2022.5.31学生生活 / 学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

学生らの論文が英国学術論文誌の表紙を飾りました

中林 真宏さん(大学院修士課程化学コース2年・香川県立善通寺第一高等学校出身/指導教員:機能性高分子化学研究室 林 正太郎講師)らの研究論文がRoyal Society of Chemistry(イギリス王立化学会)のMaterials Advancesに掲載され、Front Coverとして採用されました。

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中林さんらは、「Synthesis of acrylonitrile side chain-appended π-conjugated polymers by a Suzuki cross-coupling polycondensation and a Knoevenagel condensation, and their optical properties(SuzukiクロスカップリングとKnoevenagel縮合を用いたアクリロニトリルを側鎖に有するπ共役系高分子の合成とそれらの光学特性)」について報告しました。

高分子化合物は生物組織やプラスチックなど、社会全体に幅広く存在しており、研究者の努力によってより有用なモノへと日々進化しています。そのため、ターゲットとする高分子の簡便な合成法を確立することは、新たな機能性高分子開発の手助けとなります。

本研究では、発光効率の高いアクリロニトリル骨格を側鎖に導入したπ共役系高分子の簡便な合成を達成しました。この合成法は、塩基性条件下、SuzukiクロスカップリングとKnoevenagel縮合を同時進行することで、3つのユニットを導入した高分子化合物をワンポットで(一度の反応で)合成することができます。中林さんらは、この合成法で合成した高分子の自立膜を作成し、その高い量子効率がアクリロニトリル骨格の側鎖導入に基づくことを明らかにしました。

本研究で得られた高分子は、よく光り、自立膜の作成が容易なことから、色調可変な固体蛍光材料としての可能性を有しており、センサー膜としての応用が期待されます。

中林さんは「私の研究結果が評価され、論文誌の表紙を初めて飾ることができ、嬉しく思います。本研究は修士1年の11月から始動しました。当初、私は結晶関連の研究を行なっていたため、高分子に対しての知識が乏しく、実験を失敗することもありました。しかしながら、研究を進めていくにつれて高分子化学への理解が深まり、的確に実験を進めることができました。また、研究室のメンバーの助力もあって一つの研究を完結することができました。研究を完結させたことによって、自分の自信につながり、大きな達成感が得られました。今後は博士後期課程へ進学し、さらに研究を続けていきたいです。」と語りました。

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論文タイトル:Synthesis of acrylonitrile side chain-appended π-conjugated polymers by a Suzuki cross-coupling polycondensation and a Knoevenagel condensation, and their optical properties(SuzukiクロスカップリングとKnoevenagel縮合を用いたアクリロニトリルを側鎖に有するπ共役系高分子の合成とそれらの光学特性)

論文著者 :修士課程 化学コース2022年修了 山内 春花
      修士課程 化学コース2年 中林 真宏
      環境理工学群4年 川田 舞子
      修士課程 化学コース1年 樋野 優人
      修士課程 化学コース1年 稲山 舜也
      修士課程 化学コース1年 谷久保 泰樹
      環境理工学群 講師 林 正太郎


論文はこちらから

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