地域連携機構長挨拶

地域連携機構は、2009年本学の公立大学法人化に際して、「大学の地域貢献」をより強力に推進するために設立されました。

これまでに、地域とのつながりの強い専門分野の教員を集約して地域連携に力を注いで参りました。その結果、木質バイオマス発電や木質ペレットの普及促進により地域でのエネルギー自給を目指すグリーン・エネルギー研究所、スラリーアイスを使った生鮮魚類の鮮度保持や凍結濃縮、高知県などの地方の道路事情等に即した交通システムを提起した草の根ITS、地域防災システムや地域情報通信、有用植物資源など、それぞれの教員の専門分野に基づく具体的な成果を発信してきました。

本学では、それぞれの教員の専門性を極限まで追求しつつ、それに基づいて地域に貢献していくという方針を打ち出しています。この方針に則り、高知県が抱える様々な課題の解決に寄与していくことを目標とするなかで、例えば、地域の里山フィールドの課題等を工学の専門性を発揮することで解決を目指す里山工学など、今まで存在しなかった新たな研究領域として注目をされる取り組みも始まっています。

このような流れの中で、多彩な分野の先端研究の成果をより一層積極的に社会貢献に活かすために、設立10年目の2019年度からは、目標ごとに大きく3つのユニット制を採って取り組んでします。地域に根付くような「産業育成」、インフラ整備などの「社会マネジメント」、里山生活を工学的にサポートする「里山創成」という3つのユニットを軸に活動しています。

ユニットというゆるやかな枠組みで柔軟に連携して、研究者個々の専門性を様々な形態で活かせる場や機会をなるべく多く創れる環境を醸成することを意図しています。さらに、これらの研究ユニット群と横断的に連携する組織として、研究ユニットと地域産業・地域行政・地域社会との連携を円滑にする役割を担った「社会連携センター」、地域での教育を総合的にサポートする「地域教育支援センター」も併設しています。

地域連携機構は、大学の社会貢献に対する強い要請に応えて、高知工科大学らしい専門性に根差した地域貢献のあり方を今後とも追求したいと考えています。地域の皆様方のご支援・ご協力を引き続きよろしくお願い申し上げます。

2023年4月

 地域連携機構長 小廣 和哉