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タイトル「2012年度シラバス」、フォルダ「2012年度シラバス?大学院 専門領域科目
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 熱力学特論 
担当教員 百田 佐多生,両角 仁夫 
対象学年 1年,2年  クラス 院:専門001 
講義室 A109  開講学期 1学期 
曜日・時限 月1,木1  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 講義の目的
  
熱力学はエネルギーを取り扱う学問として位置づけられ,自動車や航空機などの輸送機械,発電所などの動力プラントのエネルギー機器,熱流体機器の設計には不可欠である.この科目では,熱力学の基礎原理をよく理解し,エネルギーに関連する諸現象の把握だけでなく,エネルギーを扱う機械の定量的理解ができることを目的とする.
 

講義の進め方
  
前半では,熱力学の基礎を体系的に学ぶ.熱力学的状態を表現する熱や温度が物体(気体)に引き起こす変化を理解する.この変化が従う熱力学の法則からエントロピーの概念を導入するとともに,熱機関の動作が定式化できることを学ぶ.後半では、応用例を学んでいく.前半で学んだ熱力学の法則に基づいて,実際の現場に応用されている各種熱機関(サイクル)の動作を理解,解析する方法を学んでいく.

 
授業の詳細2 達成目標
1.断熱,等温過程における気体の状態変化を定量的に理解できる.
2.エントロピーの概念を理解し,簡単な計算ができる.
3.カルノーサイクルを定式化し、動作や効率を計算できる.
4.化学反応を伴う系のエネルギー変化および化学平衡を理解し,簡単な計算ができる.
5.湿り空気線図の読み方を理解し,簡単な計算ができる.
6.様々な動力サイクル(ガス動力サイクル,蒸気サイクル,冷凍サイクル)の動作原理を理解できる.
 
授業の詳細3 講義計画
  
1.講義内容の説明,温度と平衡状態
 本講義の目的,内容,評価方法について説明する.系の熱的状態を記述する物理量として温度と熱を導入し、示量変数と示強変数に分類する.熱平衡に関する熱力学第0法則について理解する.
2.熱と気体の状態変化
 比熱を用いて熱の流出入と温度変化を関係づける.気体の状態変化を表す状態方程式と比熱を用いて,気体の断熱過程と等温過程を定量的に記述する.
3.熱力学第一法則
 熱はエネルギーの一形態である.このため熱が関与する現象でもエネルギー保存則が成立し、熱力学第一法則で定式化されることを理解する.この法則を用いて、系が外部に行う仕事や断熱方程式を導出することを習得する.
4.カルノーサイクルとエントロピー
 理想気体の循環過程であるカルノーサイクルを今まで学んだ項目にもとづいて定式化し、可逆的な過程であることを理解する.示量変数であるエントロピーを定義し、カルノーサイクルでは保存される量であることを示す.
5.熱機関とその効率
 現実の熱機関に近い循環過程であるオットーサイクル等について学ぶ.これらの過程ではエントロピーは保存されず,その中に非可逆過程を含んでいることを示す.熱機関の効率を定義し、系の状態量との関係を導出する.
 
授業の詳細4 6.熱力学第二法則
 熱力学第二法則が、この効率の上限を与えることを示す.熱力学第二法則は、不可逆過程におけるエントロピーの増加としても表現できる.系が熱の移動によって平衡状態に向かう不可逆過程を例にとりあげ、エントロピーが増加することを示す.
7.熱力学ポテンシャル
 熱力学では、エネルギーとエントロピーが中心的な状態量であることを示す.この考え方にもとづいて、エネルギー・エントロピーと他の状態量を関係づける.熱過程はエントロピーが増加する方向に進むことから、エントロピーが運動学におけるポテンシャル(熱力学ポテンシャル)の役割を果たしていることを示す.
8.熱力学の一般関係式
内部エネルギー,エンタルピー,エントロピーなど測定困難な状態量を,圧力,温度,体積など測定の容易な状態量から算出する方法を学ぶ.さらに,比熱,内部エネルギー,エンタルピー,エントロピーに関する一般関係式を導出する.
9.化学反応と燃焼
系の化学組成が過程中に変化する系,すなわち化学反応が生じる系において,系の化学エネルギーを含めた形で,質量保存とエネルギー保存の原理を学ぶ.ここでは,燃料が酸化して大量のエネルギーが解放される化学反応である燃焼を対象として講義を行う.
10.化学平衡と相平衡
反応が生じる系において,化学平衡を規定する条件を導出し,平衡定数ならびに化学平衡に及ぼす圧力と温度の影響について学ぶ.さらに,反応が生じない系での相平衡についても理解する.
 
授業の詳細5 11. ガスサイクル
自動車用エンジンやガスタービンなどの内燃機関のサイクル動作原理について理解し,その解析方法ならびに理論熱効率について学ぶ.
12.蒸気サイクル
作動流体が蒸発と凝縮を交互に繰り返す蒸気サイクルの動作原理を理解し,その解析方法ならびに熱効率を上げるために考え方について学ぶ.
13.冷凍サイクル
冷凍機およびヒートポンプなど冷凍サイクルの動作原理について理解し,サイクルの性能を表す成績係数(COP)について学ぶ.
14.空気調和
空気中に水蒸気を含む湿り空気の状態を図式化した湿り空気線図の読み方や相対湿度、絶対湿度、露点などを学び、空気調和過程における温度と湿度の変化を理解する.
15.14回目までの確認
本講義の達成目標1−6が満足されているかを確認する. 
授業の詳細6 成績評価
15回のうち10回以上を出席した学生に対し以下の基準で成績を評価する.
各回に課題として出したレポートおよび習熟度の確認の結果に基づき以下の基準で評価する.
AA:レポート,習熟度の確認で出題された問題がほぼ完全解答できる.
A:達成目標の1〜5に関する問題が解答できる.
B:達成目標の1〜4に関する問題が解答できる.
C:達成目標の1〜3に関する問題が解答できる.

◇テキスト
『JSMEテキストシリーズ 熱力学』,日本機械学会(丸善),1,980円

◇参考書
『科学者と技術者のための物理学II 熱力学』,Raymond A. Serway著(学術図書出版社)
『熱力学−統計力学』,W. グライナー著(シュプリンガー フェアラーク東京) 
授業の詳細7  
授業の詳細8  
授業の詳細9  
授業の詳細10  


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