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世界中の大学の長所を導入・改善し、
世界一のシステムを構築
高知出身の岡村先生は高校の先輩から声を掛けられ、1992年に設置された「高知県工科系大学(工学部)構想検討委員会」の委員となる。 同委員会は翌年「工科大学計画策定委員会」となり、後に初代学長となる末松 安晴 先生が加わる。大学設立の議論は「これからの日本の大学としてあるべき姿を追求し、世界標準の大学を目指す」というところから始まったが、日本の大学に対する問題意識やこれからの方向性について2人の考えは一致していたという。

日本の工学教育の中枢となる会議に数多く出席し、圧倒的な情報を持つ末松先生の大学づくりに共感した岡村先生は、世界の大学に関する豊富な知見を生かし、「世界中の大学の長所を導入し、独自にアレンジすることで、世界で唯一のシステムを構築する」というミッションに挑んでいく。
例えば、2001年に学長に就任して最初に取り組んだ「教育講師制度」は、日本の助手制度を進化させたものだ。「十分な経験を積んで企業を退職した方を採用しました。“若い人たちを生徒から学生にして欲しい”とお願いしたところ、初年度は100名ほどの応募がありました」。

次に取り組んだ「授業評価制度」は、アメリカの大学の制度を参考にしている。「アメリカのものは授業の技術を評価するいわゆるアンケート調査。それを“学生が成長する上で、プラスになっているか”という評価に変えて導入しました」。
2009年に理事長に就任してからは、成果主義の教員評価を基に教員の給与システムを改定するなど、合理的なシステムを次々と導入している。すべてに共通しているのは、一度システムを作ったら終わりでなく、常によりよく改善していることだ。その精神は現在の教職員にも受け継がれており、高知工科大学を世界一流へと導く礎を築いたと言っても過言ではない。
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