2025.12.15研究 / 研究者・企業

クロスオーバーアライアンス分科会エキスパート研究会が永国寺キャンパスで開催されました

12月1・2日、永国寺キャンパスにて、クロスオーバーアライアンスの分科会であるエキスパート研究会が開催されました。

クロスオーバーアライアンスとは、5つの国⽴⼤学(北海道大学・東北大学・東京科学大学・大阪大学・九州大学)の研究所が、それぞれの得意分野で連携・ネットワークを組み、分野横断的に社会課題解決をめざす共同研究ネットワークです。

同研究会の世話人を務めた、総合研究所・理工学群 林 正太郎教授にインタビューしました。

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――近年、いわゆるPI(Principal Investigator:研究代表者/プロジェクトリーダー)同士の交流を促進する流れにあり、活発化しています。こういった研究者間交流が重要視される背景や意義について、個人的見解を。

▶ 年々研究の学際化が進んでいる一方、物質の設計から計測〜評価まで様々なエキスパートが様々な学会・研究会に散らばってしまっているように感じます。PI間のディープな交流による意見交換や共同研究が推進できれば、測定支援や装置の貸し借りに留まらない研究加速効果が期待でき、永続的な研究力(学生が関われば教育力)向上につながるものと思います。

――たしかに、KUTでも、従来の「分野別・個別研究室中心」の大学研究モデルに発展性を持たせるべく、今年度に総合研究所が改組し、領域・センターを超えて研究者同士の交流機会が設けられるなどしています。「オープン化」「研究インテグリティ」「社会実装」を意識した運営がスタートし、「世界中から研究者が交流と協同を求めて参集するような学際的研究ネットワークの結節点」をめざすことになりました。林先生も、総合研究所柔軟性有機分子集合体研究センターのセンター長として意識されていることは?

▶ まず、本学総合研究所のような多様な分野のPIが一つの研究所に所属するようになったことで、その価値観の共有や研究交流が加速されれば、学際化(横断的)に進む研究活動において国内研究拠点のロールモデルとして働くことが期待されます。合わせて、各分野で尖った挑戦的研究を展開し、プレゼンスを示さなければいけません。この挑戦は大学の価値を広く発信する重要な要素ですので、私としてはセンターの活動として社会に"見える化"される大きな成果を目指しています。尊敬する先生の言葉を借りると「常にホームランを狙わなあかん!」です。具体的に意識しているのは、学術において毎年"ハイライト"となるようなトップジャーナルへの掲載、産業においては社会還元を軸とした事業化への試みです。これらは重要なプロモーションとなり、追ってハイレベルなネットワーク環境を求めて高知へ向かう研究者、学生の教育成果としても主体的・能動的な活動力という形で目に見えてくるはずです。

――学際・融合研究の促進、ネットワーク形成いずれも必要なのですね。KUTが国際的に研究を展開していくうえでの拠点となるための鍵は?

▶ まず理想を言えば、高い学術的専門性に留まらない飛び抜けたアイディアを持った多くの研究者が必要だと感じます。研究は端的に言うと「ブレイクスルーを示したか?」が重要で、これを示さなければ研究提案だけでなく、研究成果を世に出した際も注目してくれません。卓越した成果を期待して採択してくれるJSTやNEDOなどといった研究支援機関は、研究展開へ向けて積極的にプロモーションしてくれますので、支援対象となる研究者が増えることが大切なことの一つです。二つ目は、国内外における研究者(または研究室)のブランド力です。例えば、昨年度から今年度にかけて6カ国の研究者で形成される国際共同研究に挑戦し、アメリカ化学会のJournal of the American Chemical Societyに掲載されました。主要著者として名を連ねましたが、これまでの研究において尖った成果を出し続けてきた結果と捉えています。また、今年のハイライトは、研究室単独でNature Communicationsに掲載されるまで徹底的に結果を練り上げたことです。主体的または主要な立場でハイインパクトな論文を発表すれば、国内外における研究機関の注目度が増し、総合研究所が国際的な研究拠点として機能する道筋が見えてきます。

――クロスオーバーアライアンスも、それらの趣旨に則って展開されているものと推察しますが、そもそも5つの国立大学法人の研究所で構成される同組織が、本学で分科会を開催した経緯は?

▶ アクティブな研究者は常に"非日常"の中で研究に対する情熱を燃やす傾向にあります(と個人的に思います)。アライアンスメンバーの方が"高知県が大好き"だったことと私がこれまで新学術領域(現在では、学術変革領域)やJST創発的研究支援事業において他大学の附属研究所の主要研究者と共同研究や研究会開催などの交流を行っていたことが今回の発端です。高知大学にも関連する先生がいらっしゃいましたので、参画していただく形で高知工科大学開催となりました。

――今回、本学で開催されたことで得られたことや、今後の展望は?

▶ ここでは、様々なプロジェクトを抱えたアライアンスメンバーとの交流に加え、本学の雰囲気、高知県にいる研究者のアクティビティをプロモーションできたことが最大の成果です。本学総合研究所の学際性が挑戦性を伴って機能すれば、これを起点に高知工科大学の教育研究活動が大きく発信できるのではないかと思います。

今回開催のエキスパート研究会では、冒頭、蝶野 成臣学長の挨拶から始まり、参加者の研究紹介では、本学から、林教授、大谷 政孝教授古田 寛教授曲 勇作講師山本 哲也教授が登壇しました。

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(写真1枚目:研究プレゼンの様子、2枚目:蝶野学長、3枚目:登壇した大谷教授)

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