Lesson3

自己PRの
ケーススタディー

自己PRの良い例と悪い例をまとめました。
これを参考に自分自身の自己PRをうまくまとめましょう。

良い例 1

❶私の「長所」は行動力です。

私の所属しているゼミでは企業と大学がコラボレーションして商品開発を行うという取り組みがありました。❷私はこのゼミで企業と協働で、スーパーやコンビニエンスストアで販売されているサンドイッチシリーズの新商品開発に参画しました。10名のメンバーで10案提出して、最終的に1案に絞り込み商品化するのですが、味はもちろんのことその周辺にある市場の状況や、製法、手にとってもらえるようなラッピングのデザインについても考える必要があり、多様な視点からモノを見る目を養うことができました。❸個人的には、ゼミ外でもスーパーやコンビニエンスストアに出向き、50種類のパンやサンドイッチを食べるなどして研究しました。

結果として、❹私が提案した案が採用され、販売までたどり着くことができました。

私はこの経験から、目的を達成するために行動量を多くすることや、多くの情報を入手し、情報を分析することを学びました。この経験を貴社で活かしたいと思っています。

  • 一行目にインパクトがあり、すぐにそれを裏付ける文章が続いています。良い導入部です。
  • 実例のポイントを企業との新商品開発に絞っているので、散漫にならず分かりやすくなっています。
  • 具体的な数字を挙げているので、行動力の指標となっています。
  • 行動の成果がきちんと記載されており、またこの活動を通して得た自分なりの気付きを述べていることが大切です。

面接官から一言アドバイス

自己PRは、自分で考えて、自分で行動したことをまとめてください。また、自己PRというと、成功体験を例に挙げなくてはならないと思いがちですが、そうとは限りません。重要なのは、そこから何を得たかということです。成功であれ失敗であれ、そこから得たこと、学んだことを主張できればいいのです。例文では、目標を達成したプロセスや成果、行動力について触れられているところがポイントアップになります。また、具体的な数字を用いて表現すると、イメージが浮かびやすく効果的です。

悪い例 1

私の長所は集中力です。

私が所属していたゼミでは、数式を用いたシステムの最適化や最適な生産計画のための最短経路を出す手法について学んできました。ゼミでは❶与えられた課題に対してメンバーで一緒に取り組みましたが、中には集中力が切れるメンバーもいたりしました。私はそんな中、❷人一倍集中して取り組みました。その後も生産計画やシステムの情報管理など周辺分野にも手を広げ、メンバーたちと数式の解析や経路の見直しなど、話し合いながら、楽しみながら集中して研究を続けました。

数式などは一つ間違えると大きなエラーにつながります。私はこの経験から、❸集中して物事に取り組み貴社の発展に貢献したいと思っています。

  • 「与えられた課題」という表現が曖昧で、どれだけ大変な課題であったのかが、わかりづらくなっています。
  • 「人一倍集中して」の具体的な内容が述べられていません。独自の集中力を高める方法などに触れること。
  • 最後の一行は自分の願望となっています。課題に対する成果を明確に述べることと、自分の長所がどのように役立ち、何を学んだかについて触れること。

面接官から一言アドバイス

自己PRイコール「自分をよく見せる」ではありません。自分だけ集中して取り組んだというPRではなく、集中力を欠いていたメンバーに対しての対応など、周りを「巻き込む力」についても言及すると、「集中力」という長所のエピソードがより具体化されます。

また、取り組みの内容が漠然としているので、詳しく固有名詞を用いて記載することや、具体的な数値を用い、第三者が見ても理解できる文章構成が必要です。

良い例 2

❶私は目標達成のため努力をする点では誰にも負けません。

大学ではバイオマテリアル、特に高分子化学分野の研究に力をいれており、昨年研究室メンバー数人と研究成果を発表する機会があったのですが、私のチームは各々発表したい内容が異なり、数日経ってもテーマが決まらない状況でした。

しかし私は自ら掲げる「人工臓器および再生医療におけるガン治療」について取り扱いたいと奮起し、❷各々の希望するテーマをメンバー間でプレゼンテーションし、よかった人のテーマを採用することを提案しました。本番さながらの資料をまとめプレゼンテーションを行った結果、内容の充実性とわかりやすさをかわれ、私のテーマが採用されることとなりました。

その後はリーダーとして、❸メンバーと共に問題点や課題の洗い出し、皆が納得いくまで議論し合うなど、最終準備も終え、結果本番では最高のA評価をいただくことができました。多くの人の意見や考えを受けてまとめ上げる力などが、この❹学生生活でしっかりと身に付いたと思います。

  • 強みが非常に伝わってくる文章です。
  • 自分の考えや行動したこと、決定したことが分かりやすくまとめられています。
  • リーダーとして周りをまとめた経験がよくわかります。
  • 自分から見た成長点を付け加えることで、説得力が増しています。

面接官から一言アドバイス

強みが非常に伝わってくる良い文章となっています。内容の方向性としても、「自分の目標達成のためにした努力」、その後「リーダーとして周りをまとめた経験」を書いてあるので、評価として良くなる可能性があります。具体例は学生時代に体験したこと、自分の考えで行動を起こし自分の力で解決したことなどを述べることで、相手に具体的なイメージを連想させることができます。

悪い例 2

私は常に❶前向きな目標を持って生活しています。

❷目標達成能力は私の強みです。一番興味がある人工知能(AI)のことを調べるレポートを書くときも「❷明日までに本を何ページ読もう」といった計画を立てることから、社会に出たときには「❷ゆくゆくはヘッドハントされるような技術者になりたい」といったことまで、いつも目標を立てるようにしています。

夢は叶うものと信じていますし、夢を追うことがなくなったら生きる価値を失うことに等しいと感じるからです。目標を掲げることによって、その過程に無駄がなくなると考えるからです。目標には遠い目標と近い目標を置くようにしています。

遠い目標の例では、世界中で❷仕事がバリバリできるエンジニアで、近い目標は❷AIの研究と語学力の向上ですです。

❸TOEIC200点UPもその一例です。

❹夢を持ち続けることが私の強みです。

  • 自己PRだからといって、自分で長所だと思っている性格をいくつも挙げるのはマイナス。一番強調したい長所について簡潔に触れましょう。
  • 具体例が身近なものから、遠い将来のものまでと飛躍しすぎています。
  • 「TOEIC200点UP」という目標が唐突に出てきますが、何のためにその目標を立てたのか、その目標達成のためにどのような具体的な努力をしているのかを語っていません。TOEICについて書く場合は現在の点数も書きましょう。
  • 途中で言いたいことがズレています。最初に「目標達成能力は私の強みです」、最後に「夢を持ち続けることが私の強みです」と「強み」が2回出てきますが、連動していません。
    また、その「強み」を具体的に裏付ける体験談などが出てきていないのも問題です。

面接官から一言アドバイス

自己PRは、今の自分の良いところをアピールする場です。夢を語るところではありません。「常に前向きであること」「目標達成のために努力できる人間であること」を主張したいのであれば、そのためにどのような行動を起こしてきたか、それがどう結果に結び付いているかを書かなければなりません。一人よがりにならないためにも、家族や友人、先輩などの第三者に読んでもらい、あなたの性格がきちんと表現できているかを評価してもらうのも一つの方法です。

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