2022.12.28地域・一般 / 地域貢献 / 研究 / 研究者・企業

菊池 豊教授らの共同研究グループがBeyond 5Gに関する研究を開始

さくらインターネット株式会社、高知工科大学、株式会社シティネット、近畿大学は、東京大学、大阪大学サイバーメディアセンターと共同でBeyond 5G※1に関する研究を開始します。高知工科大学内に設置されたLocal5G※2設備とさくらのクラウドを利用した広域分散コンピューティングの実証実験を行います。

本研究を実施する6つの団体は2021年11月より、国立研究開発法人情報通信研究機構が実施するBeyond 5G研究開発促進事業、研究開発課題名「関数型パラダイムで実現するB5G時代の資源透過型広域分散コンピューティング環境」(採択番号 04001)に参画し、分散コンピューティングに関して共同で研究を実施してきました。
この研究活動の一環として高知工科大学内に設置されたLocal5G設備とさくらのクラウドを接続し、広域分散コンピューティングの実証実験環境を構築しました※3。

本研究における、各団体の役割は以下の通りです。
さくらインターネットは、クラウドやエッジコンピューティング関連技術、またIoT機器とクラウドをより簡単に連携させる技術等の研究開発を担っています。加えて、Beyond 5Gが実現される将来に利用されるアプリケーションを想定し、それに適合したコンピューター通信インフラストラクチャーの将来ビジョンの検討を実施します。
高知工科大学は、構内にLocal5G設備を整備しテストベッド環境として供することに加え、5G基地局、交換局(5Gコア)、外部ネットワーク接続、および5G端末について、構築、利用、運用の高度化のための技術開発等を担っています。また、5G端末の高機能化、低消費電力化を進め、工場、生産現場など産業領域での活用に向けた技術開発も実施します。
シティネットは、IoT機器がクラウドやMEC※4環境上のリソースを透過的に扱うことができる資源透過型プラットフォーム:Giocciの設計・構築を担っています。また、各大学とマルチクラウド環境をSINET6で接続したインフラの設計・構築、マルチクラウド環境内におけるグローバル分散システムの構築を行っております。
近畿大学は、広域分散環境における資源配置問題に関するアルゴリズム研究を情報学部にて担当しています。広域に計算資源が配置されるBeyond 5G時代において、IoT機器からエッジデバイス、クラウド環境をユーザ要件に合わせてかつ効率的に利用していくために重要な研究となります。

今後はこの環境を利用し、屋外・工場・オフィスなどに設置されたIoT機器と環境内に遍在するエッジデバイスをはじめとしたコンピューター、外部のクラウド環境を適切に組み合わせて、持続可能で新たな価値の創造に資する次世代のコンピューター通信インフラストラクチャーであるBeyond 5Gを実現するための研究開発、実証実験を推進してまいります。

また構築した実証実験環境については、日本各地の大学・企業等で整備・研究開発中のLocal5G環境とも接続し広域分散コンピューティングの試験用環境として利用可能にし、広域分散アプリケーションの可能性検証を実施していくことも将来展開の一つとして検討を進めてまいります。

※1 Beyond 5Gとは、5Gの「高速・大容量」「低遅延」「多数同時接続」といった機能の高度化に加え、「超低消費電力」「超安全・信頼性」「自律性」「拡張性」といった持続可能で新たな価値の創造に資する機能を持つ次世代の移動通信システムにおける総称。

※2 Local5Gとは、一部のエリアまたは建物・敷地内において専用に構築された5Gネットワークのこと。

※3 現在、開通申請中。2023年1月開通予定。

※4 MEC(マルチアクセス・エッジ・コンピューティング)とは、ローカル5GやIoT機器などからのアクセスを考慮したエッジコンピューティングの規格。

■構築した実証実験環境について

実証実験環境のイメージ図.png

(実証実験環境のイメージ図)

高知工科大学内に独立したLocal5G環境とMECサーバを構築し、さくらのクラウドに構築された環境に閉域網を利用して接続します。これによりLocal5G環境下にあるコンピューターが、低遅延で安全にさくらインターネットのデータセンター内のコンピューティングリソースを利用できるようになります。
将来的には、複数のLocal5G環境やMECサーバ、クラウドを閉域網環境下でシームレスに接続することで、5G環境下にあるコンピューターが要件に合わせて任意のMECサーバやクラウドのコンピューティングリソースを利用することや、逆にクラウドから広域に遍在する多数の5G環境下にあるコンピューターにアクセスすることも可能になります。

■資源透過型プラットフォーム:Giocciについて
B5G通信網のあらゆる計算資源と通信手順を抽象化し、自律性をもったプロセスによる透過的な処理配置を可能とすることで、Node(Edge、Engine)同士の双方向アクセスを実現します。
また、Node上の処理は関数型言語Elixirを使用することで超並行/並列処理を実現します。

Giocci.png

菊池 豊教授(地域連携機構)は「研究予算獲得のために近視眼的になりがちな傾向があるところで、この研究開発はやりたいことを思う存分に計画に盛り込むことができました。久しぶりに没頭できるネタを得たという印象があります。さらにこれから派生する研究が5年先10年先のシステム開発の基礎になりえると考えており、じっくり大きく育てていきたいと考えています。研究開発は地元のシステム開発企業さんと共同で行います。関連する技術コミュニティの中心に高知工科大学を据えることで、より大きな波にしていく所存です」と語りました。

プレスリリースはこちらから

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