統合減災マネジメント研究室

 我が国は地震、津波に限らず、台風、高潮、火山噴火を始め、様々な自然災害に見舞われてきました。それに対して、先人達は多くの知の結晶により対応してきました。今日では耐震工学、耐津波工学の分野等において我が国は世界最先端の技術を有しています。

 本研究室では、我が国の地震や津波等の様々な災害に関わる最前線の研究をしている第一線の研究者と親密な関係を築き、彼らと最新の研究成果を共有しています。
 地震、津波、土砂災害といった様々な災害から人命を守るのは当然のことながら、広域の長期浸水を伴う津波被害に対しては、被災後の復興が重要なキーワードとなっています。より効果的な復興活動のためには、事前の復興計画の策定が有効なことは言うまでもありませんが、そのためには、被害の具体的なイメージを市民の間で共有することが大切です。高知工科大学では、高知県内各地の地震被害推定や、津波に対する避難シミュレーションなど、地域の減災に役立つ研究を行っています。

 地震時に建物がどのように振動するのか、津波が地域にどのように押し寄せるのか、解析結果は全て数値で表現されています。しかし、そのような数値を眺めても、実際の地震や津波のイメージを持つことは不可能です。解析結果をわかりやすいアニメーションとするなどの工夫で、自分の身の回りが地震時にどのような状況となるのか、津波がどのように押し寄せるのか容易に理解ができるようになります。2011年東北地方太平洋沖地震や2023年能登沖地震などの自然災害は、今でも産業や生活に深刻な影響を与え続けています。千年の時を経て繰り返す極大災害に対しては、人間は過去の記憶だけで備えることはできません。人知を超える自然の猛威に対して、可視化技術を含めて最先端のあらゆる技術を統合することで、災害に対して最善の対応を目指します。

研究室長からのメッセージ
防災は身近な問題でありながら、日常の生活ではなかなか意識できないものです。しかしながら、一旦大災害が発生すると、残念ながら一般の人々にも多数の後悔を引き起こすものでもあります。江戸時代には大堤防は存在しませんでした。その結果人々は中小の津波でも多少の被害を被り、それにより大津波の恐怖を認識することができました。 現代では中小の津波に対しては万全の備えを講じており、それによる被害はないものの、逆に災害に対する認識が甘くなっているのかもしれません。本研究室の活動が現代人の防災意識に何らかの助けになるよう活動を続けています。