2021.11.25地域・一般 / 地域貢献 / 学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

小廣 和哉教授、大谷 政孝准教授が四国地方発明表彰で四国経済産業局長賞を受賞

公益社団法人発明協会主催の「令和3年度四国地方発明表彰」において、環境理工学群の小廣 和哉教授大谷 政孝准教授が四国経済産業局長賞を受賞しました。
地方発明表彰とは、各地方における発明の奨励・育成を図り、科学技術の向上と地域産業の振興に寄与することを目的として大正10年に創設されたものであり、実施されている優れた発明、考案又は意匠を生み出した技術者・研究開発者を顕彰するものです。

★8B0A3669.jpg
(写真:左 大谷 政孝准教授、右 小廣 和哉教授)

受賞対象は、2018年に小廣教授、大谷准教授とYAMAKIN株式会社の共同研究グループが発明した「デジタル歯科治療で用いる接着材」です。
本発明は、人工歯(CAD/CAM冠)の土台となる歯に強固に接着することができる歯科用接着性組成物に関するものです。人工歯は従来の歯科用接着材に対する反応性が低く、接着力の向上が求められていました。本発明では、本学で開発した比表面積が非常に大きい球状多孔質ジルコニアナノ粒子(通称「MARIMO(Mesoporously Architected Roundly Integrated Metal Oxide)」)とチオール化合物を接着材に最適量配合することにより、従来のジルコニア粒子では成し得なかった光透過性と接着力を高いレベルで両立させることに成功しました。

本技術を活用し製品化された高機能歯科用接着剤は、光透過性に優れ、光照射のみで人工歯を接着できるため術者の操作が容易であり、かつ、従来品と比べて脱離しにくくなるため、歯科治療を受ける方々の生活の質の向上に貢献しました。
このような功績が高く評価され受賞の運びとなりました。

★SEM写真.jpg 製品写真.jpg
(写真1枚目:本発明で活用した「MARIMO」のSEM画像、2枚目: 本発明を活用した歯科用接着剤の製品外観)

受賞を受けて、小廣教授、大谷准教授は「このような栄えある賞をいただき光栄です。本学発の研究成果を生かして、高知県内で量産化、商品化を実現できたことは、非常に意義のあることだと思っています。YAMAKIN株式会社をはじめ、実用化に不可欠な大量生産技術を確立してくださった宇治電化学工業株式会社や、ご協力いただいた皆様に感謝申し上げます。今後も意義のある研究を進めていきたいと思います」と受賞の喜びと抱負を語りました。

小廣教授の研究成果に基づく社会貢献事例はこちらから

【受賞特許概要】
特許番号:特許第6533332号
発明の名称:デジタル歯科治療で用いる接着材
発明者:
YAMAKIN株式会社 開発部 有機材料開発課 レジン開発チーム 上級主任研究員 溝渕 真吾氏
YAMAKIN株式会社 特任主席研究員 加藤 喬大氏
YAMAKIN株式会社 開発部 有機材料開発課 レジン開発チーム 主任エンジニア 竹川 知宏氏
YAMAKIN株式会社 開発部 有機材料開発課 レジン開発チーム プロジェクトリーダー 中野 貴文氏
高知工科大学 環境理工学群 教授 兼 総合研究所 構造ナノ化学研究センター センター長 小廣 和哉
高知工科大学 環境理工学群 准教授 大谷 政孝
北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 マテリアルサイエンス系 特任講師 闞 凱氏

RELATED POST

関連記事