係数変化型ロトカ=ヴォルテラ方程式その一
襲撃強度の函数としての餌と捕食者人口
前の2つの章(8、9章)も定性的理解では本当は不満足で、本当はどうしても定量的理解が望まれるところです。また数式がだめな人には飛ばしていただく事にして、ちょっと詳しく見ていきます。「餌・捕食者型ロトカ=ヴォルテラ」をもう一度書くと
dx/dt = b x - a x2 - R x y
dy/dt = -d y + f R x y
ですが、この解の図で渦巻き状の絵の中心の位置 (X,Y) は、そこが不動点である(つまりそこに来たらもう動かない)という条件から dX/dt=0、dy/dt = 0 ですから
0 = b - a X - R Y
0 = - d + f R X
を得ます。(本当はこれが「不動点」であり、かつ「安定点」であるという条件を求める必要があり、それにはこの「不動点」の周りの「線形化写像」を求め、その解が収束型である条件を求めないといけません。ここではこの手順はまた一段テクニカルなので、これを省いて、ただ b が十分大きいとそれが成り立つとだけ言っておきます。)いま捕食者の襲撃強度 R は、捕食者が自分の都合のいいように調整できると思うことにします。X 、Yともに R の函数
X[R] = d/(fR)
Y[R] = 1/R - (ad)/(fR2)
と考えると、これは R は Y[R] を最大にするよな値へと変化する、という事になります。その値 R* は捕食者 Y にとっての最適攻撃性を意味し、それは
dY[R]/dR | R* = 0
で求まります。これは具体的に書くと
R* = (2ad)/(fb)
X* = X[R*] = b/(2a)
Y* = Y[R*] = (fb2)/(4ad)
となります。注目すべきなのは X* が「自然人口」 b/a の半分である事です。これを「維持可能最大漁獲量」として海洋学で知られている事実の、数式表現と考える事もできます。
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