2022.3.25在学生・保護者 / 地域・一般 / 学生生活 / 学群・大学院 / 研究

日本材料科学会四国支部長賞を学生が受賞

中村 太誠さん(大学院修士課程 マテリアル工学コース2年)が、令和3年度日本材料科学会四国支部長賞を受賞しました。

日本材料科学会四国支部は、四国支部の活性化と若手人材の育成を目的として様々な事業を行っており、その一環として、四国内の大学、高等専門学校および高等専門学校専攻科を対象に、材料科学分野の授業、実験並びに研究を通して優れた成績をあげた学生に支部長賞を授与しています。

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中村さんは、酸化物材料工学研究室(前田 敏彦教授)で、銅酸化物系高温超伝導体について研究してきました。超伝導体は、ある温度(超伝導転移温度 Tc といいます)以下になると電気抵抗が完全にゼロになるという性質を持ち、リニアモーターカーやMRI等に使用されています。しかし、現在実用化されている超伝導体は「金属系」とよばれる物質で、その冷却には高価な液体ヘリウム(-269℃)を必要とします。高温超伝導体は、高いものでは液体窒素温度(-196℃)を超える Tc を持ち、電力ケーブルなどへのさらに幅広い応用が期待されていますが、加工が難しいセラミックスであるため現在も研究開発が続けられています。中村さんの研究対象は Pb 系 "1-2-1-2" 型とよばれる物質についてのもので、(Pb,Cu)Sr2(Y,Ca)Cu2Ozz は 7 に近い値です)という複雑な化学組成のイオン結晶です。この物質の超伝導特性は、Pb4+ イオンと Pb2+ イオンとが共存できること、酸素量 z が変化できること、Y3+ イオンを Ca2+ イオンで置き換えられること、など多くの要素に依存しており、Pb 系 "1-2-1-2" 型物質は高温超伝導現象の発現機構の研究にとって重要な位置を占めています。中村さんは、この物質の結晶構造面での特徴である (Pb,Cu)O 層について、その構造や組成、元素置換効果についての多くの知見を得ました。酸化物材料工学研究室では、これらの知見を生かしながら、より高い Tc を持つ超伝導物質の合成をめざしています。

中村さんは「このような賞をいただき大変光栄です。前田教授をはじめ、研究にご協力いただいた皆様には本当に感謝しています」と語りました。

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