外部資金獲得ノウハウ

1.科研費、競争的資金一般、民間財団の助成金に共通するノウハウ

  • 審査員はほぼ同じアカデミックコミュニティのメンバーなので基本ノウハウは共通です。
  • 要点は「分かりやすく書け」ということに尽きます。

分かりやすさは「論理構成の明快さ」と「デザイン的な美しさ」からなります。詳しくは4.参照。

2.日頃の心がけが大事

  • 学会発表、論文投稿など、研究者として当たり前のことを。
  • 研究会などのコミュニティに積極的に参加を。審査員は仲間内です。
  • 研究企画は年中無休で。申請直前の付け焼き刃では無理です。

3.申請前に考えること

  • どんなお金が必要なのかを明確に把握すること。

科研費、他の競争的資金、民間財団それぞれに以下の特質があります。

科学研究費補助金

研究者の独自性・自発性を尊重する資金で、金額的に大きな応募枠もある。
第一に狙うべき対象。基礎研究であっても、世界初、世界一を標榜できれば採択となる公算大。

他の競争的資金

  • JST、NEDO・経産省、総務省(SCOPE)等省庁別の公募資金で、金額は大きいが、研究目的はあらかじめ枠が決められ、成果達成も厳しく問われる。
  • 基礎研究より応用、開発研究が重視される。
  • 使途変更など制約されることが多く、概して事務手続きは煩雑。

民間財団助成金

  • 金額は少なく機器購入には不向き。反面、概して自由度は高く、使い勝手の良い資金。
  • 競争率はおしなべて科研費より高い。

これらの特徴を踏まえ、さらに科研費の場合は分科細目を精査することが重要です。
また、他の競争的資金、民間財団助成金の場合は、テーマ設定の趣旨など公募の枠組みを十分に理解することが必要です。

いずれの場合も、的外れの応募は選考対象にすらならない可能性があります。

無駄骨にしないため情報分析を。

過去の採択実績は何より雄弁です。募集元が提供するデータベースやWEBを検索し、採択テーマの傾向などはぜひ確認を。とくに、旧帝国大学しか採択になっていないようなプログラムには応募しないほうが無難です。

⇒参考サイト 科学研究費助成事業データベース(KAKEN)
⇒参考サイト (公財)助成財団センター:助成金情報

4.申請書作成上の留意点

(1)論理構成の明快さ

タイトルと見出しのつけ方、それと研究目的(申請書冒頭5行程度)で勝負が決まります。

以下は、かつて赤澤威教授が科研費セミナーで行った講演の抜粋です。
「これまで申請書作成の中で最もエネルギーを注いできたのが、①タイトル、②第1ページ目の研究目的の記述、③ページ間の整合性の3点である。

  1. タイトルには凝る。研究全体を包括し要点を凝縮したキーワードをまず創る。そこに、地域、時代、 素材などの要素をつけ加えていく。記述的なタイトルは良くない。テキスト本文中の見出しもタイトルに準じて大事。
  2. 研究目的は第1ページであり、ここを読んでもらえるかどうかが勝負。

まず、全体を説明する前文を置く。そこでは究極の目標を2-3行で格調高く謳いあげ、次に計画立案の経緯・背景を2-3行で説明する。経緯を述べるのは、自分の実績をベースにそれを発展させるのだということを主張するためである。

前文の次にくる本文では、目的、特色、位置づけの三部構成をとる。その際、見出し+箇条書きのスタイルとする。例えば、目的が複数の場合は、目的Aの見出し、目的Aの2-3行の説明、目的Bの見出し、目的Bの2-3行の説明というようにはっきり分けて記述する。次いで、特色や位置づけを述べるとき、目的A,Bにそれぞれ対応するように特色A,B、位置づけA,Bをレイアウトすることが見やすくするポイント。この目的、特色、位置づけの中での対応関係をくずさないということが、③に掲げたページ間の整合性ということである。」

⇒詳しくは井上喜雄名誉教授による科研費申請書の要点(井上)及び、久須美アドバイザーによる申請書の仕組みを参照。

(2)デザイン的な美しさ

  • 申請書式にデフォルト設定がある場合はそれに従うことが原則です。勝手な改変は減点となります。
  • その上で、行間・字間を詰めすぎないこと、適宜段落間を空けること、段落冒頭一字下げはするかしないかどちらかに統一すること、などが定石です。
  • 字数が多い場合、スペースに詰め込むことよりも、まず字数を削ることを考えます。
  • インデントで字下げをすると、段落間の論理構造がより明確になります。
  • 強調は有効ですがほどほどに。
  • 適切な挿図は直感的な理解を助け、文字スペースの節約にもつながります。

⇒詳しくは久須美アドバイザーによる資料申請書の挿図の作成要領を参照。