電子講義:交通流の離散モデル

全卓樹

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交通流の離散モデル(4-3)

ナーゲルとシュレンケンベルクの標準模型3

確率的減速がない R = 0 の場合について、交通の様子を見るため、今度は交通流図をみてみる。この例では制限速度は U = 4 である。


ρ=0.15


ρ=0.25


ρ=0.50


ρ=0.75

これをみると、低密度領域での自由交通は、交通流図上では右下にながれる速度 U の線として観測される事がわかる。さらにまた、渋滞の始まりが、速度1で後退する渋滞ブロックのテイルの左下への移動として観測されている。

臨界密度を超えると、渋滞ブロックが交通流図上の所々に常駐し、さらに密度が増えるにつれて、ブロックの占める面積が増えてゆく。

これらの図を見て気づくのは、最初に与えられた状態から発展する短い移行期間の後は、交通の様子はきわめて「規則正しい」ということである。これはρ = 0.15 のような自由交通でも、ρ = 0.75 のような激しい渋滞の時でも同じで、一度決まってしまった車列は、それを構成する車自身やその場所はかわっても、パターン自身は不変に保たれているのである。つまり R = 0 の交通はウォルフラムの分類の第2型の例になっているのである。

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