Lesson10

企業って、何?

企業が担う社会的役割や、組織・部署の概要について学びましょう。

1企業の役割と企業の中での個人の役割

企業とは「人・モノ・金・情報」という経営資源を使って事業を行い、社会が必要とする商品やサービスを提供する利益追求の組織です。企業に就職すると、あなたは企業に労働力を提供して賃金を得ます。その一部を政府に税金として納め、残りで必要なモノやサービスを買います。こうしたお金の流れを“経済”といいます。企業の収益が増えると消費活動が活発になり、ますます企業の収益が増えることになります。この循環が経済を成長させていくのです。つまり、企業の一員となれば、あなたもまた日本経済を支えていることになるのです。

官公庁とはどう違うの?

官公庁も組織ですが、利益を追求するための組織ではないという点で、企業組織とは大きく異なります。企業は利益を上げないと存続できないため、常にライバル企業との厳しい競争を繰り広げているのです。

2上場企業・非上場企業

東京、大阪、名古屋、札幌、福岡などを拠点とする各証券取引所で株式の売買が認められている企業を「上場企業」といいます。企業が各証券取引所に上場するには、取引所の定めるさまざまな基準を満たす必要がありますが、上場すれば株式を発行して、一般投資家から広く資金の調達ができたり、社会的な信用度が高まります。証券取引所には、日本取引所グループ、名古屋証券取引所(名証)、地方市場(札幌・福岡)をはじめ、主に新興企業を対象とした証券市場も含まれます。

それに対し、「非上場企業」とは証券取引所で株式の売買がされていない企業を指します。非上場企業といっても会社規模の大小とは関係がなく、社会的信用のある優良企業は数多く存在します。

株式上場のいろいろ

日本取引所グループ、名古屋証券取引所(名証)、地方市場

2013年1月、東京・大阪の両証券取引所を傘下に置く取引所持ち株会社「日本取引所グループ(JPX)」が誕生しました。ほぼ130年間にわたってライバル関係にあった東西の二大取引所が一つになる歴史的な出来事であり、この経営統合をもって、国際的なプレゼンスの向上を目指しています。

日本取引所グループと名古屋証券取引所(名証)は企業の資本力や収益力により、第一部と第二部に分かれています。

また、地方市場とは、札幌証券取引所、福岡証券取引所のことを指し、地元企業を中心とした取引が行われています。

新興市場
(新JASDAQ、東証マザーズなど)

上場基準を緩やかにし、収益性よりもむしろ成長性・将来性を重視した、中堅企業、ベンチャー企業向けの市場を新興市場といい、「新JASDAQ」、「東証マザーズ」などが挙げられます。こうした新興市場では将来有望と目されている企業が多数上場しています。ベンチャー企業に関心があるなら、一度これらの企業をチェックしてみましょう。

非上場企業

証券取引所で株式の売買を行っていない企業のことです。しかし、非上場企業だからといって、その規模や社会的信用度が低いとは限りません。有名・優良企業であっても、経営方針によりあえて上場しない場合もあるからです。

3企業組織の基本図割

ここで紹介するのはあくまでも例です。企業の業種や規模によっても組織体系や部署名は異なります。会社案内やホームページで、各企業の組織図を確認しましょう。

4部署名だけでは見えない
仕事内容

人気の高い部署として理系学生は研究開発・設計、文系学生は企画・広報などがありますが、あなたのイメージどおりの仕事をしているとは限りません。また、同じ部署名でも、企業によって仕事内容は異なります。会社案内に掲載されている社員のメッセージなどで仕事内容に触れていることもありますが、OB・OG訪問や会社訪問で企業とじかに接して、仕事内容についてもきちんと質問しましょう。

Check Point

Check Point 1

「外資系企業」って?

「外資系企業」とは、外国資本の企業のことです。外資系企業の場合、海外本社はもとより、世界各地に現地法人を持っていることもあり、社内の公用語として外国語を使用する機会が頻繁にあります。語学力に自信のある学生には魅力的な職場環境といえるでしょう。ただし、「語学ができる」ことが決定的な採用条件にはなりません。語学力は、スキルの一つと見なされていることを認識しておきましょう。

Check Point 2

企業規模にこだわりすぎない

企業規模の見方には、資本金、売上高、従業員数などさまざまな指標がありますが、いずれにせよ大企業といわれている規模の企業は、全体からするとほんのわずかにすぎません。全国には、あなたの知らない企業が数多く存在しているのです。知名度のある大企業ばかりに目を向けるのではなく、広い視野で企業を探すようにしましょう。そうすれば、あなたに合った企業をきっと見つけることができるはずです。

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