特別講演・シンポジウム等

 本大会でも、特別講演やシンポジウムを実施いたします。

準備委員会企画特別講演(9月24日11時30分から12時30分まで)

社会科学の中のグループ・ダイナミックス  共感・分配・規範をめぐる一考察

 講演者 亀田 達也(東京大学)

 司会 三船 恒裕(高知工科大学)

 亀田達也先生は東京大学にて修士号を、University of IllinoisにてPh.D.を取得した後、東洋大学や北海道大学、そして現職の東京大学にて教育研究を続けられています。

 亀田先生のご研究内容はまさにグループ・ダイナミックスです。 集団意思決定、共感、分配、規範など、人々が織りなすグループ・ダイナミックスのメカニズムを明らかにする研究をJPSPやJESP、あるいはPNASなどのトップジャーナルに次々と発表されています。 そこで用いられている理論や手法は心理学に限りません。 経済学や政治学の理論や観点を取り入れたり、神経科学や計算論的アプローチなどの手法を取り入れたりと、まさに社会科学としてのグループ・ダイナミックス研究を牽引されてこられました。

 この特別講演では亀田先生のこれまでの研究だけでなく、今まさに進行中の研究も含めて、どのような問題意識で研究を進めてこられたのかをお聞きします。 私は先生のご講演の中に、今後のグループ・ダイナミックス研究が発展する鍵があると確信しています。 来場の皆様と一緒に議論したいと考えておりますので、是非ともご参加ください。

(文責:三船恒裕)


準備委員会企画シンポジウム(9月23日16時から18時まで)

同調現象解明に向けた学際的アプローチ

 企画者 三船 恒裕(高知工科大学)
 話題提供者 鈴木 真介(一橋大学)
 話題提供者 出馬 圭世(高知工科大学)
 話題提供者 豊川 航(University of Konstanz)
 司会 三船 恒裕(高知工科大学)

 Sherifの研究を持ち出すまでもなく、同調現象のメカニズムを理解することはグループ・ダイナミックス研究の目標のひとつである。 社会における規範の生成・維持を理解するうえでも、集団が形成・維持されるメカニズムや集団間葛藤を理解するうえでも、同調をもたらす心理・行動原理を解き明かす必要がある。 人々はなぜ、どのようにして他者の意見や行動に合わせるのか。ともすれば、同調はもはや古典であり、研究すべき謎は残っていないと考えてしまうかもしれない。 しかし、心理学の外に目を向ければそこには同調に関して解き明かすべき謎や、解き明かす方法がさまざまに存在している。 我々はもう一度、分野外の観点を取り入れたうえで同調という現象に向き合うべきではないか。そうした思いからこのシンポジウムを企画した。

 登壇していただくのは神経科学者2名と数理生態学者1名である。鈴木真介氏からはリスク選好の同調とその神経基盤についてのお話をいただく。 出馬圭世氏からは態度・好みの同調とその神経基盤についてのお話をいただく。豊川航氏からは多数派同調と個人の学習から自己組織的に生じるグループ・ダイナミックスについてのお話いただく。 いずれの話題提供者も心理学の研究を踏まえた上でそれぞれのアプローチから同調現象を解き明かそうと研究している。 話題提供者の発表を聞いて多くの知識や気づきを得るだけでなく、素朴な疑問からマニアックな疑問までぶつけ合うことで、有意義な議論ができるものと期待している。 そこで、今回のシンポジウムでは指定討論者を置かない。話題提供者からも、広くフロアの先生方と率直な議論を行いたいという希望をいただいている。是非とも、忌憚のない質問やコメントをお願いしたい。