混合ナッシュ平衡とロトカ=ヴォルテラ不動点
この章は前章の続きで、まだテクニカルですが、さっきよりはだいぶましなので、数学苦手の人も気を取り直して挑戦してくださってもいいです。
前の章のゲーム行列から求めた一般的なロトカ=ヴォルテラ方程式を、分かり易いようM = 2 の例で見てみましょう
dx1/dt = b1 x1 + a11 x12 + a12 x1 x2
dx2/dt = b2 x2 + a21 x1 x2 + a22 x22
この方程式を解くと x1 、x2 が時間とともに変化していく訳ですが、実は最初に両方がある特別な値だった場合には、全く変化しないで永遠にその値のままでいる事があります。そのような x1 と x2 の組のことをロトカ=ヴォルテラ方程式の不動点といいます。ここでは不動点を (X1,X2) と書く事にします。定義から不動点は動きませんから dX1/dt = dX2/dt = 0 ですから
0 = X1 ( b1 + a11 X1 + a12 X2 )
0 = X2 ( b2 + a21 X1 + a22 X2 )
で、これには一般的には4組答えががありますが、ここでは
0 = b1 + a11 X1 + a12 X2
0 = b2 + a21 X1 + a22 X2
に注目します。これはなにか0と異なる (X1,X2) を与えますが、例えば前の数値解の渦巻きに吸い寄せられる例なんかでは、この値がまさに吸い寄せ渦巻きの中心に相当します。これをもとのゲームの利得で考えると
dPyou(s,x)/dsi = 0
ですから、これはまさにこのゲームの混合ナッシュ平衡の位置を求める方程式に他なりません。つまりあるゲームからレプリケータ力学でロトカ=ヴォルテラ方程式を作ると
ゲームのナッシュ平衡 <ー> ロトカ=ヴォルテラ不動点
というものは同じものの二つの顔なのです。
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