交通基盤研究室

交通を地域社会の基盤ととらえ、ITSと交通計画の観点から地域づくりに取り組む

これまで地域ITS社会研究室として取り組んできたKUSANONE-ITSの成果と、地域公共交通研究室による高知県の公共交通への提案とを統合し、地域社会の未来に貢献する。

地方の大きな課題は交通基盤

過疎化や高齢化はわが国の地方が抱える共通の課題であり、中でも中山間地に過疎高齢の集落が散在する高知県では、交通こそが地域社会存続の最も重要な基盤となっています。人口の減少は、公共交通の減便や路線廃止を招く一方で、公共交通が少ないが 故に頼りとしてきた小型自家用車の運転も高齢化によってますます困難になるため、過疎地域の高齢者は買い物や通勤などの日常生活の先行きに大きな不安を抱えています。そのような背景の中で、公共交通の再構築を図ることは、地域社会の未来にとって重要なテーマです。

地域ITSの成果

これまで10年以上にわたって地方の実情に即したITS(Intelligent Transport Systems)を提起し、具体的な実践成果を重ねてきました。

中山間の狭隘道路で対向車の接近を検知し警告する「ゆずりあいロード支援システム」は県内はもとより県外数十カ所でも設置されています。「道路表示板KLシリーズ」は、高額を要した表示板システムを県内企業の育成により低額化したもので、県内数十カ所に設置されています。「ノーガード電停の安全対策」を数カ所で実施し安全性の向上を実現しました。

この他にも、バス運行に関する改善など様々な実績をあげてきました。

これらに共通する理念は、都市交通を念頭においた従来型のITSではなく、あくまで地方における住民の要望に根ざしたITSを開拓するということです。その理念をMade in Kochi のKUSANONE-ITSとして海外にも発信し、多くの支持を得るに至っています。

今後の取り組み

地域ITSの技術的側面をさらに普及発展させるとともに、地域社会基盤としての交通に 求められるシステム・計画的側面をさらに追及します。 例えば、バス路線の合理的再編や、路面電車の再評価などへの都市計画的視点からのアプローチ、あるいはナビを装備した電動アシスト自転車による新観光システムの提案、さらに高齢者向け地域限定免許の制度設計など、ハード・ソフトにまたがって幅広く未来の交通基盤のあり方を考究します。

研究室長から
2015(平成27)年度から新たに本学システム工学群の重山陽一郎教授が研究室員として参画します。これまで私達は新たなバス停の設計や運行系統の見直しおよび系統MAPの設計等高知の交通問題を違った目線で取り組んできました。今後は更に道路交通等へも参画し、高知の交通基盤の中心として研究室を盛り立てていきます。