2025.11.14在学生・保護者 / 学群・大学院 / 研究

第33回有機結晶シンポジウムで2名の学生が優秀ポスター賞を受賞

機能性高分子化学研究室(指導教員:林 正太郎教授)の学生2名が、11月1・2日に信州大学で開催された「第33回有機結晶シンポジウム」で優秀ポスター賞を受賞しました。
同賞は、66件のポスター発表のうち、優れた発表と認められた4件に授与されました。

中林 真宏さん(博士後期課程 基盤工学コース 3年)
指導教員:機能性高分子化学研究室 林 正太郎教授
発表テーマ「メトキシ間相互作用の形態変化に伴うπ共役系分子結晶の多形間相転移と発光性質変化」

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結晶とは、原子または分子が規則性を持って並んだ構造体のことを言いますが、その中でも稀に、加熱や圧力などの刺激によりその並び方を変える(=相転移する)ものがあります。こういった結晶は、次世代デバイスの材料となりうる有用な素材ですが、人為的に生み出すことが難しいといった課題があります。

中林さんは、官能基(有機化合物の性質を決める特定の原子の集まり)の一つであるメトキシ基の相互作用に着目。メトキシ基は、微弱ながら互いに引き合う性質を持ち、メトキシ基同士が近接して結晶となります。中林さんは、この結晶は熱や圧力などの外部刺激を加えられると、相互作用が切断され、相転移が引き起こされることを確認。相転移に伴い、結晶の発光色が黄色から緑色に変化することも発見しました。

受賞を受けて「ご指導いただいた林先生と研究室の皆さん、また、化学計算についてご助言いただいた伊藤 亮孝教授に感謝を伝えたいです。そして、この研究を外部の方々に評価していただけたことを大変嬉しく思います。卒業まで残り半年足らず、これまで自分がやってきた研究の成果をまとめられるよう、さらに精進します」と話しました。

野老山 瑞希さん(修士課程 理工学コース 2年)
指導教員:機能性高分子化学研究室 林 正太郎教授
発表テーマ「9,10-ビス(4-メトキシフェニル)アントラセンにおける結晶-無秩序ヘテロ接合の発見とその性質評価」

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物性の異なる材料同士の接合のことを「ヘテロ接合」と言いますが、結晶においても、異なる2つの集合体構造からなる「ヘテロ接合結晶」というものがあります。これまで、単一の分子から構成されるヘテロ接合結晶は、部分的に熱などの刺激を与えて相転移を起こさせることで作製されてきました。

野老山さんは、溶液中で、9,10-ビス(4-メトキシフェニル)アントラセンという発光特性を持つ針状結晶を生成。ここで生まれた結晶は、側面や上面など、見る面によって発光色が異なることを発見しました。その構造を調べると、分子が規則正しく配列した集合体と無秩序に並んだ集合体がヘテロ接合していることを確認しました。つまり、自己組織化によるヘテロ接合結晶の創製に成功したと言えます。

受賞を受けて「ご指導くださった林先生、そして測定の補助や研究の相談にのってくださった、研究室の先輩である樋野 優人さんに感謝を申し上げます。卒業前、最後に参加した学会でポスター賞を受賞することができて嬉しかったです。卒業まで、気を緩めることなく研究に励みたいです」と話しました。

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