Lesson29

面接(対面/オンライン)

面接には、個人面接・集団面接・グループディスカッションの3つの形式があります。オンライン面接も増えているのでしっかり準備しましょう。

1面接の段階

面接試験の形式や回数は企業によって異なります。一般的なプロセスは、第一次面接、第二次面接、第三次面接、最終面接となります。それぞれ、試験の形式や面接官も変わり、各段階で企業の視点や選考のポイントも違います。

第一次面接

集団面接やグループディスカッションの形式が多く、自己PRや学生時代に力を入れたことなど人柄が問われる傾向があります。マナーなどの第一印象も重要です。

担当面接官
入社3年目くらいの若手の人事採用担当者や社員
面接官の視点
同僚として一緒に働きたい人材かどうかを見られる
気を付けること
挨拶や言葉遣いなどのマナーを守る

第二次面接

自己PRや志望動機などについて、より踏み込んだ質問をされます。業界・企業研究を十分にしたうえでの自己PRがされているかどうか、受験者の本質が見られます。

担当面接官
課長クラスの採用担当者や社員
面接官の視点
部下として会社で活躍できる人間かどうかを見られる
気を付けること
自分の言葉で強みをアピールする

第三次面接

志望する姿勢が問われます。入社意志の強さや動機などの質問を通じて人柄、適性などを見られます。また、会社の方針に合った人間かどうかの確認がなされます。

担当面接官
部長クラスの採用担当者や役員
面接官の視点
会社に貢献できる人材となり得るか、潜在能力や将来性を見られる
気を付けること
堂々とした態度で対応し、その企業を志望する熱意を伝える

最終面接

Check Point

Check Point 1

面接に際して

面接官には、親しみやすい人や無愛想な人など、いろいろなタイプの人がいます。面接官がどのような態度をとっても、明るくハキハキと答えましょう。企業によっては圧迫面接といって、わざと難しい質問や厳しい態度をとって、対応できるかどうかを試す場合があります。返答に詰まるようなことがあるかもしれませんが、落ち着いて笑顔で対応しましょう。

Check Point 2

集団面接では

あなたが言おうと用意していた答えを、先にほかの学生に言われてしまうことがあります。「私も同じです」と答えずに、何か自身の言葉を付け加えるなどの、工夫をしてみましょう。また、ほかの学生が発言しているときによそ見をしたり、他のことを考えたり、自分には関係がないという態度を取るのは厳禁です。そういう態度も、面接官はチェックしているのです。

Check Point 3

第一印象が合否の決め手?

面接は、たいてい15~30分間で行われます。そのため、第一印象ですべてが決まるといっても過言ではありません。初めに悪い印象を与えると、それが最後まで尾を引く場合もあります。気を引き締めて、学生らしいキビキビとした態度や明るい表情で臨みましょう。

2面接の種類(個人面接)

学生一人に対して一人の面接官、あるいは複数の面接官で行われます。

後者の場合は、たいてい一人が決まった質問をして、質問者以外はあなたのしぐさや表情をチェックしています。あなたは質問者の面接官をまっすぐ見て答え、質問者以外の面接官を意識しすぎないようにしましょう。

Point

  • ●自分のペースで話すことができるので、自分を売り込むには最適

面接官はここをCheck

  • ●会話のキャッチボールができるか
    (質問をよく聞き、意図を理解できているか)
  • ●自分のことをしっかり理解・認識し、それが表現できているか

目線は…

  • ●うつむいたりせず、面接官の目を見ながら話す。ただし、にらみつけたり、上目遣いにならないように気を付ける

●個人面接ケーススタディー

[食品メーカー/学生(女子・営業職志望)/面接官2人]

面接官:では、まず自己PRをお願いします。

学 生:はい。私のモットーは「生涯チャレンジャー」です。中・高一貫教育を受けておりそのまま内部進学できたのですが、狭い世界に疑問を感じ、思いきって現在の大学へ進路変更しました。さらに、入学後も学外の人脈をつくるため、レストランでのアルバイトを始めました…(略)。


面接官:その経験を仕事でどのように生かしていきたいですか? 具体的に説明してください。

学 生:レストランでは、ホールの役割分担を変えてみたところ、顕在化していなかった作業ロスを改善でき、サービス向上につながりました。そのように、一見スムーズに進行している既存の方法に対しても問題意識を持ち、より良いサービスと利益の追求を図っていきたいと思います。


