2023.7.11地域・一般 / 地域貢献 / 研究 / 研究者・企業

サイエンスカフェで濱口 猛智客員教授がDX・AIをテーマに講話

6月30日、高知みらい科学館および本学が主催のサイエンスカフェ「DX・AIにまつわる素朴な疑問を語り合える、週末夜のひととき」を開催し、県内高校生を中心に、募集定員を大きく上回る約30名の方にご参加いただきました。

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高知みらい科学館と本学は、平成31年にオフィシャルパートナー協定を締結し、高知県の科学教育や科学文化のさらなる振興を目的として、サイエンスカフェ等の科学イベントの開催や学生の交流など多くの連携事業を行っています。
今回は、本学の濱口 猛智客員教授が「DXの最前線―デジタル化からデジタルトランスフォーメーションへ―」をテーマに講話、全てのテーブルに着席し、参加者と談笑を交えながらDX ・AIの現在、今後の展望について議論しました。

濱口客員教授は、マイクロソフトアメリカ本社の製造インダストリーディレクターを務め、同社が川崎重工と連携して進める「インダストリアルメタバース」の開発に携わっています。 また、来年4月に開設するデータ&イノベーション学群の特任教授として、先端デジタル価値創造などの分野で教鞭をとる予定です。

初めに、濱口客員教授は、AIを活用して入店率や入店者の性別・男女比率を評価して仕入れの自動化などを行った結果、年商を5倍増とした「ゑびや大食堂」(三重県)の事例や、NBA(National Basketball Association)がデジタルを使って新たなファン層を獲得した事例を挙げて、実社会で企業がどのようにDXを活用して課題解決に取り組んでいるかを紹介。
また、濱口客員教授が所属するマイクロソフト社でも、商談の際、AIがマーケティング結果や営業成績からデータ分析を行い、商談先に合った提案書を作成、面会の約束をとるためのメールの文案まで提案してくれている事例などを挙げ、AIによる仕事の効率化が徹底されている現状を説明しました。

さらに、話題のChatGPTについても言及し、「坂本龍馬の口調で高知県のDXについて教えて」や「ChatGPTによって作成された論文や宿題の回答を見分ける方法は?」といった質問をその場で入力して、その実用性を検証しました。
濱口客員教授は、「従来のAIと違って、生成AIは、人間の質問に対して回答を返してくるという点で、無から有を生み出しているように見えるため、世間の人々に驚嘆されています。しかし、実際は、質問に含まれる単語から正確性を予測し、学習済データから答えを類推しているだけなのです。生成AIを代表するChatGPTも、従来のAIの延長線上にあって、大きな違いはないのです」と強調しました。

各テーブルを回っての質疑応答では、参加者から「ヒューマノイドはどの程度まで実現可能なのか」、「ChatGPTへの質問の仕方のコツは?」といったAIに好意的な質問があった一方、「実在するアイドルの肖像をAIで作成し悪用された場合、防犯カメラで追跡され、ストーカー被害につながるのではないか」、「ChatGPTが作成したデータや文章をChatGPTが学習してさらに作成、これが繰り返されれば人間が作った言葉特有の表現が失われていくのではないか。また、それがChatGPTの成長を止めてしまうのではないか」といった懐疑的な意見も出され、濱口客員教授は一つ一つ丁寧に回答していました。

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濱口客員教授は、「今まで人間が作業してきた仕事は、AIで多くできるようになるでしょう。しかし、AIをどう使うのか、そのコンテキストを考えることは、過去から学習するだけのAIが不得意とするところで、人間にしかできません」と話し、最後に「AIはあくまで副操縦士。人間が意思決定をするための有能なサポート役に過ぎません。現状の何が問題で、どう変えたいのか、そのためにどうAIを使うのかを考え、トライアンドエラーを繰り返すことが課題解決への一番の近道です」と参加者へメッセージを送り、お話を締め括りました。

参加した高校生からは、「AIやDXという言葉はよく耳にしますが、身近ではないのであまり実感できていませんでした。それを濱口さんが分かりやすく説明してくれたので、楽しく理解することができました。参加して良かったです」といった感想や、「高知工科大学を志望しているため参加しました。今回のお話を聞いて、工科大に進学すれば、このようなことが学べるのかと将来のビジョンを明確にすることができました」といった感想をいただきました。

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