2017.3. 3

学生の研究論文が学術論文誌へ掲載され表紙を飾りました

00002871h1_m.jpg 博士後期課程 社会人特別コース 1年 田中 秀和さん(指導教員 酸化物材料工学研究室 前田 敏彦 教授)の研究論文が、Journal of the Ceramic Society of Japan (略称JCS-Japan)125巻3月号に掲載され、表紙に採りあげられました。

 JCS-Japanは、公益社団法人日本セラミックス協会が発行する学術論文誌で、120年以上の長きにわたり、セラミックスの科学と技術に特化した内容を掲載し続ける日本唯一の論文誌です。
 セラミックスは、原子・分子レベルの結合と配列の精密な制御の研究を通じて新物質、新材料、新機能素子への開発・発展につながっており、ナノテクノロジーの基幹技術になっています。

 本論文では、銀高含有合金製の支台歯フレームにリューサイト(Leucite;KAlSi2O6)微結晶を分散させたガラスセラミック陶材を築盛した歯科補綴物における焼成時の黄変現象と酸化セリウム(CeO2)の添加によるその抑制について報告しています。この黄変現象は歯の審美性を著しく低下させますが、従来その抑制効果が知られていた三酸化アンチモン(Sb2O3)は、過酷な口腔内環境において溶出した際の人体への毒性が疑われています。黄変現象の原因はセラミックス中に拡散した Ag+ イオンの還元による Ag コロイド粒子の凝集とされていますが、田中さんらは、生体安全性に優れる CeO2の添加がこれを抑制し、またその機構が高温環境下での CeO2 と Ce2O3 との間の酸化還元機構によるものであることを明らかにしました。

論文タイトル:Inhibition of silver-yellowish coloration on leucite glass-ceramics using cerium oxide

論文著者  :博士後期課程 社会人特別コース 1年 田中 秀和
       環境理工学群 教授 前田 敏彦  他3名
参考URL  :「JCS-Japan

00002871k3_m.jpg 銀/セラミックス界面付近で形成したAgコロイド粒子の透過電子顕微鏡(TEM)写真