WindowsからUbuntuに移行して
Windowsの中では比較的安定していたと思われるWindowsXPのサポートが切れるのを機会にWindowsを (本当に必要になったとき以外) 一切使わず、Ubuntuへの完全移行を試みた。移行して思ったことを色々書いてみる。
WindowsからLinuxへの移行を人に進めるかと言われれば、まず間違いなく「Microsoft PowerPointに慣れていて、LibreOffice Impressへの移行を含めるつもりならやめておくべき」、「プレゼンでオフィスを使わない(例えばbeamerを使う)ならアリ」。その理由はただひとつ、LibreOffice Impressの存在。WriterやCalcは気になるところはあまりないが、Impressはとにかくバグが多いし、新しいバージョンには必ずと言っていいほど新機能とともにとんでもないレベルのバグがセットになってくるし、新しいバージョンでバグが解消されたと思ったら、その次のバージョンで復活してるということもよくある。また、結構頻繁にクラッシュする。僕にとってLibreOffice Impressの存在が、他の全てのUbuntuの長所を超えて、Ubuntuに、つまりデスクトップをLinuxに変えたことを激しく後悔した。本気でbeamerに乗り換えるべきか。誰か周りで使い始める人が出ることを期待している。
このあたりは別に書くとして、使ってみた感触を順番に書いてみる。
安定性
僕がWindows2000やXPが好きだったのは、やはり安定に動いてくれること。Microsoftは新しいOSを出す度に様々な機能を追加することを考えているようだが、仕事で使うなら、必要最小限の機能でいいので、安定して動いてくれることがやはり大事だと思う。その意味ではUbuntuは個人的にはWindows2000やXPには劣るが非常に安定に動作していると思う。CentOSもサーバー管理で使っているが、やはりUbuntuはCentOSには安定性で負けるか。でもデスクトップでCentOSはLinux初心者の僕には想像も出来ない。その意味でLubuntuは安定性と快適性が半端なく良い。WindowsXPよりもいいんじゃないか?ということで普段はLubuntuを、プレゼンではUbuntuを使っている。CentOSユーザーとしてはFedoraでも良かったが、なんとなくUbuntuにしてみた。ただそれだけ。快適性
Lubuntu 〉 CentOS 〉 Ubuntu 〉 WindowsXP 〉 Windows7アプリケーション
なんと言ってもこれ。ほとんど必要なアプリケーションがUbuntuソフトウェアセンター、あるいはapt-getコマンドで揃ってくれる。Windowsでは考えられなかったことだし、CentOSのyumも入るアプリケーションがかなり少ないが、Ubuntuはこの点が思ったよりもすごかった。どこかからダウンロードしてインストールするのではなく、ボタンおよびコマンドひとつでどんどんアプリケーションがインストールされてゆく様は気持ちがいい。デバイスとの関係
まあ仕方ないが、ここがLinuxの大きな弱点。それでもCentOSと違ってUbuntuはかなりの部分をカバーしてくれる。少なくともディスプレイは普通に使える。NVIDIAのドライバもUbuntuソフトウェアセンターからインストールできる。Ubuntuならデュアルディスプレイも勝手にやってくれる。Lubuntuは自分でやらないとダメで、しかもLibreOffice Impressがちゃんとデュアルディスプレイを認識してくれないときが多々あったので、やはりプレゼンはUbuntuでやるべきだと痛感した。プリンタはブラザー製品ならLinuxのドライバもメーカーから提供してくれているので問題なし。他のメーカーのプリンタが好きなら仕方ないが。内蔵ウェブカメラ、内蔵スピーカー、内蔵マイクはちゃんと動作してくれないときがあった。仕方がないのでそのときはUSBの外付けを使っている。外付けはちゃんと認識してくれる。ちゃんとしたドライバをインストールすれば解決するのだろうけど面倒くさい。USBはWindowsのようにドライバをインストールしなくてもすぐ使えるのでこの点はWindowsに大きく勝っている。数値計算
サーバーがCentOSなので、Ubuntuとの相性がものすごく良い。ファイル共有をNFSでしたり、アカウントをLDAPで共有したりもできるし、コンパイラを共有して、テスト計算を自分のパソコンでした後、そのまま本計算を計算機に投げることだってできる。これはどう考えてもUbuntuの勝ち。アップデート
Windowsユーザーのほぼ皆が口を揃えて不満を言う、「勝手なアップデート&再起動」の黄金コンビネーションがもちろんLinuxにはない。MacOSもそんなことはしないらしいが。putty→LXterminal
文句なしにterminal。puttyが優っている点はあまりない。ちなみにLXterminalはLubuntuに付いているターミナルで、Ubuntuは別のターミナルだが、LXterminalの方が使いやすいのでUbuntuにもこれをインストールしている。Winscp→LXterminal
Linuxに乗り換えてからscpをやる機会はぐんと減ったが、Winscpは結構良かったので、これはどちらとも言えない。転送速度はterminalでやった方が速い気がする。秀丸→vim, gvim
