科目名 |
幾何学概論 |
担当教員 |
鈴木 利幸 |
対象学年 |
2年 |
クラス |
学部:専門001 |
講義室 |
K202 |
開講学期 |
2学期 |
曜日・時限 |
木1 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
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備考 |
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授業の詳細1 |
授業の到達目標及びテーマ 中学校および高等学校における図形の取り扱いは,主にユークリッド幾何をもとにした初等幾何と三角比およびベクトルを含む解析幾何の方法による。また,特に中学校での図形指導の目標には,数学的な推論の必要性と意味およびその方法の理解もあげられている。この授業では,ユークリッド幾何学から始まる幾何学の歴史を概観し,Kleinのエルランゲン・プログラムとHilbertの公理主義の概要を通して中学校および高等学校の図形指導の背景を理解する。さらに,数学の理論的基礎となる集合と写像の概念,およびユークリッド空間の位相とこれを一般化した位相空間の基本を学ぶ。 |
授業の詳細2 |
授業の概要 中学校における図形指導の意義として,図形の概念形成と性質の理解および論理的な思考力の育成があげられる。中学校で扱われている初等幾何の原型は,「ユークリッド原論」であり,そこでは定義,公理,公準をもとにして厳密な論証を進めるスタイルが既に完成していた。そのため,論理性を鍛えるための題材としてユークリッド幾何学は学校教育においても長く君臨してきたのである。一方,高等学校における図形の扱いは,代数的手法を用いた解析幾何や三角比の利用が中心となっている。 この授業ではまず,ユークリッド原論の初等幾何の部分から始め,幾何学の歴史を概観する。中学校や高等学校の図形指導にも関連する三角法,円錐曲線論,解析幾何学を経て,非ユークリッド幾何学を取り上げる。 19世紀の前半になり,「平面上で,1直線外の1点を通り,この直線に交わらない直線はただ1つに限る」に相当するユークリッド原論の第5公準を否定した幾何学が発見された。これらを非ユークリッド幾何学と呼ぶ。幾何学(すなわち数学そのものも)は永遠の真理を語るものだと思われていたが,互いに相容れない複数の幾何学が発見されてしまったのである。幾何学とは何か?に対する答がKleinによるエルランゲン・プログラムであり,数学とは何か?に対する答の一つがHilbertによる公理主義である。これらの考え方の概要を学び,抽象化された現代数学の意義を理解する。 その上で,現代数学の「言語」とも言える集合の基礎を学ぶ。無限集合を対象とする集合論は Cantor によって創始された。集合論では,無限集合の「大きさ」を比較することが一つのテーマであり,例えば,自然数の集合と有理数の集合の「大きさ」が等しいことが得られる。これは,ユークリッド原論の第8公理「全体は部分より大きい」に反する結果である。その一方,実数の集合は有理数の集合より「ずっと大きい」ことが Cantor の「対角線論法」を用いて証明される。 そして,位相幾何学を始めとしてさまざまな数学的対象に現れる位相構造の基礎を学ぶ。 解析幾何で用いて来た座標平面は,ユークリッド空間の一例である。そこでは,2点間の距離を測ることが出来,さまざまな開集合や閉集合が存在している。これらの本質を取り出し,一般化することで距離空間や一般の位相空間が得られる。まず,ユークリッド空間の位相を詳しく調べ,一般化された位相空間の基礎を学ぶ。 |
授業の詳細3 |
授業計画 1.ユークリッド幾何と解析幾何 2.非ユークリッド幾何とエルランゲン・プログラム 3.幾何学基礎論と公理主義 4.集合 5.写像 6.濃度 7.実変数の連続関数 8.ユークリッド空間 9.ユークリッド空間の開集合と閉集合 10.ユークリッド空間の連続写像 11.コンパクト性 12.連結性 13.位相空間 14.いろいろな位相 15.位相的性質 定期試験 |
授業の詳細4 |
テキストまたは参考書 テキスト:「位相入門」内田伏一著(裳華房) 参考書:「数学序説」吉田洋一・赤攝也共著(培風館) 「集合と位相への入門 ?ユークリッド空間の位相 -」鈴木晋一著(サイエンス社) 「集合と位相空間」森田茂之著(朝倉書店) |
授業の詳細5 |
学生に対する評価 100点満点の試験を実施して AA: 90 - 100 A : 80 - 89 B : 70 - 79 C : 60 - 69 F : 0 - 59 とする。 |
授業の詳細6 |
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授業の詳細7 |
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授業の詳細8 |
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授業の詳細9 |
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授業の詳細10 |
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