2016.7.11お知らせ

「第1回構造ナノ化学研究会」を開催しました

7月9日(土)永国寺キャンパスにおいて「第1回 構造ナノ化学研究会」を開催しました。

 この研究会は、本年度より本学総合研究所に重点研究室として「構造ナノ化学研究室」が発足したことを記念して開催され、会場には共同研究企業の代表者や研究者、地元企業、大学教職員や学生、卒業生など約60人の方々が参加しました。

 本学磯部 雅彦学長の挨拶のあと、同研究室長である環境理工学群 小廣 和哉教授が「構造ナノ化学」と題し講演しました。

 小廣教授は「構造ナノ化学」を「分子化学的手法に基づく超精密合成技術により得られた、構造が厳密に規定されたナノ粒子を用い、ナノ構造-物性相関の議論を可能にする化学である」と定義づけ、その最たる研究開発事例として、現在宇治電化学工業と取り組んでいる二酸化チタンナノ粒子集合体(MARIMO)の研究について報告しました。

 現在は200g/日という大量合成に成功していますが、それまで試行錯誤の連続であった苦労話や、研究成果として、他の金属との複合体・発光・遺伝子銃の弾丸への応用、金属ナノ粒子付着による触媒機能増強、超微細化による透明薄膜形成、チークブラシ状粒子の合成など様々な展開が報告され、今後は総合研究所重点研究室として、学内はもとより、企業、研究所、他大学等と連携して、研究を加速させ、更なる応用展開を図っていきたいと抱負を述べました。

 続いて、共同研究企業である宇治電化学工業株式会社 取締役開発部部長 久武 由典氏より、会社概要説明の後「球状多孔質ナノ粒子集合体の大量合成による事業化検討」と題し、本学と共同研究に至った経緯、連続大量合成の状況、「新機能性材料展」出展を契機とした大手各社との事業化に向けた展開についてのご講話をいただきました。

 最後に、名古屋工業大学先進セラミック研究センター 藤 正督教授より「ナノ中空粒子の合成とその応用」と題した特別講演が行われ、藤教授が開発した独自の方法で合成したシリカの中空粒子について、軽量・高比表面積・高断熱などの7つ特長と、その可能性についての説明がなされ、応用研究事例として、断熱フィルム・防食・滑り止め効果についての説明がありました。
特に滑り止め効果については、公式バレーボールの滑り止め表面コート剤として、オリンピックで異例の12年間連続採用となっており、東京五輪への採用を目指しているとの夢が膨らむご講話をいただきました。

 藤教授は「研究、実験は失敗を恐れては駄目で、100球投げれば99球は外れるかもしれない。しかし、必ず当たるボールがある。研究もそういった考えで臨めばモチベーションが上がり、素晴らしい結果をもたらします。」と参加した多くの学生達にエールを送り、ご講話を締めくくりました。

 それぞれ講演後、出席者から時間を惜しむように質問があがり、活発に質疑応答がなされました。

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