面接官:5年後の自分像を語ってください。

学 生:公務員試験も受けているので、自分がどうなっているかビミョーですね。御社に入社できたと仮定して考えると、5年後となると、一通り仕事を覚え失敗も経験し本当に仕事の面白さが分かってくる時期だと思います。後輩もいることでしょうし、手本となるような常にトップセールスを記録する営業になっていたいと思います。「アレルギーを持つ子どもも安心しておいしく食べられるお菓子」に関する自分のアイデアが商品化されていればうれしいですね。

  • 第一印象は重要。相手の目を見てハキハキと。
  • 簡潔にまとめるのが一番だが、エントリーシートの内容以上のアピールができるよう心掛けよう。
  • 面接官は「やってきたこと」「できること」(=本人の強み)が業務上どのように活用できるかを見ている。具体的なイメージを提示しよう。
  • 余計なことは言わなくてもいい。また「ていうか」「なんか」「ビミョー」などという学生言葉には注意しよう。
  • 将来の仕事に対してどれだけ明確なビジョンを持っているか問われている。自己分析・企業研究を怠りなく。

●アドバイス

自分を売り込むせっかくのチャンスです。自己分析など準備は万全に。また、個人面接は自分に与えられた時間です。疑問に思うことを質問し、次のステップへとつなげるようにしましょう。

【よくある質問】

  • ●学生時代に一番力を入れてきたこと
  • ●今までで一番感動したエピソード
  • ●これまでの挫折体験
  • ●なぜこの業界、当社を志望しているのか
  • ●当社に入社して挑戦したい仕事や目標
  • など

3面接の種類(集団面接)

複数(3~5人)の学生に対して、複数(2~3人)の面接官で行われます。面接官が質問し、指名された順に答えたり、任意に答える場合があります。ほかの学生の発言内容が気になりますが、面接官は、あなたが冷静に自分の意見を述べているかどうかをチェックしています。マイペースを保つようにしましょう。

Point

  • ●自分の持ち時間は短いので質問には簡潔、的確かつ具体的に答える
  • ●ほかの学生の発言や、ほかの学生に対する面接官の態度に引きずられない

面接官はここをCheck

  • ●ほかの人の意見をしっかり聞いているか
  • ●落ち着いて場の空気をつかんだ返答をしているか
  • ●誇張されたエピソードなど目立った発言をしようとせず、自分なりの思いや気持ちを述べられているか

目線は…

  • ●発言者のほうを見る
  • ●ほかの学生の発言に無関心な態度は取らない

●集団面接ケーススタディー

[教育産業(学習塾)/学生(男子2人、女子2人)/面接官3人]

面接官:どなたからでも結構ですので、一人ずつ簡単に自己PRをお願いします。

学生A:それでは、私からさせていただきます。私は、友人たちから「弾丸娘」と呼ばれています。それは人一倍好奇心が強く「面白そう!」と思ったことにすぐ飛びつくからです。学園祭実行委員会のメンバーだったときには、その性格を発揮し、初の試みだったのですが落語とロックバンドのコラボレーションライブを大成功させました。…(中略)それと、人見知りをしないことが自慢です。…(略)。


学生B:私は好奇心が並外れて強い人間だと思います。これまでもさまざまなことに挑戦してきました。そこに書いてある一風変わったアルバイト先では、普通では経験できないことも仕事の中にあり、私の人生観に影響を与えました。


面接官:少子化傾向の中、この業界の将来をどう考えていますか?

学生C:学校や地域と連携し新しいサービスを提供していくことで活路が見いだせると思います。また学習意欲の高い高齢者の交流の場を創造していくことも考えられるのではないでしょうか。

面接官:今のC君の意見についてどう思いますか?

学生D:あ、えっと、学習塾が不要かどうかということでしょうか…?

