2019.10.31研究 / 研究者・企業

横山助教らの研究論文が、Bulletin of the Chemical Society of Japan誌の優秀論文に選出されました

環境理工学群 横山 創一助教らの研究論文が、公益社団法人日本化学会が刊行する英語論文誌「Bulletin of the Chemical Society of Japan」(2019, Vol.92, No.11)に掲載され、優秀論文(Selected Paper)に選出されました。


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掲載された論文のタイトルは「Anion-Capture-Induced Fluorescence Enhancement of Bis(cyanostyryl)pyrrole Based on Restricted Access to a Conical Intersection(円錐交差による失活抑制に基づいたジシアノジスチリルピロール分子のアニオン捕捉増強発光)」です。
横山助教らの研究グループは、生体内に数多くあり重要な役割を果たしている陰イオン(アニオン)を可視化するため、陰イオンと相互作用して発光増強を示す分子構造を開発しました。
生体内に存在する特定の物質を見つけ出す手法の一つとして、特定の物質と相互作用すると蛍光*が発現もしくは増強する分子を用いることで、「光」によって、その存在位置を可視化することができます。

本論文は、開発した独自の分子骨格を用いて、陰イオンを捕捉した分子の動き、つまり熱運動が抑制されることで、蛍光強度が大きく増強するメカニズムを、理論化学的、実験的に明らかにし、可視化の可能性について解説しています。
本研究成果から得られる知見は、物質を検出する上で新しいコンセプトとなっており、陰イオンだけでなく、様々な物質を検出可能にする材料を開発する上で、新しい分子設計指針の一つになると期待されます。

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本論文はオープンアクセスとなっており、こちらから閲覧可能です。
(S. Yokoyama, A. Ito, H. Asahara, N. Nishiwaki, Bull. Chem. Soc. Jpn. 2019, 92, 1807-1815.)


*蛍光:外部から得たエネルギーを分子が吸収すると、エネルギーは不安定な状態(励起状態)となります。分子は余分なエネルギーを放出する際、熱運動(無輻射失活)することで安定なエネルギー状態(基底状態)に戻るか、光(電磁波)を放出することで基底状態に戻ります。このとき観察される光を「蛍光」といいます。

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