シェアとフリーを比べる事自体おかしいが、やはり秀丸の方がほんの少しだけだが使いやすかった。慣れればどちらもあまり変わらない。問題なのがvimにあまりにも慣れてしまったため、emacsが使いにくい。秀丸メール→sylpheed
やはりシェアとフリーを比べる事自体おかしいが、ここは秀丸メールの勝利。どちらも使いやすいが、違うフォルダを選択して戻ってきたときに、前に選択していたメールに戻ってくれるのが地味に大きい。僕はフォルダをしょっちゅう移動するので、秀丸メールはありがたかった。ただしwineを使ってまで秀丸メールを使うかと言われれば、sylpheedで十分、ということでsylpheedを使っている。PaintShopまたはPhotoShop→gimp
できることの多さはgimpとPhotoshopやPaintShopとであまり変わらないらしいが、gimpは分かりづらくネット必須。1年使ってやっと慣れてきた。AnimationShop→gimp
すでにJascSoftwareが開発をやめたAnimationShopだが、これは本当に高機能で使いやすかった。今更アニメーションの編集でgimpには乗り換えられないということでwineからAnimationShopを使っている。Windowsを使用していた時代にCDを買って、それをインストールしているので問題ないだろう。ちなみにAnimationShopはWindows7ではまともに動かない。Illustrator→Inkscape
できることの多さ、使いやすさの面ではIllustratorの方が若干いい。ただ、あまり変わらない。簡単なものはLibreOffice Drawで済む。なんだか最近InkscapeよりもPovRayを使う機会が増えてきた。BBmpeg→ffmpeg
Windowsだから他にも色々あるのだろうけど、なんでBBmpegなんて使っていたのだろう。ffmpegは高機能。できることが多すぎる。Google chrome, skype, Dropbox, VLCメディアプレーヤー
そのままエクスプローラ→PCManFM
タブ表示ができるという点ではPCManFMがいい。あとデフォルトで見ているフォルダの場所のターミナルを開くことができるのが非常に大きい。エクスプローラも窓の手を使えばできるけど。ちなみにPCManFMはLubuntuに付いているファイルマネージャで、Ubuntuは別のファイルマネージャだが、PCManFMの方が使いやすいのでUbuntuにもこれをインストールしている。RealVNC→TurboVNC
TurboVNCはウィンドウをスライドさせると、そこに戻らなくなるというバグがある。それを除けば両者ほぼ同じ。Acrobat→evince, Okular
Acrobat Readerのウインドウ分割がevinceやOkularにないのが地味に大きいが、Linux版のAcrobat Readerにもこの機能は付いていなかった。その他はほぼ同じ。Windowsメディアプレーヤー→Totem
Totemはmpegをちゃんと再生しないときがある。まあTotemはLibreOffice Impressを使うときのおまけみたいなもの。普段はVLCで十分。Windowsマインスイーパー→Gnomeマインスイーパー
同じ。ちなみにやっと最近Windows時代の最高記録を超えることが出来た。googleIME→fcitx+Mozc
同じらしい。Mathematica→Maxima, sage
UbuntuにしてからもMathematicaは使っているが、職場の外では使えない環境になってしまった。Ubuntu関係ないな。入力のしやすさ、simplifyの機能、積分、行列の対角化などの機能はMathematicaの方がバカ高いだけあってMaximaよりもずっといい。皆に言われている通り、Mathematicaの唯一の欠点は馬鹿高いところ。Mapleの倍くらいする。sageはこれから色々と使ってみようと思う。AVS/Express→Pov-Ray
どちらもOpenGLを使って3D画像を作るアプリケーションで、簡単なものなら今でもAVS/Expressを使っている。UbuntuならPov-Rayも簡単にインストールできるので使ってみた。Pov-Rayの方がより綺麗なものを作ることができる。問題は等値面をPov-Rayで作るのが結構大変なこと。ちなみにPov-RayはWindowsでも使えることができるらしい。また、最近はParaviewという競合相手も出てきた。しかしParaviewに比べるとAVS/Expressは使いやすい。カレイダグラフ→gnuplot
gnuplotはWindowsでも使えるが本格的に使ってみたのはUbuntuに移行してから。はっきり言って全ての面でgnuplotの方が高機能。カレイダグラフの長所といえば、手っ取り早く綺麗なグラフを作ること、およびヒストグラムを簡単に作ることぐらい。回帰計算もできるグラフソフトとか言って結構な金額を取って、多変数関数の回帰計算が出来ないとかなめてるの?Windows時代から使っていればよかったと言いたいが、gnuplotで綺麗なグラフを作るにはそれなりのテクニックがいるのでやはりLinuxにしてから本格的に使うものかもしれない。セキュリティ対策ソフト
Linuxにはあまりない。シェアではsymantec Endpointがあって入れてみたが、これがウイルスじゃないかと思えるほどのバグがあって、かつものすごく動作が遅くなったのでやめた。今はフリーのClamTKを入れて使っている。Windows時代はEset Smart Security(NOD)を使っていたが、軽いという点では両者あまり変わらない。LaTeX