  • 学生の積極性を見ている。一番初めというのは緊張するだろうが、PRのチャンスと考えて積極的に臨もう。
  • 「簡単に」「手短かに」と言われたら、1分程度で答える。
  • 話が長すぎるのは禁物。ほかの学生の時間を奪うことになる。周りに配慮ができない人だと判断されるので注意。
  • 「好奇心が旺盛」「前向きに取り組む」といったPRは前の発言者と重複することも多い。Aさんのようにインパクトのある表現を考えたり、興味を引く具体例を引用しよう。その際には、どのようなエピソードから生まれたPRなのか、もう一度自己分析し直すことが大切。
  • エントリーシートを読んでいる面接官が相手とはいえ、その場にいるほかの学生にも伝わるように話すことは基本。
  • 「あなたはどう考えるか」といった質問に意見を述べるためには、やはり企業研究をしっかり行うことが重要。「意見」に正否はないので自信を持って発言しよう。
  • 集団面接では、問題意識の持ち方や機転がきくかどうかを確認するため、ほかの学生の発言に対する意見を求められる場合もある。落ち着いて全体の話を聞くようにしよう。

●アドバイス

ほかの人の話を聞いているかどうかは、見れば分かります。「自分の番が来たらどう答えようか」ばかりを考えていたり、担当者の顔ばかり見ていると、聞いていないと判断されます。また、虚勢を張るのではなく、いつもの自分らしさを失わないようにしましょう。

4面接の種類(動画選考)

スマートフォンやカメラ付きのパソコンで撮影した動画を選考資料とする企業が増えています。人柄や情熱を感じることができ、伝えたいことを分かりやすくまとめて話す力をチェックできることが企業にとってのポイントです。多くは「自己PR」や「志望動機」など企業が設定したテーマについて撮影し、企業が指定する方法で提出します。対面の場合と同様に自分の考えをしっかりまとめることが基本ですが、動画撮影では対面よりもゆっくり、はっきり話すことが大切です。動画のニュースサイトなどを参考にするとよいでしょう。撮影には慣れが必要ですが納得がいくまでチャレンジし、自分の声がしっかり聞こえるか、音声の大きさなども確認します。できれば家族や友人にもチェックしてもらうと課題点がはっきりします。

Point

  • ●数十秒から1分程度であることが多く、伝えたいことをしっかりまとめる
  • ●できるだけゆっくり、はっきりと話す(例:アナウンサーは1分300文字程度)

面接官はここをCheck

  • ●明るさやまじめさ、情熱を感じられる人柄であるか
  • ●伝えたいことを分かりやすくまとめるコミュニケーション力があるか

目線は…

  • ●カメラを相手だと考えて、できるだけまっすぐに見て伝える

5面接の種類(Web面接)

オンラインによるライブの面接(WEB面接)を実施する企業も急速に増えています。対面による面接と同じ心構えで臨みますが、大きな違いは、安定して相手と話すことのできる通信環境を準備しておく必要があることです。面接官はスピーカーやイヤホンなどで声を聞くことから、対面よりもゆっくり、はっきり話すことを心がけます。話す時はカメラを見て、相手が話す時は画面を見ますが、最初は違和感があります。また、自分と相手の声が重なると音声が途切れてしまうことも少なくありません。こうした時にも慌てずにお互いが通信の正常化に協力し、面接を続けられるよう事前にトレーニングしておきます。通信環境に不具合が起きる可能性も踏まえて、緊急連絡先は必ずチェックしておきましょう。

Point

  • ●事前に通信環境や機器の準備をしておく
  • ●できるだけゆっくり、はっきりと話す。対面の面接以上に、話を端的にまとめる

面接官はここをCheck

  • ●会話のキャッチボールができるか
  • ●自分のことをしっかり理解・認識し、表現できるか

目線は…

  • ●話す時はカメラを相手だと考えて、できるだけまっすぐに見て伝え、相手の話を聞く時は画面を見る

Check Point

Check Point 1

志望動機に関連する質問

 「当社を志望した理由は何ですか」「当社にどんな魅力を感じていますか」「当社のどの部署で働きたいですか」などといった志望動機は、どの企業でも聞かれると考えておきましょう。漠然とした回答ではなく、自分の実感したものをその企業の業務内容に結び付け、具体的に答えるようにしましょう。入社したらどのように働きたいか、将来の夢もしっかり話せるとよいでしょう。

Check Point 2

自己PRに関連する質問

 「あなたのセールスポイントは何ですか」「学生生活で打ち込んだことは何ですか」「趣味や特技は何ですか」などは、面接で頻繁に聞かれます。そこから得たもの、学んだこと、反省点などの具体例を交えて、論理的に説明すれば大きなアピールになります。また、回答の内容だけでなく、どれだけ客観的に自分自身を見つめているかという点もポイントになります。あらかじめ自己分析を徹底しておきましょう。

6面接の種類(グループ
ディスカッション)

