2025.5. 9学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

藤田 武志教授らの研究グループがホウ化水素シートに抗菌・抗ウイルス・抗カビ機能を発現させました

理工学群の藤田 武志教授は、東京科学大学(Science Tokyo)物質理工学院 材料系の宮内 雅浩教授、山口 晃准教授、Andi Maulianaさん(博士後期課程2年)、筑波大学 数理物質系の近藤 剛弘教授、神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)の砂田 香矢乃常勤研究員、小林 慶一研究員、永井 武上席研究員、石黒 斉プロジェクトリーダーらとともに、ホウ化水素シート(※1)が優れた抗菌・抗ウイルス・抗カビ機能を発現することを見出しました。

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図 ホウ化水素シートをコートした部材の抗ウイルス、抗カビ効果


ホウ化水素シートは、筑波大学の近藤 剛弘教授らが発明した二次元物質(※2)で、水素キャリア(※3)や触媒などへの応用が期待されている物質です。本研究では、このホウ化水素シートをガラス基板にコートした透明な膜部材が、優れた抗菌・抗ウイルス・抗カビ機能を示すことを明らかにしました。高性能のメカニズムについて検証した結果、ホウ化水素シートが微生物のタンパク質の変性に寄与することが分かりました。新型コロナウイルス感染拡大のようなパンデミック(※4)が再び起こる恐れがあるなか、ホウ化水素シートはこうした感染リスク拡大を防止するための部材や繊維類などへの透明コーティング材としての応用が期待できます。また、抗カビ機能も有することから、身のまわりの清潔を保つための部材や日用品への応用も期待できます。

この成果は、2025年4月23日、「Journal of Materials Chemistry B」に掲載されました。

  詳細はプレスリリースをご覧ください。

用語解説

※1)ホウ化水素シート
 ホウ素と水素の組成比が1:1のナノシート状の物質。

※2)二次元物質
 厚みが数nm程度以下のシート状の物質。

※3)水素キャリア
 水素を貯蔵・輸送するための担体。高圧水素ガスボンベ、液化水素、アンモニア、有機ハイドライド、水素吸蔵合金などが知られる。

※4)パンデミック
 感染症や伝染病が世界的に大流行し、多くの感染者や患者が発生すること。

掲載論文

題 名: Broad-spectrum antimicrobial effects of hydrogen boride nanosheets
著 者: Takeshi Nagai, Andi Mauliana, Keiichi Kobayashi, Akira Yamaguchi, Keisuke Miyazaki, Yue Yang, Jumpei Takeshita, Takeshi Fujita, Kayano Sunada, Hitoshi Ishiguro, Takahiro Kondo, and Masahiro Miyauchi
掲載誌: Journal of Materials Chemistry B
掲載日: 2025年4月23日
D O I : https://doi.org/10.1039/D4TB02854F

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