2022.11.21在学生・保護者 / 学生生活 / 学群・大学院 / 研究

高知化学シンポジウム2022で学生2名が優秀ポスター発表賞を受賞

10月29日、本学香美キャンパスで開催された「高知化学シンポジウム2022」(主催:高知化学会、日本化学会中国四国支部)において、木村 日向子さん(大学院修士課程化学コース 1年・茨城県立古河第三高等学校出身)と樋野 優人さん(大学院修士課程化学コース 1年・高知県立中村高等学校出身)の2名が、優秀ポスター発表賞を受賞しました。

★木村さん表彰状8B0A1649.jpg ★樋野さん表彰状8B0A1746.jpg

同シンポジウムは、高知県内の産学官で化学研究に携わる全ての関係者の学術的・人的交流を図る目的で開催されており、活発な議論を通じて高知県内の化学研究のさらなる発展と、関係者の交流による高知発の新たなイノベーションにつながることを期待して開催されています。その中で、本学学生2名が優秀ポスター発表賞(5件/48件中)を受賞しました。

木村 日向子さん
発表テーマ「サブミクロン球体を核とする等方性CNT球状メタマテリアルの合成」

木村さんは、有機-無機ハイブリッド材料化学研究室(指導教員:小廣 和哉教授)に所属し、金属酸化物(球体)からカーボンナノチューブ(CNT)を成長させる研究に取り組んでいます。

★木村さん研究風景8B0A1604.jpg

ユニークな物性を示すカーボンナノチューブ(CNT)と金属やセラミックス等を複合したCNT複合材料は近年盛んに研究されています。本研究では、サブミクロンサイズの金属酸化物球状多孔体を中心核とし、そこから2~3 μmのCNTが全方向に成長した等方性CNT球状メタマテリアルを合成しました。等方性を示すCNT球体は、性質が方向や角度によって変わらないことから、従来にはない電気的・光学的特性の発現が期待され、燃料電池触媒電極材、等方性電磁波吸収薄膜などへ応用できると考えられます。

受賞コメント:
2年間の研究成果が評価され、このような素晴らしい賞を受賞できたことを嬉しく思います。小廣先生には、研究に行き詰まった際、触媒を合成する際の反応条件についてなどアドバイスをいただきました。その他ご助言いただいた先生方、支えてくださった同研究室の皆様に心より感謝を申し上げます。本受賞を励みに今後も研究に邁進し、大量合成を成功させたいと思っています。

樋野 優人さん
発表テーマ「アントラセン混晶のPhotosalient効果」

樋野さんは、機能性高分子化学研究室(指導教員:林 正太郎准教授)に所属し、有機化合物からなる分子結晶を用いて、新しい分子や現象を見出す研究に取り組んでいます。

★樋野さん研究風景8B0A1726.jpg

「分子結晶」は一般に硬く、構造変化の少ない安定した物質として知られています。しかし近年、この認識を覆すような現象や物質が次々と発見され、注目を集めています。これらの新物質は、規則正しい結晶構造や周期構造を保ちながら、外部刺激によって構造や性質が大きく変化し、ユニークな物性や光学機能を発現することが特徴です。本研究では、混晶化という方法論を用いることで「Photosalient効果」と呼ばれる、光照射により結晶がジャンプしたり、へき開したりする現象を発現させることに成功しました。この現象を有効に活用することにより、センサーやアクチュエータなどのマイクロサイズで機能する材料への応用が期待されます。

受賞コメント:
失敗や苦悩も数多くありますが、「誰もやったことがない」という点に研究の面白味を感じています。結晶における低刺激をナノ構造変化でつなぐ学理はいまだ未開拓であり、この研究をさらに追究していきたいと思っています。

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