社会問題などをテーマに、5~10人くらいのグループで討議するのがグループディスカッションです。司会者も学生の中から選ばれます。グループでの討議を通じて、集団の中での協調性や指導力が判断されます。また、あるテーマに対し、意見の対立する2グループに仮に分かれて討論するのがディベートです。いずれも話の流れをしっかり理解しながら、積極的に発言することが大切です。

Point

  • ●早い段階で自分の役割をつかみ、意識的に発言や行動で表現することが大切
  • ●目立とうと思ってほかの人の意見を否定したり、やり込めるような態度を取らない
  • ●議論に勝つことが目的ではなく、他人とのコミュニケーションの取り方を観察するための面接

面接官はここをCheck

  • ●客観的にほかの人の意見を聞き、議論の展開を分析できているか

目線は…

  • ●グループ全体に目を配り、積極的に参加する姿勢を見せる

●アドバイス

司会・書記・発表者など役割はいろいろありますが、どれが良い、悪いはありません。
役割上、司会は発言する機会が多く、書記は発言することが少なくなる傾向にありますが、人の話を聞かずに話しすぎたり、議論をまとめる方向に導けない司会はマイナス評価、書記でも話の軌道修正をするなど要所を押さえた発言をすればポイントは高くなります。

【ディスカッションテーマ例】

  • ●「人にものを教える」ときに必要な要素を3つ挙げなさい(証券/学生5人/ 30分間)
  • ●無人島に一つだけ持っていくとしたら?(商社/ 6人/ 30分間)
  • ●今後の携帯電話はどうなっていくか(旅行/ 5人/15分間)
  • ●経営者にとって必要な資質とは?(コンサルタント/ 8人/ 60分間)
  • ●国政選挙の投票率を上げるためには?(情報処理/ 6人/45分間)
  • など

Check Point

Check Point 1

課題型グループワーク

グループディスカッションに、カードや紙を用いるなど、なんらかの作業が加わった形式のことを課題型グループワークといいます。全員で一つの目標を達成することがチェックポイントになり、協調性が重視されます。

テーマ例:わが町の良さをアピールするチラシを作ってみよう。

Check Point 2

ディベート

賛否両論のあるテーマについて反対の立場に分かれ、自分の立場と役割を考えながら討論する形式のことをディベートといいます。積極性や論理性、説得力が求められます。

テーマ例:消費税の引き上げは国民の生活を圧迫する? しない?

●グループディスカッションの主だった役割

設定されたグループ人数にもよりますが、議事進行に必要な役割です。
司会役 自分だけ得意げに話し、仕切るのではない。話の流れを止めず戻さず、うまくリードする役割
方向修正役 論点がずれたり、アイデアが散乱している議事の要所要所で話の流れをつくる役割
問題(意見)
提起役
他人の意見を否定するのではない。議論の質を上げるために問題を提起する役割
タイムキーパー役 結論までに時間切れにならないよう進行管理する役割
書記役 進行中にメモを取り、議論の要点を取りまとめ、発表者用シート作成を手掛ける役割
発表役 議論結果をその場にいる全員に分かりやすく発表する役割

●過去に出題されたディスカッションテーマ例

業種 テーマ
建設・住宅・不動産 現代の若者の特徴
建設・住宅・不動産 架空のキャラクターを、どう商品展開していくか
建設・住宅・不動産 不動産により多くの人に関心を持ってもらうために何をしたらよいか
水産・食品 就職先の企業を決める決め手を3つ挙げなさい
医薬品・医療関連・
化粧品
生産的なコミュニケーションをとるにはどうすればよいか
機械・プラントエンジニアリング 当社を就職ランキング1位にする方法は
電子・電機 格差社会について
銀行 ゆとり教育と学力低下防止を両立させるには?
保険 当社が質で日本一になるためには何をすべきか
百貨店・チェーンストア・生協 非正規雇用の増加の理由について
調査・コンサルタント 日本の首都を移転させるべきか否か
調査・コンサルタント 成長する企業にとって必要な要素とは何か
情報処理・
ソフトウエア
少子化が進む中で大学が生き残る方法
マスコミ 大学の魅力についてキャッチコピーをつけるとしたら
マスコミ テレビ嫌いにどうやってテレビを見させるか
運輸・倉庫 結果とプロセス、どっちが大事なのか

資料出所:株式会社ディスコ「 キャリタス就活 学生モニター調査」より

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