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DX推進研究室
近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)は、産業界や行政において構造的な変革を促す重要な手段として注目されています。しかしながら、DXの導入と定着には、単にICT技術を導入するだけでは不十分であり、地域ごとの社会的・経済的・文化的背景を踏まえた適応的な設計が求められます。すなわち、地域固有の要因、いわゆる「地域性」がDXの成否に大きな影響を与える重要な要素となっているのです。
DX推進研究室では、このような課題認識のもと、地域におけるDX推進に必要な要素を「地域性」に着目して分析し、体系的に整理する研究を進めています。特に高知県のような地方圏においては、人口減少、産業構造の変化、社会資本の制約など、地域特有の課題が存在しており、これらがDXの実装を難しくする要因となっています。そのため、大都市での成功事例をそのまま適用しても、望ましい成果を得ることができない場合が多く見受けられます。
このような背景から、私たちは国内外のDX事例を収集・分析し、それぞれの事例に内在する「地域性」の因子を明らかにすることで、地域ごとに適したDX推進モデルの構築を目指しています。具体的には、事例を横断的に分析し、地域の特性とDX成果の関係性を明確化したうえで、地域適応型の情報蓄積・参照システムの開発を進めております。このシステムを活用することで、地域の企業や自治体は、自らの状況に即したDX事例を的確に参照し、実効性の高いDX戦略を立てることが可能になります。
また、私たちの研究活動は理論的な分析にとどまらず、地域の企業や自治体との連携を通じて、実践的なフィールドワークや社会実装にも積極的に取り組んでいきます。DXは外部から押しつけるものではなく、地域の当事者が自らの手で構想し、実行していくべき変革です。そのため、私たちは地域の主体性を尊重し、共に歩む姿勢を大切にしています。
DX推進研究室では、今後も地域性を踏まえたDX推進の理論と実践モデルの確立を目指します。そして、地方圏における社会課題の解決と持続可能な地域社会の実現に貢献できるよう、研究と実践の両面から挑戦を続けます。
- 研究室長からのメッセージ
- 私たちDX推進研究室は、地域に根ざしたデジタルトランスフォーメーションの実現を目指し、研究と実践の両面から取り組んでいきます。DXは単なる技術導入ではなく、地域ごとの文化や価値観、産業構造といった特性に深く関わる変革です。そのため、都市部で成功した事例をそのまま地方に適用しても、思うような成果が得られないことは少なくありません。私たちは、そうした地域特有の背景を丁寧にひもときながら、地域ごとの課題や資源に即したDXのかたちをともに考えていきたいと考えています。そのためには、大学だけで完結するのではなく、地域の企業や自治体、そして住民の皆さまと力を合わせ、知見と現場の経験を融合させる「協働」の姿勢が不可欠です。大学には、理論的な分析力や技術的な支援の蓄積があります。
一方、地域には現場で積み重ねられてきた経験と、現実の課題があります。これらを結びつけることで、より実効性のある未来志向の地域DXが可能になると私たちは信じています。
DX推進研究室は、地域と共に歩み、学び、挑戦する姿勢を大切にしています。変化の激しい時代だからこそ、地域の未来は地域自身の手で築くべきです。そして、大学はその歩みを支えるパートナーでありたいと願います。地域のDXを一歩ずつ前へ進めていきませんか。