2021.2.22地域・一般 / 研究 / 研究者・企業

榊客員准教授が「日本学術振興会賞」受賞

榊 美知子客員准教授(総合研究所 生涯心理・脳科学客員研究室)が「第17回日本学術振興会賞」を受賞しました。本賞は、創造性に富み優れた研究能力を有する若手研究者を見出し、その研究意欲を高め、研究の発展を支援することにより、我が国の学術研究の水準を世界のトップレベルにおいて発展させることを目的に創設されたもので、人文学・社会科学および自然科学のあらゆる分野にわたる研究者25名に授与されます。

★Michiko Sakaki 1.jpg

榊客員准教授は、「発達過程を踏まえた記憶と感情の相互作用に関する認知神経科学モデルの構築」をテーマに研究を行い、感情が記憶に与える影響の検討を通じて、記憶メカニズムについて探究してきました。
これまでの記憶と感情に関する研究では、感情が記憶を促進させるか抑制させるかについて一貫した結果が得られず、背後にあるメカニズムも不明確でした。これに対して本研究では、認知行動実験、脳イメージング、生理反応、内分泌系の反応、ニューラルネットワークモデルなど、多様な手法を組み合わせたうえで、発達的な視座を導入した研究を進め、記憶と感情の相互関係についての多くの研究成果を挙げました。

感情と記憶の関連の背後にある多層的なメカニム.jpg

具体的に、認知反応に焦点を当てた実験、神経生理学的方法による実験を通じて、感情は記憶に対して促進または抑制の両効果を実現していることを明らかにし、また、ニューラルネットワークモデルを用いて、様々な年齢段階で得られた結果の整合性を説明するモデル構築も行い、知見を統合的に理解する視座を提供することにより、記憶研究の進展に貢献しました。
このような研究成果が、認知心理学研究者として国際的にも高く評価され、今後の更なる発展が期待されることから、今回の受賞に至りました。

受賞をうけ榊客員准教授は「大学4年の卒業論文のテーマを選んでいるときに、感情と記憶の相互作用に惹かれ、これまでずっと研究を続けてきました。その研究成果がこのような名誉ある賞につながって大変光栄に思います。今後さらなる面白い展開をもたらせるよう頑張りたいと思います」と喜びと今後の抱負を語りました。

RELATED POST

関連記事