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学生3名が第26回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会で優秀講演賞を受賞

環境浸透型エレクトロニクス研究室(指導教員:野田 聡人准教授)の学生3名が、昨年12月10~12日に開催された「第26回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会」において、それぞれ優秀講演賞を受賞し、3月中旬に表彰状が届きました。

前田 凜空さん(システム工学群4年/高知県・私立土佐高等学校出身)
発表テーマ「衣服上に分布したバッテリレスセンサ用の13.56MHz帯近接通信」

近年、スマートウォッチのような単一のウェアラブルセンサにとどまらず、複数のセンサを全身に配置してより詳細な情報を取得する研究が進められています。前田さんは、その中でも、皮膚表面に直接貼り付けるセンサを無配線で使用する手法に着目しました。

この手法を、交通系ICカードなどに使用されている近距離無線通信方式のNFCを用いて実現する方法が注目されています。NFCをそのまま使用すると、扱うことのできるセンサの数や通信速度に制限があります。その制限を解消するには、通信のルールである通信プロトコルを変更する必要がありますが、市販のNFC ICでは不可能でした。

そこで前田さんは、マイコンを用いて通信プロトコルを自由に変更することができる「簡易ソフトウェア無線機」を開発しました。この手法では、通信プロトコルをマイコンのプログラムで自由に変更することができ、制限の解消のための研究を容易に行うことができます。

簡易ソフトウェア無線機の実機にて、非接触で複数の加速度センサの値の取得に成功しました。この結果から、プロトコルを自由に変更可能なバッテリレスセンサネットワークが実現できる可能性を示しました。

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受賞を受けて「このような賞を受賞することができたのは、ご指導くださった野田先生をはじめ、これまで支えてくれた研究室の方々のおかげであり、心から感謝しています。市販のICでは不可能なプロトコル改変の実現には試行錯誤しましたが、その成果が評価され大変嬉しく思います。引き続き研究を行い、全身に分布するウェアラブルセンサネットワークの実現に向けてさらに技術を発展させていければと思っています」と話しました。

久家 大輝さん(修士課程2年 電子・光工学コース)
発表テーマ「ウェアラブル二次元通信を用いた電力集約における同期制御による集約効率の向上」

近年、身近な環境から得られる微小なエネルギーを電力に変換して活用する「エナジーハーベスティング」技術が注目されています。主なエネルギー源としては、太陽光、人体由来の振動、温度差、周囲に存在する電波などが挙げられます。

この研究では、バッテリーレスなセンサ群の実現を目指し、太陽電池による発電を想定して、その電力を効率よく集約することを目的としました。具体的には、衣服上に複数の太陽電池を分散配置し、発電された電力を「導電布」と呼ばれる電気を通す布を用いて一か所に集約します。しかし、複数の太陽電池が同時に電力を供給すると、太陽電池間で電流の逆流が発生し、一部のエネルギーが無駄になってしまうという課題がありました。

そこで久家さんは、通信分野で用いられる「Listen Before Talk(LBT)」の考え方を採用しました。これは、通信を開始する前に他の機器が通信していないことを確認する手法です。本研究ではこの仕組みを電力集約に適用し、導電布上に他の太陽電池の接続がないことを確認した場合のみ電力を供給する制御方式を提案しました。この制御を実現する回路を設計し、シミュレーションによる評価を行った結果、従来の集約方式と比較して、より高い効率で電力を集められることが確認できました。

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受賞を受けて「初めて参加した学会で、このような賞をいただくことができ、今後の研究活動への大きな励みとなりました。本受賞は、熱心にご指導くださった野田先生をはじめ、日頃より貴重なご意見をくださった研究室の皆様のおかげであり、心より感謝申し上げます。今後は実機による検証の段階へと進みますが、さらに信頼性の高い実証を行えるよう、引き続き研究に取り組んでまいります」と話しました。

髙木 康陽さん(修士課程2年 電子・光工学コース)
発表テーマ「人体表面伝送を想定した2.4GHz帯メタマテリアル導波路および近接カプラ」

「衣服のように身に着けられる通信技術」の実現をめざす髙木さん。近年、心拍や体温などの生体情報を常時取得するウェアラブル機器が注目されていますが、取得したデータを安定して大量に送るためには通信性能の向上が重要な課題となっています。特に、人体の周囲では電波が減衰しやすく、従来の方法では効率よく伝送することが難しいという問題があります。

そこで、髙木さんは、電気を通す布に人工的な周期構造(メタマテリアル)を施すことで、電波の伝わり方を制御し、人の体の表面に沿って低損失で伝送する新しい仕組みの研究に取り組んでいます。この構造により、従来は伝わりにくかった高周波帯の電波を効率的に導くことが可能となり、ウェアラブル機器間での高速・大容量通信の実現が期待されます。こうした技術が実用化されれば、服そのものが通信機能を持ち、特別な機器を意識することなく健康状態を記録・共有できる社会につながります。

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受賞を受けて「今回このような賞をいただけたことを大変光栄に思います.本研究は、指導してくださった先生方や、日々議論や助言を重ねてくれた研究室のメンバーの支えがあってこそ得られた成果であり、深く感謝しています。一方で,まだ理解や検討が十分でない部分も多く、今後さらに研究を深めていく必要があると感じています。この経験を励みに、より実用化に近づく成果を目指して取り組んでいきます」と話しました。

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