ボスはなぜいるか
ロシアの伝説にみる王権の起源
リューリック王の話はご存じですか?古代ロシアで部族間の争いが絶えず、仕舞いに部族長たち同士手を打って平和を守る約束をしました。でも誰が約束破りを罰する権限と武力をもつかでやはり決着がつかず、みんなして近所の海岸にきてたバイキングの首領様のリューリックに「おらたちの国の王になって平和を押しつけてくれ」と頼みにいったそうです。リューリックの子孫は「クニャージ(公)」を名乗り、その後1000年ロシアの支配者は彼らの中から出すものとだれもが考えました。問題はロシアは長子相続の原理がなくて、20世紀初めにもなると、そこら中に一文無しの公爵なんかざらにいる、という状況になったことで、ドストイェフスキーのムイシュキン公爵なんて、最初読むとちょっと妙に思えるのですがロシアではリアリティがあった訳です。あとロシアの公爵にはモンゴルのカーンの子孫に起因する流れもあって、ちょっと複雑です。
それはともかく本題に戻ると、ロシアの支配者には「頭髪密度交代の原理」という大原則があって、最近でもニコライ1世(濃い)、アレクサンダー2世(薄い)、アレクサンダー3世(濃)、ニコライ1世(薄)、ケレンスキー(濃)、レーニン(薄)、スターリン(濃)、フルシチョフ(薄)、ブレジネフ(濃)、ゴルバチョフ(薄)、エリツィン(濃)、プーチン(薄)と、リューリック以来の伝統は、リューリックの血統自体は絶えてからも残っているようです。リューリック自身はフサフサ派だったと伝えられてます。
「我が輩は立法者でアル」
今度こそ本題に戻ると、もうスペースがないので結果だけいいます。2つの競合種と、その両方を餌とする捕食者(「頂上捕食者」という)がいると、頂上捕食者が自分の攻撃性を自分に都合よく調整すると、2つの競合種間では攻撃性を弱めた方が双方得になる。すなわちゲーム表が上の「囚人型」から
貴方の得点
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相手はハト派 |
相手はタカ派 |
貴方はハト派 |
0
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ー
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貴方はタカ派 |
ーー
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ーーー
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相手の得点
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相手はハト派 |
相手はタカ派 |
貴方はハト派 |
0
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ーー
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貴方はタカ派 |
ー
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ーーー
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で表される「協力ゲーム型」にかわります。これは競合種が攻撃を増すと、頂上捕食者がより攻撃を増し「罰せられる」ので結局自分が損をすることになるためです。詳しくはやっぱり原論文(Phys. Rev. E, 2004)みてください。
結局安定した組織の頂点にはいつも1人だけ「ボス」がいるのは、これも数学的な原理みたいです。「リーダー」諸氏にはには朗報ですね。でもいじめっ子がすぎるとサッダーム氏のような末路もありますので注意しましょう。
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