電子講義:交通流の離散モデル

全卓樹

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交通流の離散モデル(5-6)

標準模型の拡張と修正6

西村モデルでの交通流図(2)

今の主張をもう少しはっきりサポートする為には、臨界値付近での西村モデルと標準モデルの交通流図の直接の比較をしてみるのがよいだろう。

Standard
ρ=0.30
Standard
ρ=0.33

まず上の標準モデルでは基本的には車間距離なしの絶対渋滞が所々で起こって、これが時々消滅する。消滅の理由は確率的な減速から後続車がこないで渋滞列が「蒸発」する場合がある為である。

NCS
ρ=0.30
NCS
ρ=0.33

一方対応する密度での西村モデルの流れを見ると、絶対渋滞と並んで薄い色のノロノロ渋滞の存在がはっきり見て取れる。絶対渋滞は完全に蒸発する事も、ノロノロ渋滞へ移行する事もあり、またノロノロ渋滞も絶対渋滞に移行する事も蒸発する事もある。つまり西村模型にあっては、車間間隔0の絶対渋滞と車間間隔1のノロノロ渋滞の両方が「準安定」に存在し得て、適当な密度ではこれらが共存しているのである。そしてこれこそが「第三の中間的な相」の中身なのである。

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