科目名 |
パターン認識・理解 |
担当教員 |
吉田 真一 |
対象学年 |
3年 |
クラス |
学部:専門001 |
講義室 |
A106 |
開講学期 |
1学期 |
曜日・時限 |
火2,金2 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
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備考 |
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授業の詳細1 |
授業の目的
人や自然界の情報をコンピュータに適切に理解させるためには、人の文字や声、 自然現象等をセンサで入力して得られるデータを、適切にコード化する必要が ある。これらのデータをパターンと呼び、パターンがどのような意味を持つの か、どのようなカテゴリに分類されるのかを行う処理が、パターン認識・パター ン理解である。前半は、線形識別関数、類似度、統計的手法など、基本的なパ ターン識別法を述べる。後半は、パターン認識の各過程である、前処理、特徴 抽出、理解について詳述する。本講義の目的は、種々のパターン識別法の特性 が理解できるとともに、前処理から認識に至るまでの系全体が把握できるよう になることである.
授業の進め方
本授業は、演習を含む講義を計18回の試験を行う。 まず、講義で各パターン認識手法について説明した後、演習にて実際に計算を 行い、理解を深める。
達成目標
本授業を受講することで、以下のような項目について習得する。
(1) パターン認識の基本的な考え方の理解 (2) 前処理、特徴抽出の概要の理解 (3) パターン空間の考え方とその上の距離、類似度の考え方の理解 (4) 線形識別関数、最近傍法、統計的手法を用いた識別法の理解 (4) 動的計画法、弛緩法の理解 (5) ニューラルネット、部分空間法の理解 (6) 上記手法の違いと関連性の理解、応用
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授業の詳細2 |
授業計画
次の順で講義を進める。
1.パターン認識・理解の概要
パターン認識・理解の目的、情報処理における位置づけについて講述し、学習 の動機付けを行う。パターン認識系を概説し、本講義の全体像を述べる。
2.パターンの記述,パターン空間
ベクトルによるパターンの記述と,パターンベクトルによるベクトル空間につ いて述べる.また、ベクトル、行列、線形空間、テンソル、関数空間などの パターン認識理論を記述する数学的概念について概要を述べる。
パターン間の近さの概念を説明し、それを表す尺度として、距離関数を 述べる。距離には種々のものがあることを述べ、ベクトル空間におけるノルム と距離の関連など,ベクトル空間における距離の基本的な概念や,その代表的 なものについて解説する。
3.学習と識別関数
入力パターンがいずれのカテゴリーに属するかの決定に関わる関数を識別関数 という。最も基本的な識別関数として線形識別関数を取り上げ、識別決定境界 を用いてカテゴリーを分離していることを明らかにする。また、線形識別関数 は距離を用いて識別しているのと等価であることを述べる。
4.区分的線形識別関数、最近傍法
1枚の識別決定境界でカテゴリーを分離するのではなく、何枚かの境界を繋ぎ 合わせることにより分離する区分的線形識別関数について解説する。また、入 力パターンから見て最近傍のカテゴリーに識別する最近傍法との関連に付いて 考察する。ニューラルネットワークの一種であるパーセプトロンの学習規則 についても学習する。
5.誤差評価による学習
トレーニングデータによる学習において、教師信号と出力との誤差を評価し この誤差を減少させる学習法である、Widrow-Hoffの学習規則について述べる。 この学習規則に基づいて、最急降下法による最適化の考え方から、 誤差逆伝搬法(バックプロパゲーション)まで考察する。
6.演習:線形識別関数と誤差学習
パーセプトロンによる線形識別関数の学習を、2クラスの分類問題に対して実際に机上で行う。 また、誤差学習についても机上で行い、線形分離不可能な問題に対しても近似的に線形識別 関数を構築する手法を実際の計算を通して学ぶ。
7.識別関数の設計
パラメトリック学習とノンパラメトリック学習の違い、パラメータの推定 線形識別関数の設計法について述べる。
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授業の詳細3 |
8.第1回から第7回までのまとめ
線形識別関数の学習について、第1回から第7回までの内容をまとめる。 線形分離可能な場合に厳密に線形識別関数を導くパーセプトロン、 線形分離不可能な問題に対して近似的に線形識別関数を構築する Widrow-Hoff の学習についてまとめる。
9.統計的手法
入力パターンの生起確率が既知であるとき、入力パターンがいずれのカテゴリー に属するかを最適に求めるのが統計的手法である。統計的手法として、ベイズ 識別法と最尤法を取り上げて議論する。
10.特徴空間の次元の削減
主成分分析(PCA)、KL展開による特徴空間の次元の削減の考え方とその手法に ついて述べる。
11.部分空間法
部分空間による次元を削減した認識アルゴリズムを説明する。例としてCLAFIC法 について述べる。
12.演習:KL展開・部分空間法
データの効率的な表現をめざし、次元削減を行うKL展開・部分空間法について実際に 計算を行う。平均ベクトルと分散・共分散、共分散行列、その逆行列と固有値・固有ベクトル の導出を行う。
13.画像認識への応用
これまで学習したアルゴリズムを画像認識へ応用する例を説明する.また, 画像認識で用いられる代表的な特徴について述べる.テンプレートマッチング などについても述べる.
14.音声認識への応用
音声認識について述べる.音声認識で用いられる特徴量の他,隠れマルコフモデル 動的計画法によるDPマッチングなども説明する.
15.文字認識への応用
印刷された文字の認識(OCR),手書き文字認識などについて述べる.
16.パターンの理解
パターン識別とは、入力パターンが属するカテゴリーを決定することである。 これに対し、パターン理解とは、単なる対応付けでなくパターンの有するいろ いろな属性や他との関係を把握するである。このためには知識が必要であり、 パターン理解における知識、および、理解のモデルについて議論する。
17.第9回から第16回までのまとめ
パターン認識の一連のプロセスである前処理、特徴抽出、認識、理解に関する まとめを行う。
18.パターン認識・理解の学問分野俯瞰と展望
これまで説明した、パターン認識技術の現在の理論的体系、応用について俯瞰的に 説明し、今後の方向性、展望について、議論を行う。
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授業の詳細4 |
成績評価
演習、中間試験および期末試験で達成目標への到達度を評価する。 C:総合的に見て達成目標全体の60%に到達した場合 B:総合的に見て達成目標全体の70%に到達した場合 A:総合的に見て達成目標全体の80%に到達した場合 AA:総合的に見て達成目標全体の90%に到達した場合
履修前の受講が望ましい科目:画像処理、知覚と認識
テキスト:石井健一郎・上田修功・前田英作・村瀬洋共著 「わかりやすいパターン認識」 オーム社
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授業の詳細5 |
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授業の詳細6 |
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授業の詳細7 |
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授業の詳細8 |
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授業の詳細9 |
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授業の詳細10 |
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