2022.6. 3地域・一般 / 学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

矢内 勇生准教授が日本選挙学会の「優秀ポスター賞」を受賞

5月7日に行われた日本選挙学会年次総会において、本学 経済・マネジメント学群の矢内 勇生准教授高知県立大学の清水 直樹准教授、東洋大学の鷲田 任邦准教授、東北大学の東島 雅昌准教授の共同研究グループが「優秀ポスター賞」を受賞しました。

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日本選挙学会は、選挙及びそれに関連する研究並びにその研究者相互の協力を促進し、あわせて外国の学会との連絡及び協力を図ることを目的とし1981年に創設された学会です。学会賞には、研究会のポスターセッションにおける会員の優れた研究発表を対象とする「優秀ポスター」、研究会における会員の優れた論文報告を対象とする「優秀報告」、『選挙研究』に掲載された会員の優れた投稿論文を対象とする「優秀論文」、の3つの賞が設けられています。「優秀ポスター」は18件の発表の中から2件が選ばれました。

矢内准教授は、政治経済学におけるデータ分析の手法とその応用について研究しています。
学会では「民主制と独裁制の垣根を越えた選挙タイミングの包括的分析:Election Timing across Autocracy and Democracy」をテーマに発表しました。オリジナルのデータを構築して、選挙のタイミングと政治体制に対する先行研究を明確に覆そうとする発想の独創性が高く評価され、受賞の運びとなりました。

選挙タイミングについては、これまでは民主制を対象にした研究が国内外で進められてきました。
矢内准教授らは、独裁制の国々をも含む181カ国にまで研究対象を拡大し、世界中の国々のデータを集め、分析することで、民主制と独裁制の垣根を超えた選挙タイミングの包括的なメカニズムの解明に取り組みました。

このデータを利用した例として、民主制と独裁制の共通点や相違点を見出すために独裁制の選挙タイミングがどのような理由で決定されるのかを「経済危機時に選挙を利用するのではないか」「候補者中心の選挙である大統領選挙の方が、自身の強さを示すのに効果的であり、タイミングがより操作されやすいのではいか」というふたつの仮説をたてて検証しました。

その結果、独裁制では、議会選挙だけではなく、大統領選挙のタイミングも独裁者によって操作されることが分かりました。さらには、国の経済状況が悪いときに早期選挙を実施しやすいこと、議会選挙よりも大統領選挙の方が前倒しされやすいことが明らかになりました。
この他にも、日本の選挙研究の成果を集約し、知識を蓄積・共有するための新たなデータベースの構築にも取り込んでいます。

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矢内准教授は「共同研究者の皆さんと一緒に受賞することができ光栄です。新たな切り口の研究テーマが評価されたこととともに、研究のための資源としてデータを共有する取り組みの価値が認められたことを嬉しく思います。科学としての政治学を確立するためには、基盤となる研究データの整備が必要不可欠です。今後も、自由な発想で理論的・実証的に面白い研究に挑戦するとともに、研究コミュニティ全体に公共財を提供し続け、政治学コミュニティ全体で研究を推進していきたいです」と抱負を語りました。

矢内准教授の研究内容は広報誌「FLYING FISH」の最先端研究紹介からご覧いただけます。

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