Ubuntuはインストールが圧倒的に楽。ちなみにCentOSはUbuntuよりは大変(最初から入っているようにすれば別だが)。ただしインストールしてしまえばどちらも完全に同じ。まあこれがLaTeXの良い所か。プレゼンソフトの個人的な比較
プレゼンソフト (拡張子) | 個人的長所 | 個人的短所 |
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Microsoft PowerPoint (ppt, pptx) |
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WPS Presentation (dps) |
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LibreOffice Impress (odp) |
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beamer (tex,ps,pdf) |
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Linuxディストロの比較
そんなに試したわけではないけど、とりあえず比較
CentOS
これはバージョン2からの愛用。これを使い始めたときに在籍していた大阪市立大学のメインOSがRedHatだったから、それに感化されて使い始めた。サーバー管理には非常に使いやすい。OpenSUSE
サーバー用として一度試したが、Intelコンパイラのインストールに失敗したのでやめた。何かやらかしたのかな。Ubuntu
Linuxにそれほど精通している訳ではない自分としては使いやすくていい。サーバーとしてもデスクトップとしても。今はデスクトップとして使っているがサーバーとして使ってみた時期もあってそのときも使いやすかった。デスクトップとして使ってみて何が一番良いかって、デフォルトのキーボードショートカットがとても自分にしっくりくる。Lubuntuのキーボードショートカットは更にしっくりくる(Lubuntu20.04でそうでもなくなった)。ちょこちょこと欠点もあるがそれは備忘録に記載。Linux Mint
Ubuntuに慣れてしまうと、初心者用Linuxを銘打っておきながらデフォルトの設定が物足りない気がする、と思ってたら最近使ってみてびっくり。ものすごく使いやすく進歩していた。ということでUbuntuから乗り換えようと思っている。Arch Linux
初心者の僕にはまだ早い、と思っていたがそろそろ初心者を卒業して使ってみようかな。pacmanが魅力的に見える。Puppy Linux
お出かけ用Linuxとしてそのうち使ってみようかな、と思ってる。Matplotlib vs Gnuplot
Pythonを使うようになって、グラフを描くのにMatplotlibを使う機会が増えてきた。
時々、どちらを使うか迷うときがあるので、これ以上迷わないように両方の長所・短所をまとめておく
個人的長所 | 個人的短所 | |
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Matplotlib |
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Gnuplot |
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Juliaでグラフを描く場合の選択肢
個人的長所 | 個人的短所 | |
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PyCall & Matplotlib |
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Plots |
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Gnuplot |
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Makie |
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色々試してみた結果、個人的には
という結論になった。
プログラミングの講義 (科学技術計算) で何を選択すべきだろうか
プログラミングはツールなので、計算ができればFortranでもCでもC++でもJavaでもRでもPythonでもJuliaでもRustでも何でもいいのだが、
となるとやはりPythonかJuliaになるだろうか。Rは満たすかどうかギリギリラインかな。
さて、PythonとJulia、どっちをやるべきか、未だに自分なりの答えが出ない。
個人的長所 | 個人的短所 | |
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Python |
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Julia |
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うーん…