| 標準模型の拡張と修正3
西村モデル 考案の動機は後回しにして、とりあえずここで我々のモデルの一つをを提示しよう。
 ナーゲル・シュレッケンベルクの考えを導入した時点に立ち返って、その些細に見える変種である、次のような車の速度の発展ルールを考える
 
 
										
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													*車は最高速度Uを超えない範囲で1ステップに1だけ速度を増やす*車はある決まった確率Rで特に理由無く減速する
 *現在の速度では前の車にぶつかる場合は、衝突を避ける速度まで減速する
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													(5.1) |  これは単に標準モデルの2番目と3番目の仮定の順序を入れ替えただけである。これをよく見ると最初の3つで加速して確率 R で減速する訳だから、最高速度に達した場合をだけ例外として、これは (1-R) の確率で加速している事に等しい。この例外の処理が泰西に影響しないと考えて、上の代わりにさらに単純な次の発展ルールを考えて見よう。 
										
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													*車は最高速度 U の範囲内で確率 (1-R) で1ステップに1だけ速度を増やす*現在の速度では前の車にぶつかる場合は、衝突を避ける速度まで減速する
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													(5.2) |  この速度の変化に続いて車が進行する考えてこれをコンピュータ上に実装するには、ルールを次のように書く。 
										
											|  | 1) V[i]  → V'[i] = min( U, V[i]+1)  with probability (1-R)2) if ( X[i]+V[i] >= X[i+1] ) then V[i] → V'[i] = X[i+1]-X[i]-1
 3)  X[i] → X'[i] = X[i]+V'[i]
 
 | (5.3) |  これが西村=全=シェバの模型(以下西村モデルと略称)である。これは標準モデルの変種ではあるがその複雑化ではなく、むしろ単純化になっている事に注意しよう。
 R = 0 では西村モデルと標準モデルに違いはない。また車の密度が小さいときは、前方車の認視による減速がほとんど働かないので減速の順序による違いは小さいだろう。違いは車が渋滞列に入り込んでしまった後である。標準モデルではこのときも確率減速が起こると考えるが、西村モデルでは起こらない。実際の都市の交通を見ると、街中でも高速でも渋滞の際は運転者は注意深くなり前方の車の動きをよく見て進む。これは事故を避けるためでもあり、また割り込みを防ぐ為でもある。つまり現実の交通と比較すると西村モデルの仮定の方に軍配が上がる、と言うのが我々の考えである。
 
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