2021.4.23お知らせ / 学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

最新の電界放射型透過電子顕微鏡を導入しました

総合研究所ナノテクノロジー研究センター未来材料先端解析分野では、球面収差補正レンズを搭載した最新の電界放射型透過電子顕微鏡(日本電子株式会社製JEM-ARM200F NEOARM)を導入しました。

透過電子顕微鏡とは、薄膜試料(観察対象物)に電子線を透過させ、試料中で原子により散乱・回折された透過電子を観察する顕微鏡です。物質の内部構造を観察でき、微細構造の解析を行うのに最適の機器であり、回折像によって結晶構造を調べることができます。

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ナノテクノロジー研究センターでは、これまでも旧型の電子顕微鏡により様々な研究を行ってきましたが、ナノ材料の飛躍的な発展により、これまでの分解能では元素が明瞭に識別できない事例が増えてきました。そこで、分解能を飛躍的に向上させるため、球面収差補正レンズを、透過電子像モードと走査電子像モードの両方に搭載した電子顕微鏡を導入しました。
これにより、透過電子像モードの格子分解能は0.07nm以下、走査電子像モードでは0.078nm以下となり、分解能が大きく改善されました。

本電子顕微鏡には、特性X線を効率的に収集するためのシリコンドリフト検出器(検出面積100mm²)を2台搭載しており、高分解能な高速元素マップの取得が可能となりました。また、エネルギー損失分光装置(エネルギー半値幅0.3eV)も使用できるようになり、原子レベルで化学結合状態を解析できるようになりました。さらには、微小な結晶サンプルから構造情報を得るMicroEDという機能も搭載しています。使用できる加速電圧は60,80,120,200 kVの複数が用意されており、電子線で壊れやすい材料では低加速電圧が選択できるようになっています。このように金属、酸化物、ソフト材料にいたる様々な材料に対応が可能です。

未来材料先端解析分野リーダーの藤田 武志教授(環境理工学群)は「導入事例の少ない最新の電界放射型電子顕微鏡を活用できるなど、この充実した研究環境を生かして革新的な新材料が生まれることを期待しています。また、多様な研究分野とのコラボレーションを活発に行い、研究成果を創出することにより、本学のナノテクノロジー研究センターが世界から『目に見える研究拠点』となるよう邁進していきます」と語りました。

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