電子講義:生態系の進化ゲーム

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進化ゲームと生態系入門(6e)

安定な不動点、不安定な不動点

 不良中年のうちで数学なれてない人は、もういい加減飽きたと思いますが、ここまで来ちゃったから、最後のテクニカルな障壁に挑戦してみましょう。説明不足なので多分判ってる人以外判らないです。つらいひとは読まなくても大丈夫です。また飛ばしてください。
 
 また、一般的な M = 2 種族のロトカ=ヴォルテラ方程式にもどります。

     dx1/dt = b1 x1 + a11 x12 + a12 x1 x2
     dx2/dt = b2 x2 + a21 x1 x2 + a22 x22

この方程式の X1 = 0 でも X2 = 0 でもない不動点 (X1, X2) は次の式

     0 = b1 + a11 X1 + a12 X2
     0 = b2 + a21 X1 + a22 X2

で与えられましたが、いま x1(t), x2(t) が、これに近い値だとどうでしょう。ためしに

     x1 = X1 + u
     x2 + X2 + v

とかいてみて、元のロトカ=ヴォルテラにいれてみます。u(t), v(t) は小さいので2乗とかはみんな無視すると

     du/dt = a11 X1 u + a12 X1 v
     dv/dt = a21 X2 u + a22 X2 v

これは線形写像ですが aij Xi の値次第で、時間が経って t が大きくなるときの振る舞いにいくつかのタイプがあります。いまこの話に重要な2つのタイプをあげると

(1)
吸収渦巻き型:線形写像の固有値2つとも負のとき(ビエー!)
   u(t) --> 0, v(t) --> 0 振動しつつ減少。不動点の周囲は吸収渦巻き。

(2)
双曲型:線形写像の固有値2つとも正のとき(ギューン!)
   u(t) -->∞, v(t) --> ∞ 発散。不動点に近づいても必ず弾かれる


前に図でみると、「餌・捕食者」の例は(1)で「競合者」の例は(2)です。

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