2016.11.18お知らせ

Future Earthセミナーを開催しました

 11月14日 永国寺キャンパスにおいて「Future Earth セミナー」(主催:フューチャー・デザイン研究センター)を開催しました。

 地球システムは、産業革命以降の人類の活動の結果、過去一万年続いた安定状態から、人類の生存基盤を危なくする激変の時代に突入しています。
これに立ち向かうため、持続可能な社会への変革を加速する知識と行動を創出する国際的な研究プラットフォームが「フューチャーアース」です。 最初に講演いただいた安成 哲三所長(総合地球環境学研究所)は、大気中の二酸化炭素濃度が過去40万年の間300ppm/v以下だったのが、ここ半世紀の間のうちに400ppm/vを突破し、さらに急減に上昇していることを指摘しました。
「同時にエネルギーの消費、人口、水利用、自動車数、肥料使用量、ハンバーガー店などが激増しています。ヒトが地球そのものを変えてしまい、取り返しのつかないところまできています。
生物多様性の減少、窒素循環、気候変動などは、もう元には戻りません。
これらを受けて、2012年、世界の研究者の集団や国連の機関が合同でフューチャー・アースを設立したのです。
フューチャー・アースは、個別ではなく総合的な研究を推進するために、科学者だけではなく一般の人々も一緒に新たな智を創造し、地球の問題の解決に向かう基盤です。
つまり、「科学のための科学」であることをやめ、「社会のための科学」へ科学そのものが変貌せねばならないのです」と、地球全体の環境保全と持続可能な社会の構築のためにアジアが最も鍵となる地域であることを強調されました。

 次に、春日 文子先生(国立環境研究所・特任フェロー)は、まずこのままだと世界の気候が激変し、食料生産が維持できなくなり、人口が激減する可能性について講演されました。
「地球観測や生物多様性など、地球環境に関する研究は大きな進展を遂げ、科学的知見は蓄積しているものの、私たちの生活スタイルは一向に変わらず、地球環境は悪化の一途をたどっています。
一方で、科学者たちの分野を超えた連携は十分ではなく、特に、文理の間や工学、医学、また社会の実務専門家との連携・協力はほとんどありません。
さらには、科学者は社会が必要としている研究をしているのか、科学の成果を社会に活かすところまで研究者は考えているか、「私たちのくらし」を十分に考えてきたのか、という多くの疑問もあります。
そこで、フューチャー・アースでは、分野を超えた連携とともに、社会の人々と協働し、一緒に研究計画(co-design)、一緒に研究を実施(co-production)、一緒に実践(co-delivery)することを提案しています」と述べていました。

 本セミナーには県内大学生も多数参加し、盛況のうちに幕を閉じました。

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