の所在を見出した上で、具体的な問題の解決(課題)にもチャレンジして自身の発想から提案を示し、戦略を提示できるポテンシャルがある. A:都市政策と環境マネジメントついての基本的な知識レベルでの理解ができ,問題の所在を見出した上で解決の方向性(課題)を示すことが出来るポテンシャルがある. B:都市政策と環境マネジメントついての基本的な知識レベルでの理解ができている上で,問題の所在を見出すポテンシャルがある. C:都市政策と環境マネジメントついての基本的な知識レベルでの理解ができている. |
授業の詳細9 |
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授業の詳細10 |
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