電子講義:入門量子情報

全卓樹

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猫でもわかる量子情報(12)

量子暗号BB84の実際その1:ふたりだけの世界

やっぱり実際の例で操作的に覚えた方が簡単なのでやってみましょう。

* アリスの用意するもの:乱数ビット列2つ。量子矢印状態製造機、
* ボブの用意するもの:乱数ビット列1つ。量子矢印状態観測器
* イブの装備:乱数ビット列いくつでも、量子矢印状態製造機、量子矢印状態観測機

ここで量子矢印状態製造器は「0」「1」2つの動作モードをもち、

* 「モード0」でビット0の入力で|↑>が、ビット1で|↓>ができる
* 「モード1」でビット0の入力で|→>が、ビット1で|←>ができる

量子矢印状態観測機も同様の対応で状態の入力でビットが出力される、と思う事にします。

アリスは最初の乱数列を「仮暗号鍵」として扱い、次の乱数列を量子状態製造機の「動作モードの指定」に使う。ボブは乱数列を量子状態観測機の「動作モード指定」に使う。

 ***** アリス *****
仮暗号鍵    0    1    0  1    1    1    
モード    1    0    1  0    1    1    
製造状態  ↑  →  ↓  ↓  ↓  →  ↓  →  ←  ↑  ←  →  ↓
 *****  ボブ *****
モード    0    1    0  1    0    0    
観測状態  ↑  ↓  ↓  ←  ↓  ↓  →  →  ↓  ↑  ↑  →  ↓
推測鍵    1    1    1  0    1    0    

盗聴者不在のときはアリスの機械とボブの機械と動作モードが同じ部分だけを取り出すと、暗号鍵と推測鍵が100%の確度で一致している。アリスとボブの動作モード不一致の部分をみると暗号鍵と推測鍵には50%の不一致が見られる。

という訳で、アリスとボブは暗号鍵となる乱数列の共有ができる訳です。
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