Lesson14
職種について
同じ企業でも、職種によって仕事内容は異なります。さまざまな職種について考えましょう
1やりたい仕事と職種の研究
就職活動を始めるにあたって、業界研究と同様に大切なことは「自分が何をしたいか」を考えて職種を理解し、把握しておくことです。
業界の研究は進めているけれど、なかなか志望業界を絞ることができない。テレビコマーシャルや商品のイメージで漠然と関心があるけれど、どんな仕事に就くのか思い浮かばない。そういう場合は、会社に入ったら「何ができるのか」「そこで何をしたいのか」「自分に向いている仕事はどんなことか」を考えて「やりたい仕事」や、入社後の「キャリアビジョン」を思い描いてみてください。
最近では、入社後3年以内に大卒者の3割が離職または転職するという厚生労働省の調査データが出ています。「希望の業界には入ったけれど、想像やイメージしていた仕事と違う」、そんなミスマッチに陥らないように、自分に合った職種を研究しましょう。
2職種の分類
職種とは職業の種類のことですが、具体的な業務内容としてとらえられる場合もあります。業種・企業によって多少異なるので、実際の仕事内容をしっかり理解する必要があります。ここでは大きく「事務系」 「専門系」 「技術系」「営業系」に分類し、代表的な職種(業務内容)を挙げてみます。
事務系
人事・労務・総務・庶務・経理・会計・販売促進・広報・宣伝・マーケティングなど
※企業が円滑に機能するために必要な仕事。事務処理能力や対人折衝能力が求められる。
専門系
秘書・司書・教員・キャビンアテンダント・記者・ライター・ケースワーカー・養護施設職員・オペレーター・アナウンサー・カウンセラー・弁護士・弁理士・司法書士・公認会計士・税理士・不動産鑑定士・ツアーコンダクター・デザイナーなど
※教育・研修・資格取得が前提となる職種がほとんど。必要な条件を確認しよう。
技術系
SE(システムエンジニア)・ネットワークエンジニア・プログラマー・カスタマーエンジニア・生産管理・品質管理・生産技術・設計・測量・積算・施工管理・基礎研究・応用研究など
※主に理工系学生が中心だが、SEなどは文系学生の採用を積極的に行う企業もある。
営業系
営業(法人向け・個人向け)
販売(店舗販売・無店舗販売・訪問販売)
MR(医薬情報担当者)
セールスエンジニア(技術営業職)など
※扱う商品・サービス・取引先によって業務内容は異なる。
※組織上の職位で管理職(例:課長・マネジャー・ディレクター・部長など)と一般社員という区分もあります。
3志望と適性を考慮して、自分に合った職種を見つける
志望度の高い職種を数ある職種の中から見つけるには、志望業界で働く自分像をイメージしてみることが大切です。適職探しは、そこがスタート。「自分がやりたいこと」や、「できること」を考えながら、その業界で「働く自分像」をイメージすることは自己分析にもつながり、また自己PRや志望動機にも結び付くので、じっくりと臨むことが重要です。
また、それぞれの業界でどういう職種があって、どんな仕事内容なのかを理解しておけば、異なる業界での新しい発見もあります。
業界 | 職種 |
---|---|
建設・住宅・不動産 | 営業、設計、測量、施工管理、技術開発、デザイン、積算、インテリアコーディネーターなど |
食品メーカー | 営業、商品企画、商品開発、マーケティング、販売促進、研究開発、生産管理、物流など |
化学・薬品・化粧品 | 営業、販売、MR、基礎研究、応用研究、生産管理、商品管理、商品企画など |
機械・ プラントエンジニアリング |
営業、開発設計、生産管理、生産技術、資材調達、製品開発、情報処理など |
電子・電機 | 営業、商品開発、マーケティング、技術開発、生産技術、品質管理、カスタマーサポート、購買など |
自動車・輸送用機器 | 営業、販売、マーケティング、商品企画、商品開発、技術開発、生産技術、生産管理、購買など |
エネルギー | 事業計画、研究・技術開発、施設運転、施設管理・保全、施工管理、カスタマーサービスなど |
商社 | 営業、フィールドエンジニア、セールスエンジニア、販売企画、貿易事務、基礎研究、製品開発、システムエンジニア、製品調達、物流管理など |
金融 | 法人営業、個人営業、ファイナンシャルプランナー、代理店営業・管理、融資、商品開発、ディーラー、トレーダー、ファンドマネジャー、アナリスト、公開引受、M&A、リスク管理、与信管理など |
流通・小売り | 営業、販売、外商、スーパーバイザー、マーチャンダイザー、バイヤー、店舗開発、商品開発など |
情報・通信・IT | 営業、システムエンジニア、ネットワークエンジニア、プログラマー、商品開発、サービス開発、技術開発、メンテナンス、Webプロデューサー、Webデザイナーなど |
ホテル・旅行・ レジャー・ フードサービス |
営業、販売、フロント、コンシェルジュ、予約オペレーター、ツアーコンダクター、商品開発、調理スタッフ、ホールスタッフ、スーパーバイザー、店舗開発など |
運輸・倉庫 | 営業、企画開発、運行管理、物流管理、システム開発、ドライバー、施設管理、パイロット、キャビンアテンダントなど |
※各業界ともに、総務・経理・人事などのスタッフ部門や広報・宣伝・販売促進などの部門があります。
4職種を考えるにあたって
(1)増える職種別・部門別採用
ここ数年、職種別・部門別採用を導入する企業が増えています。ほとんどの企業が本格選考に入る前のエントリー時やエントリーシート提出時に職種・部門の選択を求めています。職種・部門をしっかり研究し、早い段階で自分の希望を固めておきましょう。
(2)キャリアデザインを考えて
あなたがこれから先、社会の中で生きていくうえで自分のキャリアをどう構築していくか、それを考えるのがキャリアデザインです。就職活動時の志望職種は、その第一歩と考えましょう。キャリアデザインを描いたうえでの志望職種なら、面接での説得力も違います。
5コース別採用について
企業によっては、総合職・エリア職・一般職(会社によって名称が異なる)というコース別人事制度を採用しています。コースによって仕事内容・待遇などで大きな違いがあります。また、複数のコースへの応募を禁止している企業もあります。志望企業の採用方法を確認してから応募しましょう。
コース名 | 職 務 内 容 | 給与・昇進 |
---|---|---|
総合職 | 基幹的業務を行い、転居を伴う異動・転勤がある。実力に応じて昇進する。技術者を採用するメーカーなどでは、事務・営業職と技術職でコースを分けて選考するのが一般的。 | 入社当初は若干の差だが、将来的に給与・昇進・住宅手当・福利厚生などで大きな格差が生じるケースもある。 |
エリア職 | 基幹的業務を行うが、転居を伴う転勤はない。昇進は限定される場合がある。営業、情報処理など特定の業務内容になることもある。準総合職、地域限定総合職などと呼ばれることが多い。 | |
一般職 | 補助的・定型的業務を行い、転居を伴う転勤はない。昇進は限定される。 |