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2016.6.20お知らせ
京都大学 北川 宏教授が本学で講演されました
京都大学 大学院理学研究科 化学専攻 北川 宏教授による「現代の錬金術:人工的にパラジウムはつくれるか」と題した講演会を6月16日、本学香美キャンパス 講堂で行いました。 本講演には、学生や教職員だけでなく、企業関係者ら約200人が参加しました。
北川教授は、まず「希少金属であるパラジウムは、導電性材料、電子部品のメッキ、歯科材料、触媒などとして需要が高い一方、可採埋蔵量が金の1/18という稀少な金属である。Alchemy(錬金術)はChemistry(化学)の語源になっており、卑金属から貴金属を創ろうとした中世の錬金術をきっかけに化学が発展した。我々は、現在、例えば鉄や銅などの安価で埋蔵量の多い金属元素を組み合わせて、パラジウムやロジウムなどの稀少かつ高機能な金属元素と同等か、それ以上の機能性を有する人工元素を作り出す研究を進めている」と科学・技術により現代版錬金術が可能かどうかを、分かりやすく解説しました。
北川研究室では、2年半という永い歳月をかけ、ロジウムと銀を組み合わせてパラジウムに近い機能性を持つ物質を作り出すことに成功したとのことで、研究開始当時、担当の学生が「専門書にはロジウムと銀は混ざらないと書いてあるので、二つを組み合わせるのは無理です」と言ったのに対し、北川教授は『「その先入観を捨てて、トライすることが大事だ」と叱咤激励した。すると、学生はその言葉を受け、懸命に頑張り、2年半の歳月をかけて実現した』と、成功のエピソードをお話しいただきました。
その上で、「研究は、(1)偶然の発見から学べ、(2)常識に囚われない(無知の知)、(3)教科書を信じ過ぎない、(4)諦めない、が肝要である」と、成功への秘訣のアドバイスを頂きました。
質疑応答では、学生からの「人工元素を作ることで、その元素を産出している国の国力が落ちるといった問題はないか」との質問に「そういった問題はあるが、長い目では、これらの研究成果は、資源枯渇による物質の高騰や、独占による国際紛争を防ぎ、結果として世界平和につながると確信している」と、研究の励みになる貴重なお言葉で回答をいただきました。
聴講者は、終始真剣にメモを取り熱心に聞き入っておりました。
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